「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
<平成26年(2014)9月20日(土曜日)通巻第4341号>
〜「中国の武力侵攻は相互理解を踏みにじる行為だ」
モディ首相は開口一番、習近平に怒りを表明していた〜
インドと中国の首脳会談は18,19日にニューデリーで開催された。
ところが、この記念すべき会談を狙うかのように中国軍が紛争地帯カシミールのラダク地区へ侵入した。このニュースがもたらされたとき、モディ首相は怒気を含んだ口調で強く習近平に抗議した。
「これでは相互理解を深めることが不可能である」と。
習近平はこの事態を知らず、翌日になって「事態を憂慮する。現状を維持することが相互の利益であり、(もし中国軍が策定されてラインを侵害したとすれば)それは偶発的事故である」と述べた(『ザ・タイムズ・オブ・インディア』、9月19日)。同紙は、19日午后、中国軍が撤退していると報じている。
習夫人はこの間、デリーのインタナショナルスクールなどを訪問して笑顔を振りまき友好の演技に余念がなかったが、インド外相のスシャマ・グラショットはカウンター・パートの王毅外相と会談し、モディ首相と同じ見解を述べた。
中国はインド訪問に当たって実業界幹部多数を伴い、合計200億ドルの商談をまとめたと言われ、また中国はインド訪問と首脳会談の最大の目的をインドのSCO(上海協力機構)の正式メンバーに加える事だった。
中国と露西亜の考え方では、このSCOを将来的には中央アジアのNATOのような存在とし、アフガニスタンの安定に前向きな施策を共有したいからである。
第2の目的は近未来構想としての「BCIM(バングラ、中国、インド、ミャンマー)の経済回廊」の設立である。
したがってインドのいうような中国軍のカシミール南端への侵攻があったとすれば、習近平は軍をまったく掌握していないことになる。