2015年05月07日

◆新聞折込にまで都構想賛成勧誘広告

早川 昭三



大阪市内の各戸や市長説明会に配布されている「大阪都構想賛成を勧める」パンフレットと説明会運営費用は、広報費用として大阪市予算1億8400万円が使われている。

いくら大都市地域特別区設置法に基づく合理性のある市税使用と言っても、「市長の主張説明」にこれだけ使うとは、市税浪費であろう。「都構想」に反対する市議会過半数野党や反対市民の会等の上記同様の主張は、市税を使えない。

ただ、大阪市選挙管理委員会が、「都構想」賛成・反対の意見チラシを発刊して各戸に配布したが、法律に基づいて発刊しているだけで、配布量は上記の膨大費用と比べものにはならず、また形式的な内容記載チラシの配布に過ぎない。

ところが、驚いたことに、5月6日朝刊に「都構想の住民投票で賛成を」と勧誘記載したカラー折り込み広告を、大阪維新の会が大阪市内の各戸に配布した。維新の会は、財政豊かのようだ。市長が市税でパンフレット配布に上乗せして、今度は維新の会が、新聞折り込み広告まで乗り出したのには、驚かされた。

この広告の中で、また気になることが掲載されている。「都構想実現で、二重行政廃止で府と市で合わせて“4,000億円以上”ムダをなくせる」と記載している。

これには、反対議会野党は「4,000億円/年」と市長が言っているのは、「根拠のない幻」の欺瞞説だと批判している、これは最大の対立点なのだ。

反対野党の説明会では、むしろこの他に「都構想の主軸・5特別区を設置するとコスト600億円もかかりムダが掛かり市民の負担は増える」と訴えている。これには、維新の会の折り込み広告には触れていない。

この中で市民が気になっている象徴課題は、70才以上の大阪市民の地下鉄・バス優待乗車証「敬老パス」が継続するかどうかだ。しかし折り込み広告には一言も触れられていない。「交通インフラの整備」の集中政策が掲載されているだけだ。

「敬老パス」は、大阪府に運営が代わると、府下市町村に実施が広がることは、まずない。しかも特別区が管理するようになれば、税務負担と絡んで、特別区長が、廃止するのは必至の状況。これだけではない。保育所の新設、子ども医療費・学校へのタブレット末端整備等も、特別区長が実施することはまずない。

こうした「都構想」の幻現象に対して、最近学者の「反対論」が急激に高まり出した。

村上弘立命館大教授によると「大阪市廃止で大阪が弱体化」と主張する。 

<大阪都構想で、市は廃止され、その重要権限・財源・施設は府に移り、小さなものだけが特別区に与えられる。

有権者は、ぜひ「大阪市廃止分割構想」という広く使われる別名も、口に出してみてほしい。「大阪都」は公式名ではなく、かつ分かりにくい。「都区制度」を導入するとはいえ、大阪府は府のまま。「大阪都」という言葉は不正確だ。

むしろ大阪都構想がもたらす最大の変化は、大阪市を廃止し、弱い特別区に分割することだ。

大阪市の重要な権限・財源・施設は府に移るので、府は強くなる。代わりに自治と政策力をもつ政令指定都市・大阪が消えてなくなる。市の跡に置かれる特別区は、重要な政策はすべて府にお任せになる。
ここで2点を問いたい。

(1)大阪市を廃止し全権を府が握らないとできない政策とは何か。しばしば言われる「府市合わせ」は誇張で、これまで万博も、街の整備も、府と市が何とか協力して進めてきた。

(2)大阪市はこれまで中之島、キタ、ミナミなどで都市の整備、文化や都市魅力の向上に努めてきた。この強い「エンジン」を捨てて良いのか。大阪都構想で強いエンジンが府庁だけになると、大阪はむしろ衰退する可能性が高い。大阪市がバブル期に無駄な事業を行ったのも事実だが、21世紀には、財政難と政策評価システムの中で、無駄な投資は抑えられている。

一方、「府市合わせ」と言われる無駄な二重行政は、府市の調整機関を設けて減らすべきだが、需要のある、良い二重行政も多い。しかし、「二重行政=ムダ」という単純なイメージが、かなり浸透している。

府と市の中央図書館などが二重行政として批判をうけているが、京都でも兵庫でも愛知でも、府県と政令指定都市がそれぞれ充実した施設を持っている。また府が府下を、大阪市が市内を、というように地域分担している公園、都市計画などは、重複も無駄もないので、そもそも二重行政には該当しない。

防災行政などは、「司令塔」が府と市の2つある方が、万一の場合に相手をカバーできて、安心だ。
大阪都構想は、「何でも1人のリーダーにまとめれば強く良くなる」という単純な哲学に立つ。

しかし、たとえば夫婦の「財布」を1つにすると、一方が勝手にムダ遣いをするかもしれない。財布は別々にする方が、相談して賢い大きな買い物もできるし、工夫しやすいだろう。>以上 (2015.5.5 産經新聞)

更に、都構想反対の京都大大学院の藤井聡教授ら19人の大学教授らが、5日会見して、下記のように防災や行政などの観点から「問題点」を指摘する動きが在った。

<京都大の河田恵昭名誉教授(防災学)は、都構想を優先した結果、市の防災対策が後回しになっていると主張し、特別区「湾岸区」での被害集中を懸念。

立命館大の平岡和久教授(地方財政学)は、都構想賛成派が「大阪府市の二重行政解消」を掲げている点について「関係部局で調整すれば何でもできる」と訴えた。

藤井教授らは医者が治療の効果やリスクを伝える「インフォームドコンセント(告知と同意)」も都構想に必要と強調。約120人の研究者から支持を得ているといい、9、10日に住民向け説明会を行う。>以上(2015.5.5 産經新聞)

このほか、「都区制度」や「都市制度」の専門家である立命館大学の森裕之教授、奈良大学の澤井勝名誉教授、甲南大学の高寄昇三名誉教授が「都構想の著書」を書いている。内容は「否定」の主張に絞られている。

住民投票日5月17日は迫ってきている。テレビに橋下市長は出演し、野党代表と激論論するが、これを見た市民は、橋下市長の都構想の説明は「一向に分からず、批判の応酬ばかりはガッカリ」という声が多く聞こえる。

これから、「都構想賛否論争」は、一段と激化する。






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