2014年11月14日

◆選挙対策は珊瑚密漁への自衛艦出動だ

杉浦 正章




海上警備行動を発令して海賊を一網打尽にせよ
 


解散を決意した首相・安倍晋三は自ら最悪の経済状況をテーマに総選挙に臨むという大誤算をしようとしている。選挙の政策論争にあえて消費増税延期という経済マターを掲げるという不利な選択をしようとしているのだ。


折から17日に発表される国内総生産(GDP)速報値は目も当てられない数値が予想されており、野党は金看板のアベノミクスの失敗と位置づけ攻勢をかける。まさに政策上は四面楚歌の選挙になりかねない情勢だ。しかしただ一つ隘路がある。


それは中国漁船による珊瑚密漁事件に対処することだ。自衛隊法82条の「海上警備行動」を閣議決定し、自衛艦を派遣して根こそぎ拿捕して、取り調べるのだ。それくらいの作戦は現行法で十分可能だ。これしか自民党が選挙に勝つ方法はない。
 

解散を決断した以上全ては選挙戦略をどう展開するかに移行する。安倍が考えているのは消費増税の3党合意を延期するのだから、その是非を問うというものだが、これは素人でも考えつかない愚策だ。野党にわざわざ弱い脇腹をさらして、「刺してくれ」と言っているようなものだ。


なぜなら、庶民の感覚では「延期」は当然であり、誰も褒めそやすテーマではない。逆にアベノミクスの真価を問う選挙戦に突入してしまう。アベノミクスはデフレ脱却の妙手として国民の喝采を浴びたが、4月の増税は明らかにこれに水を差している。


17日のGDP速報値発表に先立って民間の日本経済研究センターが発表した7〜9月期のGDP予測は実質で2.47%。14年度の成長率は実質平均で0.18%と辛うじてプラスを維持するに到っている。選挙戦になれば野党は増税延期を逆手にとって確実にアベノミクスの失敗と捉えて宣伝する。


受けて立つ安倍は実質賃金の低下であえぐ一般国民を前にして説得力のある経済対策を提示しにくい。言い訳になってしまう選挙は必ず敗北する。経済問題は選挙のテーマになる状況ではないのだ。


一方で安倍の成功している分野は外交・安保だ。中国の尖閣侵犯に対する毅然とした対応、米国、豪州、アジア諸国との中国封じ込め路線は多くの国民の支持を受けている。支持率が高いのも中国、韓国、北朝鮮が存在するおかげだ。


しかし珊瑚密漁事件に関してはあ然とするほど有効な手を打っていない。シリア、アフガニスタンで「何も出来ないオバマ」が中間選挙で大敗したが、日本でも全く同じで「何も出来ない安倍」が珊瑚事件で露呈している。明確なる領海侵犯、明確なる窃盗行為がそこにあるのに手をこまねいている。


おそらく中国国家主席・習近平との会談に向けて慎重行動を取ったのであろうが、習は仏頂面で出迎えて、会談時間は通訳を入れればわずか10数分。元米国務副長官・アーミテージから「2人の首脳の表情は互いの靴下の臭いを嗅ぎ合っているようだった」とやゆされた。


アーミテージは「戦後70年の来年は中国にとって逃すことのできない(日本批判の)好機で、あと数年、日中関係は大きくは改善しない。会談を過大評価すべきでない」と述べたがもっともだ。やらないよりましの会談であったというくらいの評価しか出来まい。


珊瑚密漁に関しては度重なる外交的な要求にもかかわらず中国は有効な手段を講ぜず、密漁を放置。13日は117隻が密漁を行っている。安倍はまるで若年性のぼけが発生したかのように何も出来ないままだ。おそらくあの民主党政権でも拿捕の実力行使に出たであろうが、安倍は手をこまねいている。


打つ手はないのか、処置なしなのか。そうではない。現行法でも十分な対処が出来る。それは海上保安庁の対応能力を超えていると判断されたときに、防衛相の命令により発令する自衛隊の海上における治安維持のための海上警備行動である。


既にソマリア沖の海賊の海賊行為から付近を航行する船舶を護衛する目的で行われている。1999年「能登半島沖不審船事件」に際し、初めて発動された。防衛相が海上警備行動の発令を決断すれば可能となる。実際に珊瑚密漁の海賊船は海上保安庁では船舶の不足もあって対処しきれない。


地方創生相・石破茂が「ソマリア沖でやっていることであり、国内で出来ないことでは全くない。海上自衛隊の船に海上保安官を乗せて警察権を執行することは今すぐにでも出来る」と発言している。今すぐにも出来るのならやらない手はない。


自民・公明両党は、外国人による日本領海内や排他的経済水域(EEZ)内での違法操業に対する罰則を強化する関連法案を今国会に提出する方針だが、これこそ「泥棒を見て縄をなう」そのものだ。


経済問題で苦戦を強いられることが必至の選挙戦を、海上警備行動の発令で中国の「海賊」を一網打尽にして、国民の喝采を受けるのだ。 P-3C 哨戒機もフルに活用して、胸のすくような海賊対策をするのだ。


国際世論も国務省の報道官・サキが12日の記者会見で中国の密漁放置を「違法な行為はサンゴを含む多様な種(の存続)を脅かす」と批判。「米国は(野生生物の)有害な取引を撲滅するため、2国間・多国間の枠組みで友好国と協力して取り組んでいく」と述べている。


国務省はおそらく日本の無策にあきれているのだろう。日本政府が「海賊」を一網打尽にして批判する国はどこにもあるまい。通常普通の国が行う普通の警察活動に他ならないからだ。


中国は密漁の弱みがあり、日本政府を批判することは出来ない。中国は意図するかしないかは別として「何も出来ない安倍」を試しているのだ。

     <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)
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