「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」
<平成26年(2014)12月30日(火曜日)
通巻第4427号 <臨時特大号>>
〜中国外相、ネパールとバングラデシュを訪問し、インドを露骨に牽制
ネパールに16億ドルを援助、発電所建設。ヒマラヤ越えの鉄道建設を約束
ネパールは誇り高い国である。
「国際平和の最前線に貢献するのはネパール」とカトマンズ国際空港の看板に書かれているのはネパールが誇るグルカ兵のことである。国連軍に1000名が常時派遣されている。ほかに1000名がブルネイ王宮を守っている。
グルカ兵OBは引く手あまたで、たとえば香港、シンガポールなどの銀行ガードマン(ただし鉄砲で武装している)を担っている。
ネパールはヒマラヤ山脈の南側、6000メートルから8000メートルの山々は世界の登山家を魅了したが、同時にチベットからの難民ルートであり、また貴重な水源地でもある。
インドは従来、ネパールを保護国なみに扱い、また最貧国で寒冷地のため農業生産も思うようにならない。それゆえにインドの援助に期待してきた。ネパールの若者はインド、シンガポールに出稼ぎに出る。近年は相当数が日本にもやってくる。
華字紙が報じた。「中国外相、尼泊爾、孟加拉を訪問」と。前者はネパール。後者はバングラの意味である。
12月26日、王毅(中国外相)はカトマンズを電撃訪問し、「両国関係は互恵的であり、友誼関係に揺るぎはなく、また同時にインド、ネパール、中国の3国関係は南アジアの安定にきわめて重要」と述べた。
同時に「早い時期に李克強首相がネパールを訪問する」としたうえで、王毅は、ネパールの発電所建設に16億ドルを貸与するとした。この額はインドがネパールに対して行っている経済援助より多く、あまりに露骨な札束外交とその傲慢さにインドは不快感を示した。
言ってみれば自分の庭先に敵国が土足で踏み込んだような印象だからだ。
しかし中国を梃子にインドと距離を取ろうとするのがネパールの外交均衡感覚である。
ネパールは存外したたかであり、ブータンのようにインド一辺倒な純真さはない。
その後、王毅外相はバングラデシュの首都ダッカを訪問し(12月28日)、「両国関係には係争もなく、友好関係は40年にわたり、今後も重要な地位を占める。バングラデシュの発展に中国は寄与したい」として、ここでも隣国インドを牽制した。
この中国外交に警戒を強めるインドは王毅のネパール、バングラデシュ訪問を大きく取り上げ、インドの庭先を荒らすかのように批判的論調が目立った。