2014年12月04日

◆ダークホースは林佳龍

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
 

<平成26年(2014)12月3日(水曜日)通巻第4411号 > 

〜馬英九への挽歌
  台湾政治はカオス、はやくも次の総統選に国民の関心は移行した〜

11月29日に投開票が行われた台湾の統一地方選挙は与党国民党の劇的な 大惨敗となって、馬英九総統は国民党主席辞任に追い込まれた。

これは表層雪崩とみてよい。野党・民進党は敵失という幸運に恵まれ、望 外の大勝利となった。

すでに敗北結果がでた時点で江宣樺首相らが辞任表明、内閣総辞職とな り、党も幹事長以下殆どが引責辞任を表明した。この事態は台湾政府中枢 と、与党中央執行部が空洞化したことを意味する。
 
そして。

台湾政治の焦点は2016年初頭に予定される次の総統選に移った。国民党も 民進党も2016年総統選挙に臨む正式候補者はまだ未定だ。同時に立法委員 (国会議員)選挙も開催されるので大熱戦となるのは必定である。

国民党がこの不利な状況を挽回するためには最高のエースを出して総統選 挙に臨むしか道がない。他方、こうした状況であっても政権をとれないの であれば、民進党は国民から見放される危機に直面するだろう。

民進党はなんといっても今回の大勝利を主導した蔡英文主席が最有力候補 であるが、彼女の党内基盤は盤石ではなく、裕福な家庭で生まれた彼女は 出世コース一直線でエリート意識が強いため周りの意見を聞かないうえ、 自派がない。

となれば党内から「もっと若くて精悍なイメージのある総統候補」として 名前が挙がるのは台南市長の頼清徳である。

すでに謝長挺と蘇貞昌は不出馬を表明しており、ベテランで残るのは新北 市で朱立倫にあと一歩まで迫った遊錫コン(上に「方」ふたつならべ下が 「土」)がいるが、派閥力学的には党内をまとめきれないだろう。党は綱 領にある「台湾独立」を凍結しており、党内四大派閥のなかで、この遊錫 コンしか、独立姿勢を鮮明にしている政治家がいない。


 ▼ダークホウス、若手の動き

ダークホースは新しく台中市長となった林佳龍だ。

なにしろ林はベテラン政治家、胡志強を大差で破ったのである。林佳龍は 台中の環状線と東西線を組み合わせる「大台中の日の出、幸福の山手線」 をスローガンにするなど話題も多い。ちなみに林は現職国会議員のため近 く補選がおこなわれる。天安門の指導者で台湾に亡命したウアルカイシが すぐに立候補を表明した。

国民党は未曾有の混戦に陥っており、最有力候補は新北市市長の朱立倫、 ついで台北前市長の赫龍斌と副総統だった呉敦義とされる。

世論調査では朱立倫が大幅にリードしている。また呉敦義は選挙大敗の責 任を取らされ圏外に去ったうえ、赫龍斌は台北駅前の再開発事業を巡るス キャンダルを抱えており、出馬の可能性が薄くなった。

党長老の連戦は息子の連勝文が台北市長で無名の医師に惨敗し、また名誉 主席の呉伯雄も息子が桃園市長でまさかの敗北となり、これで国民党内で の発言権は著しく後退する。

となれば、本省人で馬英九最大のライバル=王金平の影響力がいやおうに も増してくるだろう。

ともかく国民党党内の内ゲバが凄く、キングメーカーが不在である。
したがって連戦や王金平、呉伯雄の各派閥が候補者一本化で妥協できない だろう。まして馬英九が党主席をやめたので、次の総統選のキングマー カーになれないばかりか立法委員の公認にも関与できない。つまり死に体 (レイムダック)になる。

こうみてくると2016年に民進党に政権奪回の可能性は高い。
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