2014年06月18日

◆弱者への目線のない石原発言

杉浦 正章



ポスト安倍レースからは脱落か


「言は心の声なり」というが、環境相・石原伸晃の発言はまさに思っている事がそのまま出てしまったということだろう。本人は「誤解」と弁明しているが、いきさつから見ても本音だ。


石原は官房長官・菅義偉と会談した後、記者団に除染廃棄物を保管する中間貯蔵施設をめぐる福島県側との交渉について「官房長官が今後の日程を『どうなんだ』と気にしていたから、こんな感じですよ。最後は金目でしょ」と述べている。


本人は「正式な記者会見ではない」と弁明しているが、この発言はICレコーダーに録音されているから間違いない。おそらく菅にも「最後は金目でしょ」と報告したばかりであったに違いあるまい。直後だからつい同じ言葉を使ってしまったということだろう。


それにしても石原の失言癖はほとんどビョーキの部類に入るのだろう。福島関係だけでも、自民党幹事長時代に「市民に線量を計らせないようにしないといけない」に始まって、汚染土の保管先についても「福島の第一原発のサティアンのあるところしか持って行けませんよ」などと発言している。


こともあろうにオウムの教団施設のサティアンの呼称を使ってしまった。胃ろう患者の施設を視察して「意識が全くない人を管(くだ)を入れて生かしている。まるでエイリアンだ」と述べたのも有名だ。


一連の発言の特徴は弱者への目線がないことであろう。総務会長・野田聖子が「残念だ。相手の立場に立つことを国会議員は一番分からなければならない」と述べている通りだ。しかも石原は一般の国会議員ではない、環境相だ。立場からいえばまず国民の側に立った対応が閣僚の中でも一番求められるポジションだ。


しかも大熊町と双葉町に予定されている中間貯蔵施設をめぐる地元との交渉は、反対派も多くまさに綱渡りの状況であるのだ。政府は2町の住民らを対象とした説明会を5月末から計16回開いたが、石原は説明会に一度も出席していない。


政府側は国有化する際の補償額などについて明白にしないままであり、地元の理解を得られたとは言い難い。


双葉町の町長・伊澤史朗が「少しずつ解決してゆかねばならない時に、後退してしまう」と慨嘆しているとおりであり、来年1月の中間貯蔵施設の稼働は、石原発言の余波で地元の同意が遠のく可能性も出てきた。
 

国会では野党が不信任案や問責決議案を提出すると息巻いている。安倍政権は発足以来1年半閣僚の舌禍事件がなく、従って閣僚の辞任もないというまれな例であったが、通常国会末という土壇場になって進退に絡みかねない事態の発生である。


菅は辞任の可能性について「そこはあたらないと思う」と述べて否定している。石原本人も「被災者に寄り添って、引き続き頑張らせていただきたい」と辞任の意向はない。おそらく安倍としては辞任という事態は避けつつ、22日の国会閉幕までこぎ着ける姿勢を取るのだろう。


しかし内閣改造人事では閣僚にとどまらせることはあるまい。石原もその“お坊ちゃま体質”からくる致命的な失言が多く、ポスト安倍を狙うことはまず資質的にも無理となってきている。

   <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)
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