2015年04月18日

◆唖然として台湾軍

Andy Chang



しばらくご無沙汰しました。2週間ほど台湾ですごし、今はシンガポールに来ています。この2週間に台湾で見聞したことを書いてみようと思います。第1回は「唖然として台湾軍」と名付けた中華民国軍隊のあまりにもひどい軍紀紊乱の報告である。

第2次大戦中、「ああ、厳として台湾軍」という台湾軍の歌があった。今でも多くの台湾人に知られている歌である。今の軍隊は台湾軍ではなく中華民国の軍隊だが、正に唖然たる世界に2つとない中華民国軍(シナ軍)である。どうして台湾に駐在する日本人記者がこんなすごいニュースを報道しないのか。ぜアメリカの駐在記者も報道しないのか。

この2週間ほど、台湾は「アパッチ観光団」(阿?契観光団)と呼ぶスキャンダルで賑わっていた。中華民国陸軍がアメリカから購入した最新鋭のアパッチ・ヘリコプター(AH-64)の軍事基地に、陸軍航空部601旅団の作戦副隊長の労乃成中佐が、李?蓉と言う女性テレ
ビタレント夫婦の率いる友人ら20数人を基地に入れ、最新の攻撃型ヘリを観覧させ、ヘリの付近やコックピットに座ってヘリのヘルメットをかぶった写真を撮り、その写真をフェイスブックに発表したことで大問題になった。

メディアの報道で問題になったあと、労乃成中佐は民間人を無検査で軍事基地に入れたのは総勢20人の親戚や友人を入れたと白状した。ところが軍の調査で白状したのもウソで、実情は26人、しかもこの中に平山直人という野村証券の調査員、及び5人の外国籍の介
護人も参加して居たので外国人を軍事基地に無検査で入れたと言われ、スパイ嫌疑と機密漏洩など問題になった。労乃成中佐は平山直人を別人の名前で基地内に入れたことも判明した。

おまけにその後の調査で、労乃成中佐は半年前に機密ヘリコプターのヘルメットを自宅に持ち帰り、ハロウィーンパーティにヘルメットをかぶって参加したと言うのだから呆れてものが言えない。

●アパッチヘリコプター

アパッチヘリコプター(AH-64)とはアメリカ最新の攻撃型ヘリで世界最強の攻撃力を備えていると言われる。これは古いコブラ型ヘリ(AH-01)をはるかに上回る攻撃力を備え、アメリカでも最新機密に属するヘリで、アメリカは世界各国の要求購買請求のうち、台湾にだけこの機種を販売したと言われる。

ヘリコプターの提供決定は2008年ブッシュ大統領の時代で、オバマ時代になって馬英九政権が中国寄りになったあと、オバマは最新武器の提供を許可していない。中華民国政府は潜水艦が欲しいと何度も申し入れているがオバマが許可しないので自力で潜水艦を製造す
る計画を立てている。

2008年のブッシュ政権の販売決定の後、593億台湾元(約2億ドル)の経費でアメリカに兵士を派遣してヘリ搭乗員訓練をした。そのあとで30機のアパッチヘリコプターを購入した。つまり労乃成中佐はアメリカに派遣されて訓練されたヘリ搭乗員、中華民国の軍隊では
エリート中のエリートである。

報道によるとアパッチヘリコプターの購入値段は一台が7.9億元(約2800万ドル)と言われる。ヘリは2013年10月に第一台が到着し、2014年10月10日に総数30機が到着し、台湾の竜潭に601旅団基地が成立した。この間訓練中に一台が墜落したので、現在は全部
で29機が601旅団のヘリ部隊である。

これが中華民国の軍隊の最新鋭部隊の実情だ。最新鋭ヘリの基地内に民間人を入れて最新鋭ヘリの写真やコックピットに座ってヘルメットをかぶり、女芸人がフェイスブックに流した写真にはコックピットの計器類パネルが映っていたとか、子供たちがヘルメットをか
ぶって走り回って遊んだと言う。

●旅団長も観光団を引き入れていた

事情が明るみに出たあと、最新の軍事機密が明るみになったとして大問題になったが、調査でわかった事実は副隊長の労乃成中佐だけでなく、601旅団長も観光団を引き入れていたことがわかった。旅団長や副隊長などが友人を基地内にいれるのに訪問者リストを提出
する必要があるが訪問者の身分調査は行っていない、しかも労中佐が率いる高級車6台が基地に入った時も衛兵は副隊長の車を見て全員を無検査でパスさせていた。

事件が発覚した後、観光団はアパッチヘリコプターだけでなく、コブラ・ヘリコプターの部隊や戦車部隊などにも観光団が入り込んでいた、つまり中華民国の軍隊は殆ど完全無防備で機密を公開していたことになる。

中華民国の空軍は嘗てアメリカから購入したF16-AB型の戦闘機が三機ほど中国に逃亡した事件があり、台湾に最新武器を売らないようにしていたはずだが、今回のアパッチ観光団事件で明るみに出たとんでもない軍隊の実情で今後の提供は無くなる可能性がある。

世界でこんなにも呆れた軍隊があるとはまさに前代未聞だが、馬英九が総統になって中国接近を始め、武力行使をしないと発表し後、軍隊はあっても無きに等しいものになった。その上に馬英九は徴兵制度の廃止を実施すると言うが、中華民国の軍隊はまったくお粗末、いくら最新武器があっても国を守る心がなければダメである。

●「大事化小、小事化無」

「阿?契観光団」事件は大事件となったので、労中佐は過失処分、軍務停止、機密漏洩などで起訴されたが、彼が引き入れた観光団の民間人も15人ほどが起訴された。軍部では旅団長も引責処分、陸軍総司令から参謀総長までが引責処分を申し出ている。

こんな阿呆な軍隊になった責任は馬英九総統にあると譴責する人もいる。参謀総長、三軍の総司令官が処分を受けただけでは阿呆な軍隊は改善できない。総統も処分を受けるべきである。

ところがスキャンダルが大きくなって総統の責任に言及されるようになったら、メディアは、ヘリコプター基地は軍事機密ではないと言い出した。次にヘリの内部写真は軍事機密ではないと言い、ヘリの計器類を写真にしても問題はないと書いた。

ヘリのヘルメットには通信機械が内蔵されているが、ヘリコプターが操作していない状態ならヘルメットは軍事機密ではないと書いた。女芸人が起訴されたことに関しても、ヘリコプター基地は重要な軍事基地でないから民間人が入っても罪にならない、ヘリコプターのコックピットも重要機密でないから起訴される理由は薄弱だと言い出した。

これは当に問題を小さくしてことを収めようとする中国人のトリック、いわゆる「大事化小、小事化無」である。

国の軍隊に機密がない、民間人が最新の攻撃型ヘリコプターに入り込んで写真を撮っても問題ない。軍人が機密ヘルメットをかぶってハロウィーンパーティで浮かれ遊んでも問題はないなら、この国はいつ滅んでもおかしくない。おまけにこんな阿呆な軍隊のスキャンダルで民間人にも危機感がないとすればなおさらである。


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