2014年08月13日

◆APECの中国批判トーン軟化

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
 

<平成26年(2014)8月12日(火曜日)通巻第4312号>  

〜焦点は11月の北京APECに移行したが
     中国の攪乱工作つづき、APECの中国批判トーンが軟化〜


ミャンマーの首都ネピドーで開催されていたAPEC外相会議は、議長国ミャンマーが「中立」の立場を貫いたため、加盟国全体での中国批判はなかった。27ヶ国全部が賛同することは考えにくいが、米国のケリー国務長官が、中国の挑発的行為をいさめると、中国は「部外者は介入するな」と開き直った。

日本のマスコミは岸田外相が王毅外相と秘密会談をもったこと、北朝鮮外相と会談したことを「成果」のように伝えたが、まったくノー天気である。

岸田は必死になって11月北京での習近平、安倍首相会談の実現を迫ったようだが、「まだ条件は整っていない」と王毅にあしらわれた。

逆ではないか。日本が言うべき台詞を中国に先に取られた格好である。

中国が条件として提示したのは安倍首相の靖国参拝をやめること、尖閣諸島では「領土問題が存在することを日本が認めよ」と高飛車な要求で、とくに後者は絶対に飲めない条件、要するに日中首脳会談は開かなくても良いと暗示しているのだ。

しかし安倍首相は「対話のドアはいつでも開かれている」と何回も表明してきたのであり、会談の必要性があるとすれば、中国の方から歩み寄るべきである。関係悪化の元凶はすべて中国にあり、日本が歩み寄る必要性は一つもないのではないか。

一方で中国は北京APECで中国の外交的成果を狙い着々と手を打っている。

インドのモディ首相が米国訪問に先立ち、習近平は9月15日にインド訪問を打診していることが分かった。インドのマスコミに拠れば、「日程的に都合がつかないので9月17日に延期を要望している」。

習近平はインドの米国、日本への篤い接近にくさびを打つ方針なのである。

9月初旬に日本を訪問するモディ首相は、明らかに中国に批判的スタンスをとるが、経済となると話は別物である。

日本は9月のプーチン訪日を実現させたいが、米国が不快感を表明しており、難しい情勢とも言われる。外交関係で、いつものように日本の独自性が失われている。

こうした環境のもと、11月APECは、海洋ルールの確立、法の支配などを大会決議として謳えるのか、どうか。北京は「アジアインフラ銀行」の設立で日本主導のアジア開発銀行に正面から揺さぶりをかけており、APEC加盟国への大盤振る舞い外交を展開して比較優位を回復しつつあるともみられる。
   
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