2014年08月21日

◆私の「身辺雑記」(135)

平井 修一


■8月19日(火)。朝は室温28度、快晴、強烈な日射し、暑くなりそうだ。散歩では茶色のオオヒカゲ(?)と真っ黒のオハグロトンボが、落ちて潰れた柿の実の果汁を吸うため、うじゃうじゃ群舞。田舎の雰囲気が多少残っているのがわが街のいいところだ。

犬は中間点で「帰ろうかな、それとももう少し先まで行こうかな」と立ち止まって考える。ちょっと面白い。犬は去年の夏は4回も熱中症になったので、今年は注意して早朝に無理しない距離を歩いている。32度になったらクーラーをつけて引き篭るなどの対策が奏功して、今のところ熱中症は1回もない。ケアがよければ健康寿命は延びる。


人間は本人が「ケアが大事だ」と痛感するときには病気になっていることが多い。後悔先に立たず、後の祭り、だ。小生も酒量を半分、せめて3分の2に減らせたらいいのだが、「分かっちゃいるけど止められない」。植木等の父親は住職だったそうだが、この言葉は人間の業を言い当てていると言っていたそうだ。


プーチンと西側諸国はテーブルの上ではジャブを出し合っているが、テー
ブルの下では互いにすりすりしている。お互いを必要としているからで、
「分かっちゃいるけど止められない」のだ。ロシアの声8/18から。

・・・

「米国防総省は、アフガニスタンのためのロシア製多目的ヘリ購入にこだわっている」。ロシア国防輸出社のセヴァスチヤノフ副社長の言葉だ。

しかし米国議会はロシア製ヘリの購入に反対で、米国産のそれに代えるべきだと主張している。

ペンタゴンはロシア側とアフガン向け多目的ヘリMi-17B-5を70機購入することについて3つの契約に調印済み。この契約に基づき、既に45機がアフガンに派遣されている。

ペンタゴンは議会に、ロシア国防輸出社を制裁リストに加えないよう求めていた。ペンタゴンはアフガン向けロシア製ヘリを購入することを重要と判断していた。アフガンのパイロットらはロシア製に慣れており、再訓練の必要がないからだ。(以上)

・・・

米国などはフランスにロシアが発注した強襲揚陸艦をプーチンに渡すな、日本が買えば一番いい、なんて勝手なことを言っているけれど、現実には「砂漠に強い」とも言われるロシア製ヘリがなければアフガンで米国は戦えないのだ。なんか締まらない話ではある。これでは冷戦にもなりゃしない。早く手打ちをしたほうがいい。「分かっちゃいるけど止められない」か。

■8月20日(水)。夕べは熱帯夜だった。朝は室温30度、快晴、強烈な日射し、火傷をしそうなほどだ。クーラーを急いで掃除する。8時半には32度、犬が死ぬ、クーラー部屋に引き篭る。

習近平が破滅的暴走をし始めた。「紫禁城の黄昏」ならぬ「中南海の黄昏」最終章みたいだ。支那通の近藤大介氏の論考「北京市政の整頓のために報刊亭1000軒を破壊!? 中国の現実」8/18は、最後の皇帝、習近平の破滅的かつ自爆的暴走振りを伝えている。最早末期症状だ。以下要約。

・・・

*「この国はいつだって庶民が犠牲になる」

8月1日、私は北京最大の目抜き通り建国路(長安街)に面した「報刊亭」(新聞・雑誌スタンド)に来ていた。より正確に言えば、「報刊亭跡」に来ていた。

私は2年前まで北京に住んでいて、毎日山のように新聞やニュース誌を買っていた「報刊亭」だ。それがこの日、半年ぶりに訪れてみたら、「報刊亭」は跡形もなく消えていたのだ。隣にあった屋台のハンバーガーショップも消えていた。

私がキョロキョロと辺りを見回すと、遠くで男が手を振って、急いでミニバイクに乗ってやってきた。懐かしい「報刊亭」のオヤジだった。

「新聞と雑誌を買いに来たんだけど、なぜここに『報刊亭』がないの?もしかして引っ越したの?」

私が聞くと、オヤジは大きくため息をついて、語り出した。

「昨晩、陽が暮れたので店を畳もうとしていたら、突然大型トラックが目の前に止まり、そこから大勢の男たちがドドドドッと降りて来た。そして瞬く間に、報刊亭を叩き潰し、置かれていた新聞や雑誌もすべて、トラックに詰めて持っていってしまった」

「それはひどい話だ。すぐに公安(警察)に訴えたの?」

「オレの『職場』を叩き壊したのは公安なんだよ。公安に訴えてどうする」

「ではなぜ公安は、突然そんな蛮行を行ったの?」

「さあね。昨晩、公安の連中に聞いたら、『市政を整頓するためだ』と言っていたが、よく分からない」

「ここの報刊亭だけがやられたの?」

「この建国路と、第三環状線の東路すべてだ。100軒近くに上る」

「こんな目に遭って、公安からの保障はあるの?」

「そんなものあるわけないだろう。この報刊亭を借りるのに、3万元(約50万円)の敷金がかかったのに、それもパーだ」

「本当にひどい話だなあ。で、今後はどうするの?」

「仕方ないから、家の荷物をまとめたらすぐ、安徽省の故郷に戻るよ。この国はいつだって庶民が犠牲になるんだ」

そう言って「報刊亭」のオヤジは、シニカルな笑いを浮かべた。

事ここに及んでも、笑顔を振りまけるのだから、中国の庶民というのは、何と偉大な存在だろうと、その場で感心してしまった。私はあの歯の抜けたオヤジのシニカルな笑いと、「この国はいつだって庶民が犠牲になる」という言葉は、生涯忘れないだろう。

*『人民日報』の兄弟紙になり果てた新聞・雑誌にすっかり呆れてしまった私は、ここの「報刊亭」でいつも買っていた新聞の幹部を務める知人に電話を入れた。するとその新聞社幹部も、ため息交じりにこう述べた。

「最近潰された報刊亭は、100軒どころではない。北京市内には計3000軒の報刊亭があったが、すでに1000軒が潰された」

「習近平政権は、首都・北京の文化発展を政権のスローガンにしているではないか。それなのに、なぜこんな蛮行を犯すの?」

「それには二つ説がある。一つは北京APECの季節が近づいてきたので、新疆ウイグルのテロリストたちが隠れやすい報刊亭を事前に潰したという説。もう一つは、北京の報刊亭は、このほど立件された周永康(元中国共産党中央政治局常務委員)の利権になっていたので、それを叩き潰したという説。


いずれにしても、習近平政権がいかに文化的でないかは一目瞭然だろう。こちらは一番売れ行きのよかった首都で、3分の1もの売り先を潰されて、商売あがったりだよ」

中国では、政府がこのような蛮行を犯しても、新聞は記事にできない。新聞社はすべて国有企業であり、党中央宣伝部の出先機関と言える中央官庁の新聞出版広電総局の統制下にあるからだ。この官庁の許可がないと、本1冊、雑誌1冊、記事1本出せないのが中国なのだ。中華人民共和国憲法第35条で保証されている「言論、出版の自由」は一体何なんだろうと思えてくる。


半年ぶりにじっくり隅々まで読んだ中国の新聞やニュース雑誌は、すっかり様変わりしていた。一言で言えば、胡錦濤時代には各紙誌が百花繚乱だったのが、いまやすべてが共産党機関紙『人民日報』の兄弟紙のようになってしまったのだ。金太郎アメと化した中国の新聞や雑誌の数々・・・。

そういえば、この半年で、中国人の気骨ある知人のジャーナリストが、3人辞めた。いずれも「この国のジャーナリズムはもう死に絶えた」と言い残して。一人は、農村の生活改善を求めるボランティア団体に加わった。別の一人は、インターネットの広告会社に再就職した。残りの一人(女性)は、「もう出産は諦めていたが思い直した」と言って、不妊治療にチャレンジしている。


*「南ロシア」から「西朝鮮」へと後退した中国

ともあれ、「報刊亭破壊事件」のことをこのコラムで書こうと思って、宿泊先へ戻ってパソコンを叩き始めた。だがそこから、悪戦苦闘が始まった。何と習近平政権は、グーグル、ヤフー、フェイスブック、ツイッター、LINE、カカオトークなど、中国国外とアクセスできる手段を、すべてシャットアウトしてしまったのだ。


習近平主席は、今年2月に、「中央インターネット安全情報化指導小グループ」というネット規制の最高取り締まり機関を新たに設置し、自らがグループ長に就いた。そして5月には、アリババやテンセントなど、中国国内のネット大手7社を屈服させてしまったのだ。

この7社はすべて、中国当局の検閲や統制を受け入れた。悪名高い「ネット警察」も、これまでは公安が数十万人規模の人員を割いて行っていたが、いまやこれら中国企業内部に「ネット警察部署」を作らせて、自主規制させている。

私は中国人とは普段、中国版LINEの「微信(ウェイシン)」でやりとりしているが、7月以降、「この閲覧は禁じられています」という表示が頻発するようになった。そもそも中国人のネットユーザーたちが、中国版ツイッターの「微博(ウェイボー)」を離れて「微信」に走ったのは、単に便利だということもあるが、表現が自由だからだった。利用者はすでに6億人を超えている。それが習近平政権は、ここにも大幅な規制の手を入れてきたのだ。


こうした中、「外資」の締め出しが本格化しだした。中国国内で850万人が利用していたLINEは7月以降、完全にシャットアウトされた。

いまや中国人は、自分たちを自虐的に「西朝鮮」と呼んでいる。「北朝鮮の西側にある北朝鮮と同じような国」という意味だ。その前は「南ロシア」だったのが、さらに一歩、後退したらしい。

*東京にあって北京にないもの

というわけで、このコラムを東京に送ることができず、一週空いてしまった。その後、日本へ帰って、自由にモノが言えることの嬉しさといったらない!読者にお詫びすべきところを開き直ってしまい申し訳ないが、新鮮な空気と共に、東京にあって北京にないものが「表現の自由」なのだ。


私などは、こんな言い訳をして済んでしまうが、日中ビジネスに携わっているビジネスマンたちはどうしているのだろうか?こんな通信状態では、ビジネスもままならないはずだ。北京の某日系企業総経理(社長)に聞いたら、次のように答えた。

「まず、日本から来た出張者たちは、一様に青ざめるね。こちらから事前に『中国の現実』を知らせてあげているのだが、『まさか同じ地球上なのに、ネットが使えないなんてことはあるまい』と見くびってしまうのだ。それであたふたしているうちに、帰国の日を迎えてしまう。

こちら北京の駐在員たちには、二つのパターンがある。一つは、いつ中国当局に検閲されても構わないという覚悟を持って、中国のメールアドレスを取得し、中国のネットだけを見ている人たち。だがそれには相当レベルの中国語能力が必要だし、日本のニュースを見ようと思ったら反日記事のオンパレードだったりする。

もう一つは、様々な迂回方法をとって、グーグルやヤフーなどにアクセスしている人々だ。ただこれは中国当局とのイタチごっこなので、いつストップするか知れない」

いずれにしても、ネット環境一つとっても、中国ビジネスは大変やりずらい時代に入ったと思う。そして、中国で生きるのは大変なことだと、改めて感じた次第である。(以上)

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