平井 修一
支那通の近藤大介氏の論考(9/1)から。
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*中国から見た北朝鮮の風景
このほど、『習近平は必ず金正恩を殺す』(講談社刊)という新著を上梓しました。そもそも、私が弊社出版部の某名物編集者に、「中国から見た北朝鮮の世界を描きたい」と申し出たことがきっかけでした。そして原稿を渡したら、名物編集者が、このようなコワいタイトルをつけて世に問うたというわけです。
日本人は普段、朝鮮半島の南側から、日本海を隔てた北朝鮮を眺めるという癖がついています。ところが、中国人は逆側の北方から、大陸に付属している「盲腸のような」北朝鮮を眺めています。
北朝鮮に対して日本と中国のどちらが影響力を持っているかと言えば、それは圧倒的に中国なわけです。ならば、「中国から見た北朝鮮の風景」を提示することは、日本において意味があろうかと思ったのです。特に、国交正常化に向けて、日朝交渉が始まった今日この頃においてはなおさらです。
*中国が戦争を仕掛けるうえでの5条件
私はこの本で、多くのことを述べましたが、その一つが、「習近平の中国は、いずれ戦争に打って出るだろう」というものです。まるで長手数の詰め将棋を解くような作業ですが、習近平政権の現状から近未来を分析していくと、どう見ても戦争に行き着きそうな気配なのです。
経済が悪化して社会が混乱すると、古今東西を問わず、大国の為政者というのは、対外戦争に走りがちです。中国の場合、全面戦争というよりは、局地戦になろうかと思いますが、ともあれ(1979年の中越戦争以来)30年ぶりの「開戦」の可能性があると思います。
偶然ですが、ノーベル経済賞学者のポール・クルーグマン米プリンストン大教授が、8月18日付のNYタイムズのコラムで、同様の指摘をしています。その翻訳は、8月22日付の朝日新聞が、全文を掲載しています。クルーグマン教授は、その長文のコラムを、次のように締めくくっています。
<もし中国経済の奇跡が終わるとしたら、そのとき同国の指導者たちはどう駆り立てられるのだろうか。(数多くの経済学者がじきに起きるだろうと考えている)。戦争を始めるというのは、非常にまずい考えだ。それでも戦争は起こり続けている>
クルーグマン教授は、中国がどの国と戦争するのかまでは言及していません。しかし、中国はアメリカのように世界中に軍を展開しているわけではないので、戦う相手はおのずと、近隣諸国に限られます。その際に、対象となる国・地域の条件は、次の5つと思われます。
[1] アメリカがその国・地域の味方をしない
[2] 中国が「開戦」する大義名分が立つ
[3] 中国が容易に勝利を収められる相手である
[4] 中国の国民が嫌っている国・地域である
[5] 習近平主席とその国・地域のトップが一度も首脳会談を行っていない
仮に日本が相手としたら、当てはまるのは[2]、[4]、[5]になります。対日戦争を仕掛けるとしたら、尖閣諸島を巡る領土紛争でしょう。
しかし、[1]と[3]を満たしていないため、対日戦争は中国にとって、かなりハイリスクになります。戦争というのは勝利を収めれば為政者の支持率は急上昇しますが、万一、敗戦すれば、政権崩壊となる可能性が高いからです。
そのため、よほどの偶発事故でも起こらないかぎり、習近平政権は日本に対して、戦争を仕掛けてくることはないだろうというのが、私の見立てです。
とすれば、相手はどこか。中国の周辺国で、この5条件を満たしている国が、ただ1ヵ国だけあります。そう、金正恩第一書記が統べる北朝鮮です。
北朝鮮としても、北部から危険がヒタヒタと忍び寄っているという気配は、当然ながら感じています。だからこそ、今年に入って突然、日本に擦り寄ってきたわけです。
9月には、日本と北朝鮮との国交正常化へ向けた今年4回目となる日朝政府間協議が開かれる予定です。9月は、日朝交渉が茨の道であることを再認識する月になるのではという気がします。(以上)
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平井思うに、近藤大介氏は見方が甘い。以下の考えが必要だ。
1)北は北京と上海に落とす核ミサイルを持っているようだが、窮鼠猫を噛むで、北は核爆弾を使うかもしれない。北は本質がテロリストであり、中共が襲えば平壌を失っても自爆攻撃的な報復をするのではないか。
北は破綻国家であり、失うものは何もない。自暴自棄になる。習近平はどう考えるか。通常兵器による局地戦で済むと見るのか。
2)ウクライナはロシアにとって欧米の圧力を緩める緩衝地帯だが、北朝鮮は中共にとって緩衝地帯である。中朝は昨年末から関係が冷えているようだが、70年近く同志、兄弟、親戚だった。夫婦だって喧嘩はするが、刃物は持ちださない。感情が治まれば、また口をきくようになる。
中朝の貿易額もほとんど減っていない(2014年1〜4月は前年同期比2.8%減)。習が北を襲っても得るものは2000万の貧民だけだ。開戦で得るものは何もない。資源が欲しければ買えばいいだけの話で、戦争の必要はない。
3)北を討ったところで支那のナショナリズムはまったく高揚しない。アヘン戦争以来170年前からの漢族の屈辱を晴らすことにはまったくつながらない。
すなわち「敵は日本でないとまず」いのだ。抗日戦を完遂し、勝利することで初めて中共の独裁統治の正当性を高めることができる。尖閣、沖縄を強奪して東シナ海、西太平洋から米軍を追放、日本を自治区にすることで屈辱を晴らし、アジアの覇権を立てることができる。延命できる。
さすれば習近平は英雄になれる。毛、トウと並ぶ三大指導者として歴史に名を残す。
日米豪印に勝たなければ中共崩壊は時間の問題だろう。習は最後の皇帝になりかねない。名誉か、死か。自己肥大の誇大妄想患者、習は一か八かの賭けに出る。
4)6.4天安門事件のように中共軍は弱者に対しては圧倒的に強いが、そもそも習の命令に従って、戦死を覚悟して戦地に赴く将兵がいるのかどうか。「呼べば来る、来れば戦い、必ず勝つ」なんて声高に言っているが、現状は「呼んでも来ない、来ても逃げる、命が大事」で、ほとんど戦争にならないのではないか。
大体、漢族の将兵は近現代史において伝統的に海戦、空戦の経験がほとんどないのではないか。第二の日清戦争にならないか。敗ければ13億の中共、美味しかった利権も吹っ飛ぶ。リスクが大きすぎるが、習はやる気なのだろう。
習の言う「勝てる軍隊」に鍛え直すには最低でも3年、5年、10年はかかるだろう。支那帝国の偉大なる復興という「中国夢」は、夢のままに終わりそうな気もするが・・・中共軍が来れば我が方は「中国夢」を粉砕する。それでも習は吶喊する、そして中共はお仕舞になる。そういうことになるだろう。
中共と北が戦争するなんて、まあ甘すぎる。(2014/9/2)