杉浦 正章
衆院300議席前後で自民圧勝へ
アベノミクス解散が大当たりにあたった感じだ。朝日、読売、毎日の各紙 の選挙情勢調査が「自民圧勝」の構図を示している。朝日が自民単独で 300議席と踏み切った。
毎日も「自民300議席超す勢い」。読売は「自公で300議席」と慎重だが、 自民は「293議席をうかがう」としている。
選挙まで10日の時点での調査はまず外れない。誰もが予想しない結果とな りそうだが、首相・安倍晋三のみは支持率が高い「今のうち解散」を断行 するという“賭け”に成功したことになる。
この政治の「読み」は卓越しており、長期政権が視野に入ってきた。野党 は「風」を頼りの第3極が全く振るわず、民主党を中心とする選挙区調整 も政策度外視の「野合」の色彩が濃く、有権者の民主党への不信の念は定 着したまま動かない。
朝日によると自民党は「単独で300議席を上回る勢いであり、公明党と合 わせて3分の2の317議席をうわまわる」と分析している。
読売は公明党と合わせて300議席を上回る勢いである。同紙は自民党が小 選挙区で200人近くが優位に立っており、比例選では70議席台と予想し 「絶対安定多数を越え公示前の293議席確保もうかがっている」としている。
公明党については朝日が「公示前の31議席確保」、読売が「31議席を上回 る」、毎日が「31議席からの増加も」と予測。
一方野党は、民主党について朝日が「小選挙区は公示前の25議席から10議 席前後は上積みしそう。比例区は公示前の37議席を上回るかどうか」と予 想。読売は「海江田代表が掲げた3けたの目標には届かない」としている。
毎日は「70議席前後」とした。選挙区調整の候補一本化が誤算であった感 が濃厚に出ている。
一方前回躍進した維新は朝日が「40議席を割り込む見通し。小選挙区は1 けた、比例区も30議席台を割る可能性も出てきた」との見通し。読売も 「小選挙区で優位なのは1けた台。比例区は20議席台」と同様の見方だ。
毎日は「42議席維持は難しい」。ほかの3極は低迷の極みで見る影もな い。野党のうち共産党だけは朝日が「2けた台の議席獲得が有力」、読売 が「公示前の8議席からの倍増をうかがう」としている。
各紙の調査結果が物語るものは、民主党と維新などが小選挙区での乱立を 防ぎ、野党票を効率よくまとめようとした選挙区調整が大きな効果をもた らしていないことを物語っている。
原発再稼働にしても、集団的自衛権の行使にしても政策上の大きな違いを そのままにして、とりあえず候補の一本化を図ろうという「野合」的発想 が否定されつつあるということだ。有権者が反自民ならまとまるという判 断自体が誤算であり、有権者の意思をないがしろにしたものであった。
また前回「風」が吹いて躍進した、第3極も2年間で有権者の「熱」が冷 め、選挙前から崩壊し始めていた。この選挙区調整と「第3極崩壊」がも たらしたものは、自民党への有利な状況である。
やはり経済と外交・安保における安倍の2年間の実績が、国民の間でその 支持率と同様に高く評価されていることを物語っている。
有権者への訴えも「アベノミクスを途中で投げ出すか、推し進めるかの選 択」という設定が奏功した。民主党代表・海江田万里を始め野党の主張 は、自らの政策を打ち出すと言うより、アベノミクスにケチを付ける感が 濃厚であった。党利党略・個利個略の解散がまさに図に当たったことになる。
保守合同後の自民党が300議席前後になるという結果は、岸信介の「話し 合い解散」で287,池田勇人の「安保解散」296,同「所得倍増解散」 283,佐藤栄作「沖縄解散」288、大平正芳「ハプニング解散」284,中曽 根康弘「死んだふり解散」300、小泉純一郎「郵政解散」296、野田佳彦 「近いうち解散」294議席の例がある。
280議席以上取った首相は、最長政権が佐藤、次いで小泉、中曽根、池田 の順で長期政権となっている。
政界は一寸先が闇だが、それを言っては予測が立たない。安倍の場合も来 年9月の自民党総裁選挙で再選され3年の任期が確保される方向だろう。
通常国会は自民党圧勝選挙で野党が脳しんとうを起こして、予算案も年度 内に成立、その後の集団的自衛権法制化も通常国会で実現する流れとなろう。
自民党内には獲得数によっては憲法改正の動きが強まることも予想される が、集団的自衛権の行使が容認されれば、政権のエネルギーを改憲などに 使うより、アベノミクスの総仕上げによるデフレ脱却、極東情勢の改善な どに使うべきであろう。
自民党が現状よりも多い300議席を獲得した場合、日経平均株価は2015年 3月末までに2万円の大台を回復する可能性があるという見方が兜町で強 まっている。
<「衆院選に関心」69%、前回下回る…読売調査
読売新聞 12月3日(水)23時0分配信
読売新聞社の全国世論調査で、今回の衆院選に関心があると答えた人は、 「大いに関心がある」29%と「多少は関心がある」40%を合わせて69%と なった。
戦後最低の投票率59・32%(小選挙区)を記録した前回2012年衆院選時の 81%を12ポイントも下回っており、投票率の低下が懸念される。
関心があると答えた人は、前回に比べて全ての年代で減少した。最も下げ 幅が大きかったのは40歳代で、前回比16ポイント減の64%。30歳代は15ポイント減の58%、50歳代では14ポイント減の69%だった。最も関心が低 かったのは20歳代で、55%だった。支持政党別でみると、自民党支持 層は76%、民主党支持層は77%だったが、無党派層では56%にとどまった。>
<今朝のニュース解説から抜粋> (政治評論家)