2014年11月10日

◆閑話休話:友とのメール

浅野 勝人(安保政策研究会理事長)


〜「遠路はるばる来たもんだ!」〜

<吉川英明です。朝刊で日中首脳会談に伴う「合意文書」をみました。アレっと思ったのは、過日、浅野兄が送ってくれた北京大学講義録の内容と似通っているように思ったからです。

確か9月の中旬だったと記憶していましたのでmailを探して見付けました。読み返してみて、基本理念が同じでした。表現まで似ています。

「日中首脳は、相互の見解の相違を認め合って率直に話し合うべきだ」と講義で述べた思考が、まるで合意文書に踏襲されているような錯覚を覚えました。

これは、貴君の予測が的中したということですか。それとも、長期のにらみ合いに区切りをつけるためには、「コレしかない」ということですか。

私は、APECに各国首脳を北京に呼んでおいて、あの人とは会うが、この人とは会わないというような非礼な振る舞いは避けるはずだと思っていました。

ですから、日中首脳会談はやるにはやるが、どんな形式で、どの程度まで双方の問題意識に触れるか、水面下の事前折衝が気がかりでした。
合意文書は満点ではないかもしれませんが、今の時点としては極めて常識的な線に落ち着いた的確な内容と評価します。如何でしょう。

それにしても、ここまで来るのにすいぶんと手間暇のかかるものですねえ。時間の浪費をもっと改善出来ないものかとイライラします。相互不信感のなせる業(わざ)でしょうから、それを思うとこの先どうなることやら案じられます。   (2014/11月8日、吉川英明)>

(★吉川英明氏は、文豪・吉川英治の長男。吉川英治記念館館長。浅野と吉川は、半世紀前、NHKで同期の記者。)

◆私(浅野勝人)の返事メール
〜吉川君 相変わらず冴えていますねえ!〜
 
<私が言ったら自慢話に聞こえてしまいそうでまずい事柄をズバリと指摘していただきました。吉川君、相変わらず冴えていますねえ。

確かに大好きな競馬の3連単馬券を一点買いで当てたみたいないい気分ですが、それは違います。あなたの見解通り、今の時点で日中首脳会談をやるとしたらコレしかなかったからだと思います。

かねて、私は「尖閣列島に領有権問題は存在しない」という政府の方針に逆らって、「見解の相違を認めよ」と右翼から中国の代弁者と糾弾される主張を繰り返し指摘してまいりました。

その理由は、中国側の動機が何であれ、現に言い分が食い違っている以上、それを認めたうえで問題を解決する方策を探るしかないと考えたからです。

そのためには「日中検討委員会」を設置して相違点の話し合いから始めないと、最後は武力に訴えて解決する以外に途がなくなってしまいます。

力による喧嘩は嫌だから“世の中の常識”を説いただけのことです。幸い、APECというタイムリミットがありましたから、日中の国家指導者は国内世論を説得する好機ととらえるのに好都合でした。政治家ならこれも常識です。

だから、9月の私の北京大学での講義で、このように述べました。

「日中間には重要な四つの政治文書がありますが、なかでも日中平和友好条約の原点に立ち返る必要を感じます。今こそ、不幸な歴史に終止符を打ち、未来に向かって友好善隣を誓約した36年前の昭和天皇とケ小平の会見に思いを深くする時です。

日中両首脳は、相互の見解の相違を認め合って率直に語り合うべきです。APECは、二人がアジア・太平洋地域の真のリーダーであることを示すうってつけの機会です」と述べたのです。

その際、学生たちから熱烈な拍手を受けました。北京大学の学生のレベルは高い。

「合意文書」に対して、大騒ぎしてこんな程度かと言われるかもしれませんが、この時期の合意としては極めて重要です。これによって、さまざまな問題を抱える各分野の日中協力の話し合いが再出発できるからです。

事前交渉の黒子は、谷内正太郎国家安全保障局長です。私が外務副大臣の折の事務次官でした。彼は、奇を衒(てら)わない、基本に忠実な外交官で、信頼出来る人物です。

APECがはじまると、北京はオバマ一色になりますが、気にすることはありません。吉川君、今後ともよろしく。>             ( 2014/11月8日:返事、浅野勝人 )





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