2014年12月06日

◆いざ!「ハゲノミクス」

馬場 伯明


毎月文藝春秋を読んでいる。2014/12月号に「ハゲノミクス(ハゲと共に生きてゆく)」があった。キャッチコピーは「堂々としたハゲはカッコいい。ハゲは人生の縮図。ハゲが増えれば日本が明るくなる!?」。本家の「アベノミクス」を陵駕する勢いである。東京への通勤電車で読んだ。

安倍内閣の飯島勲参与(69)と楠木建一橋大学教授(50・経営学)にアンチ安倍首相の福本容子毎日新聞社論説委員(52)を加えた鼎談だ。福本氏には「なぜ世界でいま、『ハゲ』がクールなのか」という著書がある。

飯島・楠木両氏は立派な光頭派(ハゲ)である。本物の二人による丁々発止の対談に福本氏が絡む。だからほんとに面白い。車中で独り笑いする。周囲の乗客の怪訝な視線がじんわりと伝わってきた。

2006年「ハゲ・薄毛論、その後」の投稿以来本誌に何度かハゲのことを書いた。私の髪の現状は相変わらず「バーコード頭」である。左から被せ流しているが間隔が粗くなり真上の毛はほぼなくなった。

しかし、額の生え際が(不思議なことに!)残っており、上背がある私は前から見れば普通にも見える。でも、他人は知っている。「ないね」と言わないだけ。思えば8年間よく持ちこたえた。では、総退却のX-Dayはいつなのか。目下、最大の関心事である。

文藝春秋の鼎談に戻る。3人の軽妙・洒脱なもの言いは笑いと涙の3人漫才のようでもあり、プロによる貴重な知識やご意見、また、意外な「ハゲ神話」が連発される。

「同種族の人物に目が行く。あ、兄弟だな(飯島)」。「(ハゲ)いい人じゃないかって思う(笑)(楠木)」。「私が体感した(世界中のハゲの)共通点はホームレスと王室にハゲはいないこと。ウイリアムズ王子はちょっと薄くていらっしゃるけれども(笑)。ハゲは中間層(飯島)」。なるほど・・。

「私の発見。ハゲてもわりと何とかなる顔だちの人がハゲるということです。この人(の顔)はハゲるとよくないなという人は、あんまりハゲない。神の配慮が行き届いているなと思います(楠木)」。

楠木氏は謙虚だが真剣である。そこで、電車内を見渡せば、あらま、そうのとおり(笑)。そこで「まさにカミの配慮(笑)」と福本氏が追い打ち。

「北海道のホテルが(抜け毛がないハゲの客は)排水口の掃除が楽だとハ
ゲ割(500円)を始めたんです(福本)」。嘘だと思えば、あらら、Googleしたら、層雲峡マウントビューホテルがやっている(笑)。

「失敗ばかりの人生だと『すみません』と頭を下げるから後ろからハゲる(飯島)」。「その説は初めてうかがいました。私が先方に『頭を丸めてまいりました』って言うと、『お前、もともとじゃねえか』と返って来て・・(笑)(楠木)」。

そうかな? BSフジの人気番組「プライム・ニュース」の反町理キャスター(50・フジTV報道局政治部編集委員)の舌鋒は鋭く「すみません」とは縁遠い。また、友人で秀才のK氏も議論では引かない。「後頭や天辺がハゲている人は頭を下げると目立つ」という程度ではないのか。

「高橋克実さん(53)は頭頂部のハゲを横の髪で隠していたのですが、ある時から今のスタイルに・・(福本)」。バーコード頭と決別した心意気や、よし。「ベストハゲニスト賞をやったらいい」と楠木氏がフォロー。

「アハハハハ。そうやってハゲをうまくネタにして、場の雰囲気をよくするのはとてもいいこと。周りを明るく照らせるプラス思考のハゲの方が多くなれば、日本全体もきっと明るくなる」と福本氏がまとめにかかる。

悟りの境地に達している両氏の堂々たる「ハゲ論」には敬服する。さらに、両氏とも発毛剤や育毛剤、それとカツラを一刀両断する。けだし、炯眼(けいがん)である!いちいち、正しい。
「(発毛剤使用は・・)毛頭ありません。お金も時間もきりがない。(ハゲは)髪を洗うのもすぐ終わる。櫛も整髪料も必要ない(楠木)」。「結局、本人が気にしているほど、周りは気にしていない(楠木)」。

「(ハゲの)不自然な防御方法の最たるものがカツラなんです(楠木)」。「(かつらは)実際にはパッと見てわかっちゃう(飯島)」。「そう、そこが気の毒なんです(福本)」。

「経営者でカツラの人ってあまりいませんね(飯島)」。「何を言っても、『カツラじゃん』と言われたら説得力がなくなってしまう(笑)(楠木)」。

ハゲで困ることがあるという。「手で前髪を払う仕種ができないのは寂しいね(飯島)」「最大の欠点は誤魔化すことができない。ハゲは額縁のない絵と一緒(飯島)」。

「ハゲは、男性ホルモン過多なので、女を求める資質が優れ、結果として、アレが強い」。これは有力な「ハゲ神話」の一つである。私は「何とかなる顔だち」ではないので、光頭派の先輩たちに追い付くにためはもう少し時間がかかりそうだ。

古来「バカとハゲにつける薬はない」と言われてきた。ところが、文藝春秋の鼎談を読み、両氏には「(ハゲだけれども利口だから)薬はいらない」ということがよくわかったのである。ガッテン!ガッテン!

映画「アナと雪の女王」で、松たか子は「Let It Go−ありのままで−」を高らかに歌った。

♪ありのままの姿見せるのよ  ありのままの自分になるの私は自由よ これでいいの  少しも寒くないわ

「失った毛を数えないで、自分が持っているものに眼を向ける。そういう現実をプラスに転換して楽しむ(福本)」。

「『ありのままで』いいんですよね(福本)」。「そう、『ハゲのままで』(楠木)」。めでたし・・・。(2014/12/4千葉市在住)。


(追記)

1.本文中、(笑)の表示が多くなった。それだけユーモアにあふれ、楽しく有意義な鼎談だったということである。

2.福本容子氏の著書「なぜ世界でいま、『ハゲ』がクールなのか」(840円・講談社・2014/8)はまずまず売れているらしい。     



            
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