2015年05月05日

◆「機能性表示食品制度」開始

馬場 伯明



「機能性表示食品制度」が2015/4/1から始まった。事業者(生産・販売者)は、対象となるサプリメント、加工食品、生鮮食料品などについて、国のガイドラインに沿った安全性・機能性の根拠となる情報を揃え国に届出をして受理されれば、60日後に販売できる。届出は順調らしい。

私はこの制度に疑問を持っていたが、始まれば反対しても仕方がない。しかし、「ごまめの歯ぎしり」と揶揄されても、ここで言っておきたい。

この制度の目的は「国民の健康維持・増進に寄与する」ことであるが、その裏面は違うようにも思われる。つまり、国の審査と許可の箍(たが)が外れ、食品の売上は増加するかもしれないが、不確かな(健康)食品が国中に蔓延することが予想される。

産経新聞(「Health」2015/4/30)が、公益社団法人生命科学振興会理事長渡邊昌氏の指摘や助言を引用しこの制度を紹介していた《  》。渡邊氏の次の発言を繰り返し読んでいただきたい。

《 過剰な広告などに惑わされず、科学的根拠をきちんと示しているか見極めるのが重要です。ある程度の期間、情報を収集・精査し、1ヵ月くらいご自身で試した上で続けるかどうか判断するのがいいと思います》。

《・・判断するのがいい》と言われても困る。世間の大方の人(や私)は渡邊氏のような者や専門家ではない。過剰な広告なのか、適正な広告なのかの判断がつかない。科学的根拠の開示も見極めることができるだろうか。私や周辺の素人5人は、そりゃ無理と言う。

成分や栄養素の構成(%)などの表示がある「栄養機能食品」ではなく、国の審査と許可が必要であり限定された機能表示が可能である「特定保健用食品(トクホ)」でもない。

機能性表示食品の急所は国の審査と許可が不要なことだ。食品の機能性の根拠の自社の実験結果や論文を消費者庁に届け出、受理されたら終了。トクホに比べ手続きも格段に簡素化され費用も大幅に安くなる。

しかし、機能性表示食品はあくまでも食品であり医薬品等ではない。だから、特定の疾病に対する治療や予防の効果を記述し、また、効果を暗示する表示はできない。表示の表現の事例としては、役に立つ・緩和する・和らげる・整える・・・などはOKらしい。

ただ、事業者にとり、食品か医薬品かはさておき、重要な目的(真の意図)は、とにかく、不健康な事象に対し、効く・効能がある・役に立つと消費者に思わせ信じてもらうことである。

一方、消費者の希望は明確である。食品の真実の機能性を正確に知りたい。できれば効能も知りたい。しかし、前述したように、一般の消費者にその判断能力はない。♪どうすりゃいいのさ 思案橋!

そこで、恐れながら渡邊氏にお願いする。お身内(素人)のどなたかに、ある機能性表示食品の過剰な広告や科学的根拠の是非を見極めていただきその説明を受けたい。渡邊家の素養があれば可能であろう。

渡邊氏は《ある程度の期間、情報を収集・精査し、1ヵ月くらいご自身で試した上で続けるかどうか判断するのがいい》と話したとあるが、これには、茫然自失、正直言って、あきれた。

全国民(消費者)が多種多様な機能性表示食品をいくつも、1ヶ月食い続けて判断するだって?!そんな膨大な無駄はお断りである。そうしないために国が事前の審査と許可を行ってきたのである。

そもそも、機能性表示食品は1ヶ月摂っただけで効能があるのか。いや、効能の表示は禁止だから、効能の有無はわからない。それでは消費者は困る。やはり、これも賢明なお身内の出番しかないか(!)。

さらに渡邊氏は迫る。《大事なのは消費者自身の判断だ》として、《また、過度の期待をして適量以上に摂取しがちなので注意が必要(記者の聞き書)》などと説教。事業者にではなく消費者に責任を押しつける。

私は渡邊氏には面識もなくまた個人的な恨みなどもない。産経新聞の編集方針かもしれないが、記事の中で氏は事業者の義務と責任にほとんど触れない。氏の発言には違和感を持たざるを得ない。

私的な提案であるが、機能性表示食品制度の開始にあたり、国(消費者庁)に最低限速やかに実施してもらいたいことを記す。

第1に、事業者による情報開示。事業者と消費者の商品(食品)の情報(質と量)には天地の差がある。事業者に、機能性・適正摂取量・副作用(マイナス面)などの詳細な開示を義務付ける(PC・スマホ・紙資料等)。

第2に、消費者の教育。消費者が過剰な広告や科学的根拠の是非を見極めることができるように、消費者への各種レベルの教育を行う。特に高齢者には、オレオレ詐欺に準じた丁寧な対応が必要である。

第3に、違法・不適切な行為をした事業者への厳罰。この制度は被害が発生してから手を打つ事後対処方式である。だから、発生したら、即、厳しい行政処分を執行する。

第4に、上記の対応と合わせ問題点が悪化しないよう総合的な先手の対策をお願いしたい。

実際、足元でも不適切な宣伝・広告が多い。たとえば、TVで芸能人が膝を回し♪ぐるぐる〜グルコサミン〜」などとイメージ宣伝をしている。高齢者の一部はそのまま盲信してしまっているだろう。

産経新聞社にお願いしたい。「大切なのは消費者の賢い選択」も大切かもしれないが、その前に「大切なのは事業者の責任・義務・指導・罰則」がもっと大切である。この制度の第2弾の事業者編を期待したい。(了)

(追記) 
ところで、渡邊氏のお身内による機能性表示食品の広告や科学的根拠等の見極めはいつ済むのだろうか。一刻も早くその賢い選択結果をぜひ拝聴したい。(2015/5/5 千葉市在住)

      
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