2014年07月30日

◆戦に備えるプーチン大帝

平井 修一


ここ1カ月間ほど、プーチン大帝の動きを追ってみたのだが、彼は「完璧に戦争モードに入っている」としか思えない。平時にあっても戦争に備えることは指導者の義務だが、ウクライナでの革命・内戦は、ロシア対欧米の戦争(多分第2次冷戦)の本格化を加速した。すでに第2次冷戦=部分的ロシア封じ込めは始まっているとも言えよう。

以下の記述のサマリー的な論考として、

<【目覚めよ日本】一国平和主義は“幻想” 高まる日本への期待に積極的に応えよ ストークス氏 >(夕刊フジ7/29)のインタビュー記事から紹介する。

──ロシアも、日本の集団的自衛権容認に反対している

ストークス氏(以下ス氏)「ロシアはいわゆる『先祖返り』をたくらんでいる。プーチン大統領の本心は『ソビエト連邦の再興』だ。どんな国よりも大きく、強い国家を作りたがっている。巨大な覇権国家が成立すれば、周辺国が受ける潜在的脅威は非常に大きくなる。日本が集団的自衛権の行使を容認したことは、ロシアの『野望』を防止し、極東の安定につながる面もある」

──これらの国家(中露)は、日本にとって潜在的敵国なのか

ス氏「彼らは日本だけを敵視しているのではなく、米国との関係も含めてみている。日本が米国に寄りすぎることを懸念している。日米同盟のパワーが強くなれば、必然的に中国やロシアのパワーを弱めることになる。そうすれば彼らの野望は達成できない」

──アジア諸国の大半は、日本の集団的自衛権行使を歓迎している

ス氏「国際社会を、パワーゲームとして考えるとよく分かる。こうしたアジアの国々は、中国やロシアが巨大になることを好まない。侵略された苦い歴史があるうえ、フィリピンやベトナムのように、現在も侵奪を受けている国もある。日本による集団的自衛権の行使容認は、こうした脅威を強く牽制する。彼らは日本を信用・期待しており、安倍政権を高く評価して
いる」
──日本が果たすべき責任が高まる

ス氏「現在のような世界の対立構造の中では、どの国も『いかに泳いで生き残るか』という問題を抱えている。かつて日本が理想とした一国平和主義は、もはや通用しない“幻想”といえる。集団的自衛権を持つことは、国際社会の常識だ。そういう意味で、戦後一貫して平和国家を歩んできた日本への期待は高まっているおり、当然、積極的に応えるべきだ。安倍政権は立派に責務を果たすと思う」


*ヘンリー・S・ストークス 1938年、英国生まれ。61年、オックスフォード大学修士課程修了後、62年に英紙『フィナンシャル・タイムズ』入社。64年、東京支局初代支局長に着任する。以後、英紙『タイムズ』や、米紙『ニューヨーク・タイムズ』の東京支局長を歴任。三島由紀夫と最も親しかった外国人記者としても知られる。著書に「英国人記者が見た 連合国戦勝史観の虚妄」(祥伝社新書)、共著に「なぜアメリカは、対日戦争を仕掛けたのか」(祥伝社新書287)など。(以上)


               ・・・

国営放送「ロシアの声」(以下同)7/16から。

ロシア人の圧倒的大多数(80%)が、すでに数ヶ月間にわたり、プーチン氏の大統領としての活動は成功しており、完全に国民の関心に応えているとの確信を表している。政治分析センターの依頼で実施された世論調査によると、最近2年間で国民の25%がプーチン大統領への「態度を改善」した。プーチン大統領への「態度を悪化」したのは、たったの4%だった。


政治分析センターのダニリン氏は、次のように語っている。

「ソチ五輪の成功とクリミアの出来事は、メドヴェージェフ政権時代にプーチン氏の支持者ではなくなった多くの有権者たちが、再びプーチン大統領の支持者に加わるための原動力となった。そのほか最近では、今まで一度もプーチン大統領を支持したことのなかった人々も、プーチン大統領の支持者となっている」

社会の大多数がプーチン大統領の活動を支持したことで、ロシアの野党陣営は著しく縮小した。一方で、プーチン大統領の支持率に影響を及ぼす可能性のある経済および社会分野には、不安定要素がある。政府は消費税を引き上げ、年金額の物価スライドを一時的に凍結する計画であり、これがプーチン大統領の支持率にネガティブな影響を与える可能性がある。


プーチン大統領の国内における政治的立場の強さは、大統領がどれほど社会の要求に応えることができるかにかかっている。(以上)

平井思うに:国民に向かって「プーチンは安保だけでなく生活向上にも力を入れますよ、支持してね」というのが上記の趣旨だ。国民の支持がなければ戦争に突入はできない。

<米独立記念日にオバマ米大統領に祝電>7/4

プーチン大統領は4日、米独立記念日を受けてオバマ米大統領にお祝いの電報を送った。

プーチン大統領は祝電で、困難や意見の相違があるものの、豊かな歴史を持つ露米関係が、相互利益を考慮したプラグマティックと平等を基盤に順調に発展することに期待を表した。

プーチン大統領は、大国として世界の安定と安全保障の特別な責任を担うロシアと米国は、自国民だけでなく、全世界の利益のために協力しなければならないと強調した。(以上)

平井思うに:「米露の対立は世界の利益に反するから、制裁もほどほどにな」という挨拶だが、その一方でしっかり軍備に力を入れている。

<ロシア戦略ロケット軍強化へ>7/4

ロシア戦略ロケット軍のエゴロフ報道担当が4日、インターファクス通信に新たなミサイル複合体の割合が今後次第に増加する予定と伝えた。

エゴロフ氏によると、2016年までに新たなミサイル複合体の割合は60%、2021年までに98%まで増加する予定。

また、兵士や武器の戦闘管理システムや、ミサイル防衛システムを克服する能力の向上などに関する装備の質的向上なども行われる。(以上)

<ロシア黒海艦隊は展開を完了>7/5

ロシア黒海艦隊は黒海における演習の第一段階に入った。艦艇や航空機が、ミサイル発射や爆撃の演習を実施する。ロシア国防省が伝えた。

黒海での演習は4日に始まった。海軍演習には、軍艦や補助艦艇など20隻、航空機やヘリコプター20機以上、海兵隊、黒海艦隊の沿岸ロケット砲兵旅団などが参加している。演習は黒海の全海域で行われる。(以上)

<ロシアとインドが共同開発した超音速巡航ミサイル「ブラモス」の発射実験成功>7/14

インド北東部オリッサ州で8日、ロシアとインドが共同開発した超音速巡航ミサイル「ブラモス」の発射実験が行われた。発射実験の責任者は、地上配備型の「ブラモス」の発射実験は成功したと発表した。

「ブラモス」は現在、インド海軍と陸軍に装備されている。なお、航空機および潜水艦発射型の「ブラモス」の発射実験も行われている。また戦闘機スホイ30MKIへの「ブラモス」搭載に向けた準備も進められている。「ブラモス」の射程は約300キロ、弾頭重量は300キロ。(以上)

平井思うに:いやはやスピード感をもって有事に備えている。大したものだ。

<ロシア 軍事活動問題における慎重さを日本に期待>7/8

ロシア外務省のアレクサンドル・ルカシェヴィチ報道官は、先日日本政府が防衛領域においてこれまで自ら課してきた制限を撤廃する決定を下したことについて声明を発表し、「ロシア政府は、日本が軍事活動問題において慎重さを示すよう期待している」とコメントした。

声明の中では、次のように述べられている。

「我々は、日本政府が集団的自衛権を宣言した事について、急いで評価を下したくはない。すべては、安倍内閣が今後実際に行なう措置にかかっている。我々は、安倍首相が2013年に明らかにした『積極的平和主義』の枠内でのものも含め、安倍内閣の行動を注意深く見守って行くだろう」(以上)

平井思うに:日本を牽制したのだが、同時に日本の民間交流の誘いにも応じている。硬軟交えた外交だ。したたか。

<極東のビジネスマンを日本の農園に招待>7/13

日本の農業の将来を模索する活動家達が、ロシア極東から、ロシア人ビジネスマンを招待する。彼らは、東京近郊で農業研修を受ける予定だ。なお参加者は、往復の航空券代だけ自分で負担し、そのほかの経費はすべて日本側が負担、加えて1500円の日当も支払われる。


参加者の選考は、コンクール形式で実施され、申し込みの受け付けは今年9月12日まで。専門家らは、ロシアのビジネスマン達が日本で農業研修を受ける事で、日ロ間の実務交流発展のさらなる刺激になるものと期待している。(以上)

一方で友好国づくりにも余念はない。

<プーチン大統領、南米歴訪に出発>7/13

アルゼンチンのキルチネル大統領は、同国を訪問中のプーチン大統領に、タンゴの演奏には欠かせない楽器、バンドネオンをプレゼントした。

この贈り物は、プーチン大統領のブエノスアイレス訪問を祝う歓迎晩餐会の席上、渡された。その際キルチネル大統領は「バンドネオンは、アルゼンチン、我々の文化そして兄弟的関係のシンボルだ」と述べた。

7月13日に、プーチン大統領は南米歴訪に出発し、すでにキューバとニカラグアを訪れた。なお大統領は、ブエノスアイレスから、サッカーのW杯決勝戦が開かれるブラジルに向け出発する。(以上)

平井思うに:プーチンは本質的に尚武の人だから、欧米の最後通牒的な要求や制裁には我慢がならない。今後6年間で60兆円を投資し軍備を充実させるという。いやはや大したもの。

<NATO軍の国境への接近に対応>7/22

ロシア安全保障会議の席上、プーチン大統領は「ロシア政府は、NATOの軍事インフラの対ロ国境への接近に、然るべく相応に反応するだろう」と次のように強調した。

「NATO軍部隊は、黒海及びバルト海域を含め、東欧諸国の対ロ国境地帯で、示威的に強化されており、ロシアはその事をよく知っている。

また防衛でなく攻撃のためのシステムであるグローバルなMDシステムの関連施設が配備され、戦略的精密兵器のストックが拡大している事にも、我々は注意を向けないわけにはいかない。

クリミアを含めたロシアの安全を強化するため計画された措置の全てを、期限内に又完全に実現しなくてはならない。現在ロシアでは、その財政規模およそ6千億ドルに及ぶ、2020年までの大掛かりな国家軍備プログラムが遂行されつつある。

ロシアに対し、ますます頻繁に最後通牒的な要求や制裁が示されているが、我々は、それらを容認できない。しかしロシア政府は、問題は対話により解決されるべきだとの立場に立っている。現在ロシアの主権と領土保全に対する、直接的な軍事的脅威はないが、これは世界に戦略的なパワーバランスが存在するからである」(以上)


平井思うに:その軍拡の一環だろう、こんな記事も。

<セヴェロドヴィンスクで原子力潜水艦一度に3隻建造開始>7/28

ロシア北方アルハンゲリスク州、白海に臨む港町で、ロシア帝国海軍を創設したピョートル大帝(ピョートル1世)によって初めて造船所が作られた地であるセヴェロドヴィンスクで、一度に3隻の原子力潜水艦の建造がスタートした。この大プロジェクトを担当する「セヴマシ」造船所の、ミハイル・ブドニチェンコ所長が、ビデオ通信でプーチン大統領に報告した>

平井思うに:3隻同時というのはド派手に見えるが、ローテーション(配備、予備、整備)を組むから3隻が最低必要なのだろう。(韓国は最強戦艦・独島を1隻しか造らなかったのでまったくの役立たずになってしまっ
たそうだ)

<プーチン大統領「ロシアの工業を輸入をしないで済むような形に」>7/28

28日、プーチン大統領は、輸入代替をテーマとする会議で、契約不履行の政治的リスクを避けるため、ロシアの工業を早急に、輸入品を補充できるような形に移行させるべきだとの課題を示した。

大統領は「ロシアにとって極めて重要なのは、軍事的・経済的な安全保障の諸問題であり、技術上の主権を守る事である」と指摘し、次のように続けた―

「我々の課題は、外国のパートナー達が契約を履行しないというリスクから自分自身を守る事にある。我々は、政治的性格のものも含め、そうしたリスクにさらされている」

今回の会議は、産軍複合体における輸入代替作業加速化に向けたもので、特別な技術や兵器を生産する際必要となる部品を国産品へと、最大限幅広く移行させてゆく問題が討議された。(以上)

平井思うに:プーチンは経済制裁で軍事物資の禁輸を恐れている。自立更生の体制づくりに力を入れ始めたのだ。

<米政府、「ロシアが中距離核戦力廃棄条約に違反」>7/29

【AFP】米政府高官は28日夜、ロシアがソ連時代の1987年に米国と交わした「中距離核戦力(INF)廃棄条約」に違反し、地上発射型巡航ミサイルの試射を実施していたことを明らかにした。

同高官がAFPに語ったところによると、ロシアのINF条約違反は2014年度版報告書のなかで明らかにされたもの。INF廃棄条約は、米ソ間で射程500〜5500キロの地上発射型ミサイルについて製造および保持を禁じている。

同高官はこの問題を「非常に深刻なもの」としており、オバマ米大統領はプーチン露大統領にこれに関する書簡を送付。米政府はロシアとの高官協議の即時開催を準備している。これには、米下院や同盟諸国も歩調を合わせているという。(以上)

平井思うに:国益のために平気で日ソ不可侵条約を破り北方四島を強奪したのが露助のやり口だ。彼らの初期設定は「条約は一時的な方便、いつでも破る用意がある」。プーチンを信じれば日本は再び騙される。最大限の用心をしてかかれ。(2014/7/29)


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