2014年07月12日

◆米国牛耳るクリントン・ブッシュ両家

加瀬 英明
 

次のアメリカの大統領選挙は、2016年に11月するから、2年4ヶ月ある。

誰が両党の候補となるか予想するのはまだ難しいが、アメリカの大かたの政治専門家と、マスコミによれば、民主党はヒラリー・クリントン前国務長官と、共和党はブッシュ前大統領の弟のジェフ・ブッシュ元フロリダ州知事の一騎打ちとなると、みられている。

オバマ大統領は昨夏、シリアのアサド政権が毒ガスを使ったのが許せないから、制裁攻撃を加えると宣言した後に逡巡したために、支持率が急落して、今日、多少取り戻したものの四十数%で、指導力を回復していない。

アメリカでは1989年からブッシュ(父)が第42代大統領として4年、クリントンが第43代目として2期8年、ブッシュ(子)が第44代目として2期8年、合わせて20年にわたって、大統領をつとめた。

民主党ではヒラリーが巨人ゴリアテであって、2016年に挑戦できるダビデ少年は現われないと、いわれる。

5月に『ワシントン・ポスト』紙とABCテレビが発表した、2016年大統領選挙をめぐる共同世論調査によれば、共和党の有力候補としてジェフ・ブッシュが、首位に立った。民主党の最有力候補とされるヒラリー夫人に迫る勢いで、2人が大統領選挙を争った場合、ヒラリー夫人の支持率が53%に対して、ジェフ・ブッシュが41%だった。

ジェフ・ブッシュが61歳に対して、ヒラリー夫人は6歳年長だ。もし、ヒラリー夫人が大統領として当選すれば、レーガン大統領が就任した時より、1歳年下になる。

それにしても、アメリカは人口が3億1千万人もいるというのに、他に有力な大統領候補がいないのだろうか? どうして、大統領候補となると、能力がある政治家が多くいるというのに、全員がアウトサイダーとなってしまうのだろうか。

これでは、アメリカの政治に新鮮なアイディアや、方向をもたらすことができないことになる。アメリカは民主主義の手本であるようにいわれるが、クリントン家とブッシュ家が争うのでは、パロディのようではないか。アメリカの一部の識者が指摘するように、アメリカの政治制度が硬直化して、疲弊しているのだろうか。

もっとも、2008年に民主党の大統領候補指名をめぐって、オバマ上院議員と、ヒラリー上院議員が鍔迫り合いを演じた時も、両者のあいだに政策の違いが、ほとんどなかった。2人は1期目の上院議員だったが、ブッシュ(子)大統領のイラク戦争を支持した。

経済政策も巨大企業の利益を代弁するもので、2人のホワイトハウス入りしたい個人的な野心が、鎬(しのぎ)を削っただけのことだった。オバマ上院議員のほうが弁がきわだっていたために、勝利の栄冠を手にした。

オバマ議員はイリノイ州シカゴの「シカゴ民主党(シカゴ・デモクラティック)マシーン」、ヒラリー夫人は夫のビルの「クリントン・グローバル・イニシアティブ基金」という集金マシーンが働いて、全米の大企業、弁護士事務所(アメリカでは弁護士は巨額の報酬を手にする)、大手ファンドや銀行から、潤沢な政治資金を掻き集める能力を競った。

アメリカの大統領選挙は、マスコミを使って虚像をつくるのと合わせて、金次第だ。

ブッシュ家もテキサスの石油産業や、サウジアラビア・コネクションをはじめとして、集金能力において劣らない。クリントン、ブッシュ両家の他には、このように全米から政治献金を募ることができる、ポリティカル・パーティ・マシーンに入り込む余地がない。両家がアメリカの政治を、牛耳ることになる。

アメリカは大企業によって、支配されている。商務省の報告書によれば、昨年、企業の純益がGDPに占めた比率が、大恐慌の1929年以後最高に達したが、従業員の報酬の比率は、1948年以後で最低となった。


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