渡部亮次郎
ものの本によると、日本では1年365日、毎日何かの日である。たとえば
2007年に地方選挙の後半戦の投票日だった4月22日は、
(1)地球の日(アースデー)
(2)清掃の日(清掃法制定記念日)
(3)霊山神社例大祭(福島県)
(4)多賀祭(滋賀県)だった。
いい加減に1月19日と入れたら、パソコンは1月19日はのど自慢の日と出
た。
<NHKラジオの視聴者参加番組「のど自慢素人音楽会」が1946(昭和21)年
のこの日にスタートしたことに由来。
スタート当初の参加応募者は900人にものぼり、そのうち予選を通過したのは30人。応募者が歌った曲で多かったのは、当時の人気歌手・霧島昇が歌う『リンゴの唄』『旅の夜風』『誰か故郷を想輪ざる』などだったそうだ。
「のど自慢」は「明るく楽しく元気よく」をモットーに、1948年にはは
やくも全国コンク−ルが実施されるほどの人気を博し、NHKにおける戦後最初のヒット番組となり1953(昭和28)年にはテレビ放送が開始され、ラジオとテレビで同時放送されるほどに成長していった。
実は北島三郎、島倉千代子、美空ひばりはこの番組の常連。大物歌手と
してその名を知られる3人だが、彼らも当時は鐘の数を気にしつつ歌ったのだろうか>。
若原一郎、三船浩は合格によってレコード会社からスカウトされて歌手
になった。荒井恵子もそうだった。荒井は「森の水車」を初めて唄った
がNHK専属で、レコード会社には属してなかったから販売されたレコードやCDは残っていない。
「のど自慢」はいまではNHKの看板番組である。この世に歌がある限り続くのではないかと思われるぐらいだが、この世に歌がいくらあっても唄うのは大嫌いと言う人が居る。音痴である。だが音痴は訓練によって治るものだそうだ。
世界大百科事典(C)株式会社日立システムアンドサービスによると
音痴 おんち
<大脳の先天的音楽機能不全の状態。聴覚,言語など,ほかの精神的・肉体的機能が健常で,特に音楽的能力だけが劣っている場合をいう。これに対して,かつて音楽能力があった者が疾病,外傷など何らかの原因によってその能力を失った場合を〈失音楽症〉という。
音痴の原因は,大脳右半球に推定される音楽中枢の発育障害による機能
不全であるとされ,遺伝と環境の双方に起因するものとみられているが,医学的には未解決である。
音痴は感覚性音痴と運動性音痴に大別される。前者は,音楽の認知,理
解,記憶に障害があるために音高やリズムの感受そのものが不可能な状
態を言いう。
後者は,音高の連続的変化のパターンを組み立てる運動統合中枢に支障
があるため,歌うと調子はずれになるものを言う。しかし,俗に音痴と
いわれるのは難しい音程をうまく歌えない場合であり,正しい訓練や音
楽環境をつくることで,矯正は可能とされている。山本 文茂>
音痴についてインターネットで検索した。その結果、297万件も出てきた。如何に音痴に悩む人が多いかを物語るものではないだろうか。
その中にこういうのがあった。
山本恵理子の「音痴について」である。
http://www.osaka-c.ed.jp/matsubara/kadai/27ki/kadair21.htm
なぜ音痴になるか
『人はなぜ音痴になるのか』 音に対する感覚が鈍く、音程やリズムが
正確にとれず歌が正しく歌えないこと。三重大学教育学部の弓場徹助教
授は、「音痴の原因は、出力(脳から声帯に指令が伝わり、震わせて音
を出す)する際の、輪状甲状筋の訓練不足によるものである。」と語っ
た。
輪状甲状筋は声帯を引きのばす筋肉で、低い声を出す時に声帯を縮め、
高い声を出す時は声帯を前後にのばす。そして、他の背中や足などの筋
肉と同じく、鍛えなければ成長せず衰えてしまうのである。
歌を歌う時は、普通の会話のより高い音域を使う場合が多いため、輪状
甲状筋の働きが不可欠だ。自分のことを音痴と思っている人は、歌う機
会を避ける傾向がみられる。兵庫教育大学音楽科の鈴木寛教授は、小脳
モデル(処理系)について次のように説明した。
初めて自転車に乗る時、バランスがうまく保てず、転びながらその問題
点を修正して大脳が学習する。その情報は大脳に集約され「自転車に乗
る」という一つのモデルが小脳に移り記憶される。
1度、小脳モデルが記憶されれば、何年も自転車に乗らなくもすぐに乗ることができるという。歌を歌う場合の小脳モデルは、音程を取り正しい音を発生し、リズムをとるというものである。大脳に作られた音の高さを判断する基準に音階スキーマというものがある。
正しいスキーマが形成されている場合は、耳からある音が入ってくると
A=Vという判断ができる。しかし誤ったスキーマが形成されている場
合は、A=Vという判断ができずに音痴になってしまう。
人は6歳頃まで音階スキーマが形成されてしまう。赤ちゃんは知らず知
らずのうちに母親の声を真似している。自分を守ってくれる母親と他人
をなるべく早く認識し、コミュニケーションをとろうとするためである。そして、この特性のため母親の声や、音程までも真似するようになる。
他にも音痴の原因となる環境として、
1.音の出るおもちゃなどの電池がきれかかり、変な音を出す。
2.音楽や両親の会話を聞く機会がすくない等がある。
音痴を治すには裏声を意識的に出すことによって輪状甲状筋を鍛えたり、音を認識しながら根気よく練習し音階スキーマを改善する方法がある。
つまり、音痴は適切な訓練方法によって克服できる!『音痴を治すには?』
音痴は運動音痴(運痴)と比較される。どちらも運動系の微妙な調節が
うまくゆかない。それが原因で運動嫌い、歌嫌いになる可能性もある。
運痴は指導によりある程度は矯正できるが、音痴はどうだろうか。
「歌う」運動のメカニズムは、喉頭筋群の複雑さもあり未だに不明な点
が多い。聴覚能の問題もある。一体どのように声をだしたら良いのか科
学的なアプローチは少ない。
発声には声帯を動かす伸展筋と声門を閉じる閉鎖筋という2つの拮抗的
な筋の運動に、呼吸の圧力が加わった3要素が関係するのだが声帯を伸
展させて裏声を生み出す輪状甲状筋の構造と機能に着目。
結果的に裏声(ファルセット)を中心に音を合わせてうまく歌うトレー
ニングが音痴矯正に有効という。骨格筋は伸展時により大きな力が発揮
されるので、この方法は歌う運動の燃費を高めるかもしれない。
具体的に何をやればいいかというのには次のような説がある。
1)はっきりとした裏声を出せるようにする。
2)裏声で簡単なメロディーを歌う。
3)裏声で歌い始め、表声の音程まで下がっていく。※表声というのは
胸声のこと。
誤りも多くて評判が良くないリー百科事典『ウィキペディア
(Wikipedia)』だが、ここでは、音痴(おんち)とは、音感が無いか劣る人を言うと決め手、次のような珍談を紹介している。
<・・・リズムを合わせるという感覚が鈍い人もおり、歌っている途中でど
んどんずれて早くなったり遅くなってしまう場合も見られる。
最も有名な例は、フローレンス・フォスター・ジェンキンスという富豪
の夫人がオペラファンで、1944年にカーネギーホールで「客に金を払っ
て」リサイタルを開いた。(あの戦争中!!)
このときの録音は現在The Glory of Human voices (RCAより発売、
ASIN B000003F97)(国内盤のタイトルは『人間の声の栄光』)というタイトルでCD化されている。
このCDが国内大手CDショップで発売された際、「チョーオンチ」という
販促ポップが付けられた事がある。またこのジェンキンス夫人の音痴ぶ
りを題材にしたミュージカル"Souvenir"がある。
音痴は訓練で克服できる場合が大半だが、まれに音感がない(耳で聞い
た音程を声で再現することが出来ない)人もいる。一種の病気(異常)
であり、このタイプの音痴は直すことができないと言われる。有名人で
は俳優のジェームズ・ディーンがこのタイプだったと言われている。
転じて、音の認識に限らず特定の能力が劣る人に対しても使う。例えば、味覚に対しての味音痴、東西南北等方角把握能力に対しての方向音痴、運動能力に対しての運動音痴、機械に対しての機械音痴、等がある。>
痴呆とか痴人とかが差別語になっているようだが、音痴はどうなんだろ
う。2007・04・23