2015年03月13日

◆“歴史戦”に終止符を

上田 和男



!)戦勝国?の論理や過去の経緯にとらわれるなかれ

戦後70年を迎えて、中韓両国がアメリカを巻き込んで日本を貶め脅す「歴史戦」がますます過激化してきました。そんな中、安倍晋三首相が「21世紀構想懇談会」と称する各界有識者チームによるアドバイザリーボードを立ち上げました。

それは大変いいことなのですが、一点気にかかることがあります。

報道によると、今夏に「戦後70年」談話を発表するおつもりのようですが、今夏というと、8月15日か9月2日の“敗戦記念日”が想定され、それでは中韓の“嫌がらせ”を助長してしまうのではないか、ということです。

つまり、こうした日付では、相手の仕掛ける土俵に乗せられてしまう恐れがあり、意図して避けるべきではないかと思うのです。

願わくは、戦勝国側(国連を含む)の論理や、これまでの経緯にとらわれての自虐的な姿勢を排し、戦後70年の輝ける歩みの延長線上に立つ未来志向の声明を、しかるべき記念日に、世界へ向けて「自信と誇り」を持った前向きの言葉で、訴えていただきたいと思います。

談話作成にあたって、まず考慮すべき基本論点は、「敗戦国日本」に対するアメリカをはじめとする「戦勝国」の構図ですが、現在の中華人民共和国も大韓民国も当時の戦勝国ではなかったという史実です。

また、日本にとっても「もはや戦後は終わった」と自ら叫んでから数十年も過ぎておりますし、いつまでも「後ろ向きの敗戦」を引きずるのではなく、前向きの「未来への展望」を声高に訴えるべきだと思量致します。

従って、わざわざ8月15日(正確には、9月2日の降伏文書調印が敗戦記念日ですが)に、首相談話や声明を発するのではなく、前向きの意義がある4月28日、すなわち主権回復し、国際社会へ復帰した「平和記念日」にこそ、首相声明を発していただきたいと提言する次第です。

あるいは、一歩譲って、憲法公布記念日の11月3日の「文化の日」でもいいでしょう。

そういう日に談話なり声明を発信することに、平和国家として70年の実績を積み上げてきた日本国からの意見表明の意義が深くなるはずです。安倍首相と内閣官房には、こうした有意義な発表の舞台づくりにも十分配慮していただきたいものです。言われるまでもなく、そのおつもりなのかもしれませんが…。

「歴史問題」は日本発

そもそも戦後70年といっても、中韓が日本に「歴史問題」を激しく迫るようになったのは、1980年代に入ってからのことで、戦後35年も過ぎた頃でした。それまでの35年間は、ほとんど外交問題に上らなかったという事実を喚起しておきます。

歴史認識問題として俎上に載せられているのは、慰安婦、靖国参拝、南京事件、「進出か侵略か」でもめた教科書検定問題など、いずれも“日本発の情報”に根差した事象でした。

慰安婦問題は、70年代終盤に発せられた“小説家”吉田清治氏の著書や談話(のちに当人がフィクションであることを認めています)をもとに、朝日新聞が80年代初めから自虐一方の問題提起を継続的に展開しました。

その報道が中韓メディアや政治リーダーに伝わり、日本に対して外交上、道義上の「優位性」を主張し始める淵源となってしまったのです。

90年代初めからは、ますますプロパガンダの様相を帯び、中韓が米国のメディアと下院議会、地方議会から国連人権委員会まで巻き込み、これにわが国左翼リベラリスト(政治家、学者、弁護士、ジャーナリストら)が加担し、証拠の裏付けのない「“従軍”慰安婦」「性奴隷」「“強制”連行」といった“造語”を次々に生み出していったのでした。

つまり、日米離反・日本の孤立を狙った中韓による謀略戦で、中華系、韓国系在米勢力の資金力も生かしたロビー活動・宣伝広報を米国議会、地方政府、国連人権委員会などへ展開し、「事実の裏付けのない歴史」を刷り込んでいったのです。

火に油注ぎ、国益損なった政治家らの不用意談話

その間、わが国の政治家も外務省も、中韓米や国連に対して正鵠を得た意見表明を出さないばかりか危機感を欠く弱腰対応に終始し、禍根を断つ努力をしませんでした。逆に細川護煕、村山富市両元首相や河野洋平元官房長官らが史実や真相を十分吟味することなく、不用意な談話を通じて、火に油を注ぐがごとき言動に終始してしまったことが、日本の国益を毀損する結果に至ってしまったのです。

このまま、中韓の仕掛けた“虚妄の歴史”を一人歩きさせてしまっては、日本国と日本人が、世界中から未来永劫に誤解され、われわれの子々孫々に屈辱を負わせ続けてしまうことが危惧されます。

なんとしても、不当な濡れ衣を晴らし、あらぬ恥をそそぐため、不条理な歴史戦に一刻も早く終止符を打ってほしいものです。そういう意味でも「戦後70年談話」に寄せる国民の期待は非常に大きいものでしょう。

 ここまで、中韓と日本国内の一部勢力による“反日プロパガンダ”に焦点をあてて
書いてきましたが、談話作成にあたって考慮すべき基本論点がもう1点あります。そ
れはアメリカと国連の存在です。次回はそのことについて述べたいと思います。

                 ◇

【プロフィル】上田和男(こうだ・かずお) 昭和14(1939)年、兵庫県淡路島生まれ。37年、慶応大経済学部卒業後、住友金属工業(鋼管部門)に入社。米 シラキュース経営大学院(MBA)に留学後、45年に大手電子部品メーカー、TDKに転 職。米国支社総支配人としてカセット世界一達成に貢献し、57年、同社の米ウォールス トリート上場を支援した。その後、ジョンソン常務などを経て、平成8(1996)年カ ナダへ渡り、住宅製造販売会社の社長を勤め、25年7月に引退、帰国。現在、コン サルティング会社、EKKの特別顧問。

産経ニュース【日本千思万考】 2015.3.11
                     (収録:久保田 康文)
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