2014年12月08日

◆習氏、基盤強化に逆効果?

矢板 明夫



中国の習近平指導部は党内の一部勢力の反対を押し切って、収賄などを理由に前最高指導部メンバーの周永康氏の党籍を剥奪し、刑事責任を追及することを発表した。中国共産党史上、前例のない汚職追及の姿勢を内外にアピールし、失墜した党の信頼回復を目指すとともに、自らの権力基盤を固めるのが狙いとみられるが、その効果を疑問視する声も多い。


共産党規律部門が発表した周氏の容疑は、巨額の収賄、親族による企業の不法経営、国家機密の漏洩(ろうえい)、多数の女性との不道徳な関係など多項目にわたる。「周氏を失脚させたことは正しい決断であることを印象づけようとした」(中国メディア関係者)ものだが、発表を受け「このような人物がなぜ抜擢(ばってき)され続け、共産党の最高幹部にまで出世できたのか」「ほかの党高官は同じようなことをやっていないのか」といった疑問を持った国民も少なくない。


また、今回の周氏に限らず、党高官への調査に関する報道は厳しく管理され、ほとんどのメディアは国営新華社通信の原稿だけを使うように指示されているという。独自の取材や論評は許されておらず、「密室の権力闘争の結果を国民に宣伝しているだけ」との印象は拭えない。

ある党関係者は「周氏の事件をアピールすればするほど党のイメージが悪くなるかもしれない」と話す。

また、欧米や香港のメディアが報道したように、曽慶紅元国家副主席、温家宝前首相など多くの大物党指導者の親族にも巨額な不正蓄財の疑惑がある。周氏への厳しい対応で、党内の緊張が一気に高まったとの情報もある。

習主席による反腐敗キャンペーンが今後も続くなら、身の危険を感じた党長老が束になって逆襲に出てくる可能性もある。(北京 矢板明夫)

                     産経ニュース:2014.12.6
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