2014年06月22日

◆河野氏の独断が災いの種蒔く

阿比留 瑠比


河野談話を検証する有識者チームの報告書により、20も国民の目から隠されてきた談話の実態が白日の下にさらされた意義は大きい。産経新聞が繰り返し報じてきたとおり、談話は歴史の厳密な事実関係よりも、強制性の認定を求める韓国側への政治的配慮に基づき、日韓両国がすり合わせて合作していた。

また、当時の河野洋平官房長官が政府の共通認識を踏み外し、独断的に「強制連行」を認めてしまったことも改めて確認された。

報告書は、政府が実施した関係省庁や米国立公文書館の文書調査、旧軍関係者や元慰安所経営者からの聞き取り、韓国の元慰安婦支援団体「韓国挺身(ていしん)隊問題対策協議会」の慰安婦証言集の分析などを通じ、こう結論付けている。

「(政府の)一連の調査を通じて得られた認識は、いわゆる『強制連行』は確認できないというもの」

その上で報告書は、平成5年8月4日の談話発表時の河野氏による記者会見について、1つの章を設けてこう特記している。

「(河野氏は)強制連行の事実があったという認識なのかと問われ、『そういう事実があったと。結構です』と述べている」

これについて、現在の政府高官は「それまで政府は強制連行は証拠がないという一線を守っていた。それなのに、河野氏の発言で強制連行説が独り歩きすることになった。完全な失敗だ」と指摘する。実際、河野談話には「強制連行」という文言は出てこない。

地位ある政治家の単なる失言か確信犯的な放言か。いずれにせよ、不用意な発言で後世に災いの種をまいた瞬間だったといえよう。

また報告書は、今年2月に国会で河野談話について証言して談話検証のきっかけとなった当時官房副長官の石原信雄氏が、慰安婦全体への強制性認定を求める韓国側に対し、こう拒否したことも記している。

「慰安婦全体について『強制性』があったとは絶対に言えない」

ところが、報告書によると河野談話は日韓間のすり合わせの結果、最終的に「募集、移送、管理等も甘言、強圧によるなど、総じて本人たちの意思に反して行われた」という表記に落ち着いた。

この「全体」とも「おおむね」ともどちらとも解釈できる「総じて」という玉虫色の言葉は、当然のことながら韓国側では「全体」と受けとめられることになった。この間の事情も、趙(チョ)世暎(セヨン)・元韓国外務省東北アジア局長の産経新聞に対する次の証言と符合する。

「韓国側から『こうした表現ならば大丈夫ではないか』と意思表示した」
(17日付紙面で既報)

韓国側は、日本側が河野談話の一部修正に応じなければ「韓国政府としてはポジティブに評価できない」とも通告しており、韓国ペースで最終調整が行われていたことも分かる。

また、こうしたすり合わせについて、日本側から韓国側に「マスコミに一切出さないようにすべきであろう」と申し入れ、韓国が了解したというエピソードも重要だ。河野氏をはじめ政府はその後、すり合わせの事実を繰り返し否定し、国民を欺いていたからだ。

ただ、報告書は個々の事例や事実関係への評価は避けており、物足りなさも否めない。チームのメンバーの一人は「報告書の作成過程で、情報を提供する側の外務省は一貫して『穏便に、穏健に』という意向だった」と振り返る。

政府の公式見解ではなく、民間の有識者チームの検証結果報告という形をとってもなお、なるべく波風を立てたくないとの配慮が働いている。日本外交の宿痾(しゅくあ)だろう。
産経ニュース2014.6.21

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