2014年08月27日

◆中国の夢にこだわり続ける習近平

加瀬 英明


アメリカでヒラリー・クリントン夫人の回想録が、よく売れている。

この中で、国務長官時代にASEAN(東南アジア連合)会議に出席した時に、中国の横柄な態度に呆(あき)れたと、回想している。

この席上で、中国の楊潔虎外相が領土問題が取り上げられた時に、アジアの代表を見まわして、「中国は大国である」と傲然として、いい放ったと
いう。

習近平主席は、2013年に最高権力者の座についた時に、全人代における就任演説で、「中華民族5千年余の文明に立ち返って、国造りに当たる」と述べ、閉幕式において「中華民族の偉大な復興という、中国の夢(チュングオモン)を実現しよう」と、訴えた。

それ以来、「悠久の中華文明」「中華文明の偉大な復興」「軍事闘争の準備を最重視する」「強国夢(チャングオモン)と強軍夢(チャンチュンモン)の実現に奮闘しよう」「海洋(ハイヤン)強国(チャングオ)」と、繰り返し演説してきた。

今日の中国も2千年以上にわたって、興亡を繰り返してきた歴代の中華帝国と、中国が世界一の文明であると思い上っていることが、まったく変わっていない。中華思想とか、華夷秩序と呼ばれるが、この“天下イズム”は、秦の始皇帝の兵馬俑や、歴代の皇帝が、地下の墓場から甦ったようなものだ。

習近平主席の頭は、中華思想によってすっかり爛(ただ)れている。

このような中国と、いったい、どのように向き合えばよいのだろうか?

5月に、私の中国論の集大成として、『中国人、韓国人にはなぜ「心」がないのか』(KKベストセラーズ新書)を出版したが、中国人の価値観と行動様式を理解する鍵として、中華料理、王朝がしばしば交替する易姓革命、儒教、漢字を取りあげている。

中国人にとっては、食こそが、何よりも重大事だ。「民は食をもって天と為(な)す」というが、中国人は即物的であり、享楽的で、現世利益がすべてだ。精神性が欠けた文化だ。

中国文明は、政治がすべてである。政治のためには、すべてが正当化される。だから、私たちが知っているような公徳心も、愛国心も存在しない。

儒教は日本で誤解されているが、統治思想である。日本にくると、有益な精神修養哲学となったが、専制政治を行う手段である。

儒教では、孝が何よりも大切な徳目とされている。孔子の『公羊伝(くようでん)』は、父親や、身内が悪事を行った場合には、外に対して口にしてはならず、隠蔽(いんぺい)しなければならないと、教えている。

ある村で、息子が「父が羊を盗んだ」といって、告発した。孔子は「身内の不祥事を、外に絶対に洩らしてはならない。隠すのが、人の道だ」と、説いている。

儒教には公(おおやけ)の概念が、欠落している。中国で公というと、皇帝と朝廷のことであって、日本のように国全体を指していない。だから、不都合なことをひた隠しにするのは、徳に適うことなのだ。

天安門事件をひた隠すのも、新幹線が重大事故を起こした時に、大きな穴を掘って埋めたのも、儒教の教えに従ったものだった。

漢字は、秦の始皇帝が命令を全国に下すために統一したもので、政治のための文字だ。日本にくると、仮名を混ぜることによって、毒をすっかり抜くことができた。

中国人は力しか、理解しない。何よりも、中国の文化を知らなければならない。



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