2014年08月20日

◆紅二代は「もう古い」と習近平が批判

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
 

<平成26年(2014)8月20日(水曜日)通巻第4317号  <前日発行> > 

〜「紅二代」(革命元勲の息子ら)は「もう古い」と習近平が批判
太子党の大物たちも習近平の権力固めに「用済み」段階に入ったか?〜


習近平の周囲を囲むブレーン、大きく人脈が転換しているようだ。

軍事方面の「軍師」とみられた劉源(劉少奇の息子、現在人民解放軍装備部政治主任)が遠ざけられ、金融政策を李克強首相にまかせている気安さからも、従来の功労者への批判を始めているという(明報、博訊新聞など)。

まずは「もう古い、彼らの経済理論などは老朽化した」と批判の的は孔丹に向けられたそうな。

孔丹と言えば太子党の中でも金融ビジネスに明るく、つい2年前まで「中信集団」のCEO、同グループを『フォーブス』誌の世界企業ランキングで、221位(2011年度)に育てた。

父親は孔原で党中央組織部長(党人事を握る重要ポスト、曽慶紅も李源潮も歴任した)、母親の許明は周恩来の秘書から国務院副総理秘書長。孔丹の実弟、孔棟は国航集団のCEOだった。いわば太子党、権貴階級を代表する。

孔丹は80年代初頭に国際金融に乗りだし、香港で経済活動を広げたが、王光英(劉少奇未亡人)らに近く、また香港財閥の李嘉誠にも近かった。香港で国際ビジネスの足場を築いた。

孔丹は経済の論客としても知られ、「急速な自由化は中国の社会主義路線にそぐわない」とやや保守的で、トウ小平の最大のライバルだった陳雲の路線に近かった。2年前に引退し、回想録を出した。

その孔丹に理論闘争で最大のライバル視されたのは秦暁である。

秦暁は今も「招商銀行」のCEOとして活躍しており、金利政策税制政策では世界市場に向かって発言する機会が多い。

秦暁は「自由な市場とは自由、民主と体制とならざるを得ず、民族主義などは虚無でしかなく、富国強兵は意味がない」と鋭い批判しており、「庶民の声を聴かずして一方的な政策策定には問題がある」と活発な発言をしてきた。

人脈的には朱容基、王岐山に近い。


 ▲大使党内も様々な人脈と思惑が交錯していた

王軍は革命元勲で党中央学校の校長も歴任した王震・大将の息子だ。王震は「八大元老」のひとり、最後は党軍事委員会副主席、政治局員でもあり、国家副主席としてトウ小平政権を支えた。

息子は早くから実業界に乗り出し、CITIC(中国国際投資)の幹部として活躍したが、引退後は「中国天然投資ファンド」を設立している。 一時は『紅二代』の実業家の代表と言われた。

中国経済の「鳥かご論」を掲げ、トウ小平の改革開放路線を常に批判していたのは陳雲だが、その息子が陳元である。

陳元こそは、いまや中国を代表するバンカーとして国際的にも有名人、謎の巨大投資銀行「中国開発銀行」を率いた。

同銀は世銀の貸出額より巨額、合計55兆円を中国の国有企業を中心に貸付け、「華為技術」、「中国通信(ZTE)」に政策的にも大胆に出資したため、米国からは目の敵とされた。

その陳元はいま世銀を敵に回す「BRICS銀行」を率いることとなり、今後オバマの米国と正面から対立するポストに就く。

しかし在米華字紙の「博訊新聞」は8月16日付けで、習近平がこれらの経済界の大物たち、とりわけ「紅二代」の太子党幹部らを「頭が老朽化しており古い」と批判し始めているというのである。

太子党の大物たちも習近平の権力固めの過程では、すでに「用済み」段階に入ったか?
  
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