2014年07月24日

◆岡田、代表選あれば海江田の対抗馬に

杉浦 正章




民主党左右対立白熱化の流れ
 


民主党幹部が「ゲーテは『活動的な馬鹿より恐ろしいものはない』と言っている」と暗に代表・海江田万里を批判する言葉を漏らしている。いくらなんでも野党第1党の代表に向けて面と向かって言っては可哀想だが、海江田がいささか“自信過剰”であることは間違いない。


1年前の参院選大敗北に直面して海江田は「結果が目に見える形で出てこなければ、皆様に民主党を代表する立場を恥を忍んでお願いすることはない」と発言したが、この段階では謙虚さが好感を持って迎えられた。


しかし1年たってみれば誰がどう見ても「結果」は目に見えていない。前原誠司らが、代表選1年前倒し論を唱えたのは、来年の統一地方選挙やいつあるか分からない解散・総選挙に向けての危機感がある。


ここにきて最高顧問・岡田克也がその前倒し論を主張し始めた。明らかに前倒しが実現すれば自ら対抗馬になることを意識しての発言であり、31日の両院議員総会に向けての攻防は俄然白熱化し始めた。


最初に前倒し論を主張したのは前原だが、その主張は6月24日の両院議員総会では、勢いが出ず事実上不発に終わった。野田佳彦ら前政権の主流「6人衆」も何一つ発言せず、乗り切りに自信を見せた海江田は7月31日に総括の両院議員総会を開催する方針を表明した。


海江田を支持する党内リベラル・左派も参院副議長・輿石東が「勝った勝った」と勢いづき、前原発言を「空鉄砲」などとこき下ろした。こうした動きを見て、党内の目は改めて海江田の“適性”に集中し始めた。一挙手一投足を見始めたのだ。


ところが満を持して行われるはずだった14日の衆院予算委閉会中審査で海江田は、焦点の集団的自衛権の行使容認について基礎的な知識の欠如からずっこけ質問を連発、幹部から「恥ずかしいよ」という声が漏れる始末。


外交面で野党第1党の存在感を示そうとした15日から3日間の訪中も、序列3位以上の首脳と会談できると踏んでいたのが、何と序列5位の王家瑞にとどまった。社民党より下の扱いに訪中団はがくぜんとしたという。尖閣諸島国有化を実施したのが民主党政権であることを忘れて訪中しても、相手は忘れていなかったのだ。
 


党内左派が勢いづいたのは滋賀県知事選の勝利だ。代表選前倒しに反対する国対委員長・松原仁は、記者会見で「先の滋賀県知事選挙で民主党出身の候補者が当選したことは、海江田執行部の成果であり、今は反転攻勢のタイミングに来ている」と胸を張った。


しかし、三日月大造の勝利に対する新聞の分析は主要紙の全てが「三日月候補は徹底的な民主党隠しで勝った」というものであった。現に時事の最新の世論調査では自民党が23.1%なのに対して民主党3.8%であり、とても反転攻勢などという状況ではない。


こうした体たらくを目の辺りにして、右派の反撃が本格化し始めた。岡田克也がついに口火を切ったのだ。岡田は「局面を変えないとどんどんジリ貧になってしまう」と代表選前倒しを主張した。


この段階で岡田が前倒しを主張するということは、海江田の対立候補として自ら出馬する意向であることを意味する。岡田は「私は『海江田氏も出てください』と言っているのであって、別に『降ろし』をしているわけではない」と述べている。明らかに、「海江田対岡田」の代表選の構図を描いているのだ。


右派の代表選前倒し論は、これまで担ぐ候補が明確でないままであったため迫力に欠けていたが、岡田という「核」ができたことになる。


地方組織への根回しも進んでおり、23日に地方から党再生の意見を聞くために開かれた福岡、大阪両市内でのブロック幹事長会議でも前倒し論が出された。


九州ブロックの会合では「代表選の実現させて、党の政策をアピールすべきだ」などの声があがった。近畿・中四国ブロックの会合でも、2県連から前倒しを求める意見が出た。 


最大の問題は、冒頭指摘したように海江田が依然として、自らが代表適任者と思い込んでいることである。誰が見ても海江田では選挙を戦えないという見方が強いにもかかわらず、本人が気付いていないのだ。輿石が利用しやすいと判断して、代表に担ぎ上げたツケが回ってきているのだ。


輿石の采配もあり、海江田は左派の支持を背景にして両院議員総会では代表選前倒し論を一蹴する構えだ。総会まで1週間。攻防は激化する流れだが、右派は党を分裂させるところまで腹が固まっているとは言えず、今ひとつ迫力に欠ける側面がある。

      <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)
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