2015年03月30日

◆戦後日本の真実はなぜ歪められたか

ケント・ギルバート
 

『「正義」の嘘 戦後日本の真実はなぜ歪められたか』櫻井よしこ、花田紀凱著 (産経セレクト・880円+税)への「書評」

ファクトを軽視する彼ら

カリフォルニア州弁護士の肩書を名乗る人間として、私は様々(さまざま)な場面で、常に「ファクト(事実)」を重視する。

法律家の仕事はクライアントの依頼内容を聞いた後、必ずファクトの収集からスタートする。その思考法が脳内に染みついているのだ。

かつて報道番組のコメンテーターを務めたとき、法律家によく似た仕事だと感じた。世界中に無数に散らばるファクト(情報)を収集整理し、それを自分の知識や経験、価値観に当てはめて見解をコメントする仕事だったからだ。

見解をテレビで話せばコメンテーターと呼ばれ、新聞や書籍に書けばジャーナリストと呼ばれるのかもしれない。だから私はジャーナリストに強い親近感を覚える。

そんな私が昔から尊敬するジャーナリストの櫻井よしこ氏と、公平公正でありながら鋭い切り口に定評がある花田紀凱(かずよし)氏の共著なだけに、本書は常にファクトを意識させる作りになっている。

私は長年、いわゆる従軍慰安婦問題に関心がなく、「なんとなく」信じていた。現在は、ファクトを積極的に収集・検証しなかった当時の自分の態度を反省している。

だから明確なファクトを数多く提示し、様々な角度から朝日新聞の嘘と、欺瞞(ぎまん)に満ちた歴史を簡潔に教えてくれる本書は、資料として貴重なだけでなく、読んでいて安心感と心地良さを覚えた。

日米両国とも、リベラルと呼ばれる人々は、イデオロギーを優先するあまり、ファクトを軽視する傾向がある。

正義を気取るリベラル紙の文章は、臆測と揚げ足取りをベースに、被害妄想と陰謀論を掛け算し、隙間を罵詈(ばり)雑言で埋めたものが目立つ。

ファクトを基礎に据えない彼らの主張は、ジャーナリズムとは別世界の代物である。

法曹界にも時々、結論ありきでストーリーを組み立て、勢い余ってファクトの捏造(ねつぞう)に走る人がいる。そういえば慰安婦問題に深く関与した日本人弁護士は有名議員なのに、釈明をまだ聞いていない。

正真正銘のジャーナリストである櫻井氏と花田氏の、更(さら)なる活躍に期待したい。

 (櫻井よしこ、花田紀凱著 産経新聞出版・880円+税)

 ケント・ギルバート(カリフォルニア州弁護士)

      産経ニュース「書評」2015.3.29
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