2014年05月12日

◆「核」が日中開戦を抑止するO

平井 修一


(承前)田母神俊雄・元航空幕僚長の論考「日本核武装計画」から。
・・・

NPTは国連常任理事国の5か国にのみ核保有国の特権を与えているという意味で不平等条約であり、インドやパキスタンはそれを理由に初めから加盟しなかった。現在加盟国は190か国だが、脱退したのは2003年の北朝鮮のみである。

この時、北朝鮮に対し国連の非難決議や経済制裁があったが、日本がNPTを脱退した場合、やはり北朝鮮と同じようなことになるのかどうか。

私はならないと思う。北は「ならず者国家」の烙印を押された国だが、日本はそうではない。非難決議など出ないように根回しをすればよいし、経済大国の日本に対して経済制裁をしたら、日本が困るよりも世界が困ってしまうからだ。

NPT条約では「安全保障上の危機」などを理由に3か月前に通告すれば、国の主権を行使して脱退でき、罰則規定があるわけでもない。国連は非難決議などを出すことはできないし、やれるとしてもあくまで各国レベルの非難であろう。

日本は同盟国のアメリカに黙っていきなり脱退するわけではない。核武装の意思をアメリカに話した段階で、もしアメリカが絶対反対と言い、それでも日本が核武装を行う場合は安保条約破棄、同盟関係も壊れる可能性が高い。そうなればアメリカも日本いじめに走るかもしれないが、そうならないように事前の説得を行うわけである。

インドやパキスタンの例を見れば分かるように、たとえアメリカを中心とした国際社会の非難を浴びたとしても、それは核を保有するまでの話で、持ってしまったらその国を無視することなど結局はできないのだ。

アメリカは中国と組んで日本の孤立化を匂わせながら、日本が核保有を断念するように仕組んでくるかもしれない。こうなると国内でも「アメリカに見捨てられて日本は生きていけるのか」といった弱気な世論が出始め、政府もおろおろするというのがよくあるパターンだ。

だが、独立国として自主防衛体制をつくるための核武装に踏み切る以上、アメリカの意地悪は始めから織り込み済みにしておかなければだめだ。

だいたいインドやパキスタンを見捨てなかったアメリカが「核武装をするなら日本とは縁を切る」などと脅しで言うことはあっても、本気で言うことはないはずだ。

日本を見捨てることは、日本が中露の側に取り込まれる危険をはらむ。そうなれば東アジアは一気に反米色に染まってしまう可能性さえある。アメリカがそういう状況を望むとは考えられない。

経済が良くなったとはいえ相変わらず共産党独裁の中国に対し、アメリカは日本に防波堤の役割を担ってもらわなければ困るはずである。

核兵器を持つまでは、アメリカからの意地悪もある程度は覚悟しなければならないし、困難な道のりだが、それを乗り越え、核保有にまでたどりつけばそこでお仕舞。国際社会は勝手に「はい、それまでよ」と挙げたこぶしを下ろしてくれるのだ。

実際に核兵器はつくれるのか。北朝鮮にできて日本にできないというバカな話はない。日本の原発技術力は世界が認める高水準にある。核技術はより磨いていく必要があるが、同時に、核兵器に関する研究を進めていく必要がある。

おそらく今の日本には、核兵器を専門に研究し、技術面から運用面まで含めて知り尽くしているという専門家はいないのではないか。核兵器を開発するには、やはりそういう日本人が必要である。

核開発は国家プロジェクトなのだから、国産兵器の製造と同じく、国が極秘にお金をかけて人材育成を図らなければならない。必要とあらば、最近になって日本の原発を輸入するため原子力協定の締結に向けて動き出したインドに協力を要請する手もあるだろう。

インドと言えば、空幕長時代に私はアメリカが主催する世界の空軍の参謀長会議に2度出席した。その2度目のときにインドの空軍参謀長が私に言った。

「ジェネラル・タモガミ、日本は核武装しないのか?」
「いや、おれはする気があるんだが、日本政府はどうもその気はないみた
いだ」

私がそう言うと、隣で聞いていたインドネシアの参謀長が言った。

「やっぱりアジアでは日本は核武装しなきゃいけないだろう」

近くにはアメリカの参謀総長もいたが、彼はこの会話を笑って聞いていた。

軍人同士ということもあるが、世界では日本のように核武装がナーバスな話ではないし、「そりゃあ核兵器を持った方が国は安全になるよな」というのは、言わずもがなの共通認識である。

同時に、中韓を除くアジアの国々には「やっぱり経済大国日本が核武装しないと、アジアの軍事バランスが取れず平和が保たれない」と思っている国が多い。特に近年、南シナ海で中国に脅かされてきたASEAN諸国やインドは、日本の核武装を支持し、応援してくれる可能性が高い。

日本の技術力をもってすれば、核開発に入ってから核兵器をつくり上げるまでに「持ってるぞ」と見せるだけのものなら1年以内、きちんと作っても2、3年あれば完成するだろう。

核開発の最終段階は核実験である。核実験の成功をもって、その国は核保有国になるからだ。私はいろいろな場所で日本の核武装論を語ってきたが、核武装には理解を示す人の中からも必ず出る質問がある。

「核実験はどこでやるんですか? 日本ではその場所があるんですか? また禁止されているんじゃありませんか?」

核実験というとビキニ環礁や砂漠での派手な実験を思い起こすが、そんな光景はもはや昔話だ。インドにしても北朝鮮にしても核実験は地下で行われた。

また、1996年に国連は「包括的核実験禁止条約」を採択し、核実験の全面禁止を打ち出したが、核保有国などが批准していないので永久に発効することはないだろうと言われている。

核兵器は決して使われることがなくとも、その抑止力によって強力な防御兵器として機能する。つまりは「認識の兵器」であり、持っていることが相手に認識されればそれでいいのである。

極端に言えば、持ってさえいれば、その破壊力や精度もさして問題にはならない。メンテナンスが不十分で使い物にならなくなっても、相手にそれが分からなければいいのである。

イスラエルは核保有国と見なされているが、いつ核実験したのかはよく分かっていない。フランスの核実験のときに科学者を派遣し、それが共同実験だったとも言われているが、イスラエル自身が核保有自体を認めておらず、否定もしていないため詳しいことは不明である。

現在の核実験はコンピュータによるシミュレーション実験や、米露のような核爆発を伴わない臨界前実験がなされている。日本がどうしても実際の核実験が必要ならば、インドに頼んで共同実験をさせてもらうことを考えてもいい。

いずれにしても、満足な核実験ができなくとも、まずは「日本は核を持っているぞ」と国際社会に認識させればいいということだ。

核武装について語ることは長くタブー視されてきた。それは、日本人が自国の安全について真剣に語ることを拒絶されてきたに等しい。世界が羨むような経済を手にした1980年代までの日本人なら皆、日本は今のままでいいと思ったかもしれない。

しかし、それ以降、日本経済は停滞、下降の時代に入り、経済不振のアメリカは経済の拡大を狙って日本を狙い撃ちにしている。

戦後の日本は冷戦のおかげでアメリカに守ってもらい、助けてもらうことがなければ豊かになったかどうか。それはアメリカの国益ではあったが、私は恩を忘れない。しかし、アメリカに守ってもらってきたことの弊害は確実にある。何よりも自分たちで自分の国を守ることをすっかり忘れてしまった。

この先、何が起ころうとアメリカ頼みでやっていける保証はない。私たちは早くアメリカから親離れをし、自立した大人の国にならなければならない。アメリカと親子の縁を切るわけではなく、むしろ育ての親アメリカを助けるくらいの力を持たなければならない。

そのためにはまずは自主防衛、そして核武装へと道を切り開いていくことが不可欠であることを一人でも多くの人に分かっていただきたい。日本国の平和と安全のため、豊かな未来のため、我々は核武装を目指すべきである。(以上で田母神の論考を終えます)
・・・

平井が思うに、米国はもはや世界の警察官を続けられなくなってきた。米国オバマ自身がそう言っている。米国は年間60兆円もの軍事費に最早耐えられないのだ。

米国の負担を軽減するために、欧州はEUが、中近東・太平洋は米国が、そして東アジアは日本が、警察官となって各地域の秩序を守るといった分業が必要になっているだろう。そのためにも日本は核武装をする必要がある。(つづく)(2014/5/11)
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