2014年06月03日

◆「アジアで四面楚歌の中国」だが

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
 

<平成26(2014)年6月2日(月曜日)通巻第4257号>  

 〜「アジアで四面楚歌の中国」だが、そのことを認識できない中国の軍人
         パラノイアは日米攻撃に移って、シャングリラホテルは寒々としていた〜

5月30日からシンガポールで開催された「アジア安保会議(シャング リラ対話)で、安倍首相が基調演説を行い、中国を正面から批判した。アジアにおける対中姿勢の明確な変化が背景にあり、このシャングリラ対話は今後の国際政治に重大な意味を持つことになる。

安倍首相はこう演説した。

「既成事実を積み重ね現状の変化を固定する(中国の)動きは強い非難の対象である」

「南シナ海での紛争を回避するため実効ある行動規範が出来ることを期待する」 

「航行や飛行の自由を保全するためアセアン各国への支援は惜しまない」

「集団的自衛権や国連平和活動をふくむ法制基盤の再構築について日本国内で検討を進めている」

この発言は従来の日本の消極的関与からアジアの安全に関して強い積極性を示したため注目されてしかるべきだが、日本のマスコミの反応は鈍かった。

シャングリラ対話は2002年からシンガポールのシャングリラホテル で継続されているが、日本の首相が参加したのは初めてであり、またアセ アン諸国へ対中包囲網の形成を示唆し、アジアの安全保障に日本が積極的に乗り出す姿勢を示したことは今後に相当な影響を持つのである。

現にフィリピンとベトナムは米国のピボット(基軸変更)発言以後、急速に日本への依存を高めているように。

シャングリラホテルの舞台裏ではもうひとつ重要会談が進んでいた。

安倍首相は同会議に参加していたヘーゲル国防長官と会談し、小野寺防衛大臣も個別に会談をもった。また米国の斡旋で日米韓の防衛相会議も開かれた。歩み寄りはなかったが、韓国の姿勢にやや柔軟性が出た。

ヘーゲル国防長官は「ベトナム、フィリピンと領有権を争う海域で 埋め立てや掘削作業を強行する中国は(地域を)不安定化させている」と 名指しで中国を批判したうえ、(1)中国は地域諸国と協力して地域を安定させるのか、(2)平和と安全保障を危機にさらすのか。「二つに一つだ」と迫った。

中国の対応は頑なで硬直的でヘーゲル発言に猛反発した。王冠中・副総参謀長は「根拠がない。アジアの平和は中国抜きには成立しないし、火に油を注ぐような米国発言は歓迎できない」と居丈高。

同会議に出席していた朱成虎ともなると「米国は重大なミステークを犯した。偽善の最たる例であり、米国の言い分は中国が何をやってもすべて悪く米国はすべてが正しいと言っているようなもの。米国は中国に敵対するのではなく「パートナー」として扱うべきではないのか」

朱成虎は「核の先制使用も辞さない」と物騒な発言をして、人民解放軍の強硬派を代弁し、米国でもっとも嫌われる軍人論客だが、続けてこう言った。

「もし米国が敵対を続けるのであれば中国はそれなりに対応しなければならなくなるだろう。中国は米国の忠実な友であるにもかかわらず」(ウォールストリート・ジャーナルへのインタビュー、同紙6月1日)。

オバマ政権ので、中でヘーゲルが最も強硬な対中論を主張するが、 国務省は親中路線を維持しており、日本の突出を寧ろ抑える側にある。

したがって中国は米国内の矛盾と日米離間を巧妙についており、ひたすらシャングリラ対話でも強硬路線をまくし立てた。

深刻な亀裂が浮き彫りとなった「対話」だった。 
  
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