2014年08月18日

◆朝日虚報は日本糾弾の発信役

古森 義久


米国での慰安婦問題に関する動きを長年、報じてきた立場からみると、朝日新聞の虚報が日本の名誉を不当におとしめた罪に計り知れない重大さを感じる。

日本の慰安婦問題を米国内で初めて非難し始めたのは1992年に創設された「慰安婦問題ワシントン連合」という組織だった。ちょうど朝日新聞が「日本の軍(官憲)が朝鮮人女性を強制連行した」と本格的に報じ出した時期である。

少数の在米韓国系活動家によるこの組織は首都の議事堂や教会、大学で展示をして、「日本軍により組織的に強制連行され、性の奴隷にされた約20万の女性」の悲劇と宣伝した。

当時、取材にあたった私が同組織の人たちにその主張の根拠を問うと、「日本側の当事者の証言や資料と新聞報道」という答えだった。

その後、この問題での米国内での日本糾弾には中国系の「世界抗日戦争史実維護連合会」という強力な組織が加わって、陰の主役となり、活動は雪だるまのように大きくなった。その一つの頂点が2007年7月の連邦議会下院での日本非難決議の採択だった。

このプロセスでの日本攻撃の矢は一貫して「軍による女性の組織的な強制連行」に絞られた。決議が「日本帝国陸軍による若い女性の性的奴隷への強制」と明記したのがその総括だった。

同決議を主唱したマイク・ホンダ議員は審議の過程で第二次大戦後の日本でも占領米軍が日本側に売春施設を開かせたという報道に対し、「日本軍は政策として女性たちを拉致し、セックスを強制したが、米軍は強制連行とはまったく異なる」と強調した。

同決議案を審議する公聴会の議長を務めたエニ・ファレオマバエンガ議員は「米国も人権侵害は犯してきたが、日本のように軍の政策として強制的に若い女性たちを性の奴隷にしたことはない」と断言していた。

要するに米国からみての悪の核心は「日本軍による女性の組織的な強制連行」に尽きていた。その主張の土台は明らかにすべて日本から発信された「証言」「資料」「報道」だった。その発信役が朝日新聞だった。

だがいまや朝日自身がその「証言」「資料」「報道」のすべてが虚構だったというのだから事態は深刻である。とくに慰安婦狩りをしたとするデマの吉田清治証言は米国の議員らが審議で最大の参考記録とした議会調査局報告書の基礎となったのだから、決議自体が日本にとって冤罪(えんざい)だといえよう。


朝日新聞が30年以上も発し続けた慰安婦問題の虚報が米国や国際社会の日本糾弾を招いたと述べても過言ではない。「日本軍の強制連行」が事実でないとわかっていれば、こんな日本たたきはなかった。だが米国ではいまもその虚構に屋を重ねる慰安婦の像や碑が建てられているのだ。


しかし朝日新聞は公器としての責任をとろうとはしない。虚報や誤報の自認や取り消しをしながらもなお、論点をそらせて「慰安婦問題の本質 直視を」と逃げる態度はグロテスクである。被害者側としては「朝日問題の本質 直視を」と訴えたい。

(ワシントン駐在客員特派員)
産経ニュース【あめりかノート】2014.8.17


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