2015年01月11日

◆末期ガン患者の「在宅ケア」

毛馬 一三



末期ガン患者の治療などの「緩和ケア」を如何に進めるかが、いま大きな社会問題になっている。行政・医療機関・開業医が、末期ガン患者を在宅でサポートするため、如何にして有機的な連携を取れるかという課題だ。


しかしその連携だが、決して円滑だとは言い難い。医療機関で治療を受けている末期ガン患者が、<自宅で痛みをコントロールし自分らしい人生の最後を過ごしたい>と思ったとしても、現状は医療機関と地域ケアの軸となる開業医との取り組みが希薄な上、肝腎の「在宅ホスピス」専門開業医の不足が障害となっているからだ。


そんな中、大阪北千里で、医療法人永仁会・千里ペインクリニック主催の「在宅ホスピス」の在り方を考える「勉強会」と「家族の会」とを兼ねた初会合が開かれた。出席者はスタッフを含め80人を超える予期以上の参加者に上った。


「千里ペインクリニック」は、「痛みの専門クリニック」の外来部門と、24時間・365日往診部門の「在宅ホスピス」を併設した診療所で、関西で数少ない「在宅ホスピス」を運用する診療所の1つだ。そして注目のこの「在宅ホスピス」部門では、2004年6月の開業以来ガン患者の在宅治療に当っている。

さて注目は、まず「在宅ホスピスとは・・」と題して医療法人永仁会の松永美佳子理事長の講演だった。

それによると、
<@ 在宅ホスピスの意義A家と病院の違いBチーム医療の重要性とサポート体制C延命の利点・欠点D在宅移行時の障害E入院に比べて費用は軽減F家と病院の違いG在宅ホスピスの課題などを軸に、医療現場での感激や悩み、それに病院との連携、経営維持の課題など現場で直面している諸問題についての分かりやすい解説だった。

特に「在宅ホスピスの意義」では、
☆最後まで自分らしい人生が送れる。☆残された時間を有意義に使える。☆家族の絆が強くなる。☆家族が死の受容をしやすい。☆みなが死について考える機会となる有意義性が顕著だと強調された。


また「家と病院の違い」の点では、点滴・各種ドレーン(体内の液を管で排出)の管理・人工呼吸など、(病院で行う手術・副作用の強い化学療法以外)殆ど家で出来ると、在宅ケアの実情を説明。


締め括りの「在宅ホスピスの課題」は、患者のためには、より早い時期からの病院との連携が不可欠であることを指摘することだった。>


会合はつづいて、在宅ホスピスを利用した家族の声を聞く「在宅ホスピスの体験発表」に移り、体験談を披瀝した。


この中で、末期ガンで夫を亡くした2人が、<在宅ケアに当ってくれた医師・看護師さんからの支えで、生前夫と心穏やかにゆっくり話が出来、なすべき事がすべて出来た。「在宅ホスピスの大切さ」を知ったし、この経験を広く伝えたい>と語った。


ところで問題はまだ山積している。医療機関と開業医の連携問題もその一つだ。大阪厚生年金病院では、医師・看護師・ソーシャルワーカーなどによる「緩和ケア対策チーム」が結成された。


大阪厚生年金病院と連携できる開業医のピクアップを、地域性や能力などの点から選定する作業に取り組む一方、ばらばらに実施している院内緩和ケアの現状を一本化する対策が進められている。主要医療機関も動きは大きい。


北千里で始った「緩和ケア現場」のささやかな運動が、他の診療所や医療機関にも波及して、「痛みで苦しむ患者の救済」に発展することを願っている人たちは多い。 (加筆修正:再掲)

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