2015年01月20日

◆岡田執行部は「中道左派」への傾斜

杉浦 正章


リベラル系取り込みで枝野続投 

「大工が使う曲尺(かねじゃく)と柱の垂直を見る下げ振りをカバンの中に入れている」というくらい杓子定規なのが新代表に決まった岡田克也だ。その下げ振りが示す大黒柱がどうも左に大きく傾いているようだ。

朝日新聞は民主党勢力を延ばしたい一心か、しきりに社説などで「穏健中道だ」と主張するが、岡田が旧社会党計のリベラル票欲しさで左旋回したことを無視している。その証拠の最大のものは枝野幸男の幹事長続投であり、政策では集団的自衛権反対、原発ゼロ政策である。

維新との再編も真っ向否定で、まさに実態は左傾化路線であり、中道という文字を使うなら「中道左派」路線である。対立した右派・細野豪志を政調会長にしたが、当面の党運営は岡田・枝野のペースで進むだろう。

岡田の発言で奇異に思ったのは「 私の立ち位置は宏池会」と述べた点だ。外相・岸田文男はいつから岡田が入会したかと首を傾げるに違いない。

宏池会の歴代首相池田勇人、大平正方、宮沢喜一も保守本流であるはずの宏池会の名前を野党に使われて、失笑しているだろう。

「旧社会党のリベラル路線に急傾斜している岡田など、宏池会に入れるな」と草葉の陰で怒っているに違いない。代表選の経緯を見れば、そもそも党内左派が長妻昭を擁立したのは、3人立てれば党員サポーターを交えた選挙で誰も過半数を獲得できずに国会議員による投票に持ち込めて、存在感を発揮できるという狙いがあったからだ。

案の定過半数に達した候補はおらず、リベラル系がキャスチングボートを握る結果となった。

岡田、細野共に裏舞台でリベラル議員の抱き込み戦に突入、17日から岡田が赤松広隆、細野が大畠章に大接近したが、結局赤松と赤松に近い参院民主党のドン輿石東の意向が強く働いて岡田が133対120ポイントで国会議員選挙を制した。

しかし問題はその多数派工作で輿石・赤松ラインが提示した要求だ。党の基本路線と人事と政策の3つがポイントであり、路線では維新などとの再編なし、人事では枝野の続投、政策では集団的自衛権の行使反対と原発再稼働反対を基軸としていた。

岡田としては枝野とはもともとウマが合うから留任させることを決断、いの一番に赤松に連絡したと言われている。また基本路線について岡田は、維新との再編を「 橋下氏の話は民主党の分裂を前提としたような言い方で受け入れられない。

特定の労組に極めて批判的だが、労組との関係は大事だ。現時点で維新と同じ党になるというのは、到底考えられない」と真っ向から否定。これに対し維新最高顧問・橋下徹は「今の民主党のままなら安倍政権の方を支持する」と明言、両者の関係は決定的な亀裂となった。

政界再編への動きは急速にしぼんだと言える。維新は代表・江田憲司が再編に前向きだが、せいぜい院内共闘ぐらいしか出来まい。それも個別の政策ごとの共闘がよいところだ。

一方政策面で岡田は党内右派の細野陣営が積極的だった集団的自衛権の行使を容認する安全保障基本法案に言及し、「閣議決定の考え方とあまり大きな差がない。現在の案では賛成することはできない」と明確に否定し、くさびをうった。

また原発については「2030年代原発稼働ゼロに向け、あらゆる政策資源を投入する」と再稼働を否定するともとれる発言をした。

党内とりまとめを意識した岡田の明白なる左旋回であり、「穏健中道」などではさらさらあり得ない。とりわけ枝野幹事長人事は安倍自民党とは全く相いれないだろう。

現に安倍は衆院予算委員会で枝野がかつて革マル傘下と言われるJR総連及びJR東労組の掲げる綱領を「理解し、連帯して活動する」ことを前提に、JR東労組から4年間にわたって総額404万円の資金提供を受けていたといわれる問題を取り上げ、強く批判、激論を戦わした経緯がある。通常国会を通じて自民、民主の対決路線が前面に出るだろう。

一方で岡田は「自民党は右傾化している。ど真ん中が空いている」と中道政党を強調するが、縷々(るる)指摘してきたとおり、やっていることと言っていることの違いが激しすぎて信用出来ない。

今後政調会長・細野との確執は避けられないだろう。岡田は「オール民主でいく」と強調するが、とりわけ戦後70年の安倍談話への対応、安全保障法制、原発再稼働など重要課題で細野と枝野はことごとく対立するものとみられ、バラバラ感は払しょくどころか、対立が先鋭化する可能性がある。

細野は前原誠司などと共に、維新との再編へと動く可能性があり、路線上の分裂もあり得る。左右が対立する民主党の宿命的な現実は、当面臭い物にふたをしただけで、完全にぬぐい去ることなどとても出来まい。

      <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)   
     

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