2014年10月21日

◆我が国の出張旅費の規程

前田 正晶



この度ノーベル物理学賞を受賞された名古屋大の天野浩教授が出張先のヨーロッパからの帰路は「ビジネスクラス(Cクラス)にしなさい」と名大副総長から告げられたとの記事が週刊新潮にあった。私には非常に興味深かった。

それでは国立大学の規定では誰がCクラス搭乗を許されているのだろう。話は違うが、サッカーの日本代表が仁川からシンガポールに向かう際にはCクラスが満席でエコノミー(Yクラス)で行かされたとの報道もあった。彼等は協会からはCに乗せて貰っているようだが、当然そうあるべきだろうか。

ところが、ノーベル賞を貰える大学教授はYだったようだ。経費節約を旨(美風?)とする我が国の出張旅費の規程の文化では、社内というか組織内での肩書きと位で宿泊費・交通費・日当に階級制がある(あるいはあった)ようだ。これは新卒で入社して、嘗ては年功序列で昇進し昇給する文化があったのである以上、当然の処置あるいは格差かも知れない。

私は嘗て、我が国では宿泊するホテルないしは旅館に「私は平社員だから安い部屋に泊めてくれ」と言って予約するのかと皮肉った記憶がある。また、私と一緒にアメリカに来た商社の若手が「堂々と一流ホテルに泊まれる」と率直に喜びを語っていた。

私はこういう制度を否定も批判もする気はない。営々と努力して勝ちとった地位の相応しい出張が出来のは、その努力の賜物であると思うからだ。また「若いうちの苦労は買って出よ」という精神でもあると思うからだ。

またアメリカの話しかと言われるのを覚悟で言えば「アメリカの旅費規程の文化には肩書きも地位も何ら関係がなく、出張中に発生する経費は全て会社負担」となる実費制と規定され、全米有数の会社の社員としては何の問題もなく全米の各都市で我が国で言う「ホテル協会に属する」有名なホテルに泊まり、ビジネスクラスで移動できるのだった。

そこには出張中に赤字が生じるという危険性はない。我々は出張旅費が予算を超過しないように気を配っていなければならないのは当然だが。

一説によれば、ある大手メーカーでは階級別の旅費規程を廃止して実費制に切り替えた結果で、全社的に旅費が軽減されたという例もあったそうだ。私は日米何れの国の制度が良いという議論をする気はない、それは相互に文化の違いがある以上幾ら論じても意味がないと思うからだ。

だが、国立大学の教授がYクラスで海外に出て行くような節約の精神は如何なものかと思うのだ。

W社ではトリプルAに格付けされる企業の社員が、出張先で名もなき安ホテルに宿泊しているようでは「会社の沽券に関わる」という考え方を採っていると聞かされて「沽券ね−」と考えさせられたものだった。

しかし、規定では飛行機ではファーストクラス(Fクラス)に乗って良いとはされていなかった。これはその金額は予算に計上されていないという意味でもある。だが、貯め込んだマイルを利用してアップグレードして乗っている者がいたのは、私を含めて大勢いたようだったが。

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