2015年05月16日

◆民主党の憲法回避は見透かされている

阿比留 瑠比



まともに議論したら党は分裂してしまう…

2月12日付当欄で筆者は、民主党が憲法審査会での議論に消極的な理由について、同党が左派系から保守系まで幅広い「寄り合い所帯」であることを指摘した上でこう書いた。

「実のところは、憲法論議が本格化すると、党が収拾がつかない分裂状態になると恐れて論議自体から逃げているのではないか」

すると、今月8日付の産経新聞のインタビューで、民主党の江田五月憲法調査会長がそうした見解に次のように反論していた。

「『党内がバラバラで、憲法の見方をまとめることができないから審査会の議論に及び腰だ』との型にはまった誤解がある」

とはいえ、江田氏の主張はいかにも説得力がない。くしくも同じ8日付の日経新聞と読売新聞の憲法関連記事が、それぞれ筆者と同様の指摘をしていた。

「民主党が改憲の内容ではなく、議論の『入り口』から自民党を問いただす背景には、党内に改憲派と護憲派が混在している事情もある」(日経)

「民主党が議論入りに慎重なのは、『具体的な中身の議論になれば、党内対立が表面化しかねない』(民主党中堅)という事情があるとみられる」(読売)

つまり、江田氏がいくら言い繕おうと、民主党のお家事情はみんなに見透かされているのである。国民をごまかそうとする態度は反感を買うだけだろう。

■明白な遅延戦術

民主党はまた、安倍晋三首相が現行憲法について「連合国軍総司令部(GHQ)の憲法も国際法も全く素人の人たちが、たった8日間でつくり上げた代物だ」と述べたことを「押し付け憲法論」だとしてことさら問題視する。枝野幸男幹事長に至っては安倍首相の発言を「ガキの議論」だとすら決め付けたほどだ。

そして、議論の前にまずこの点を明確にすべきだとの姿勢をとるが、これも遅延戦術なのは見え見えだ。実際、憲法記念日の3日の各紙社説はこの点に関し次のように書いていた。

「憲法がGHQ主導で作成されたのは事実だ。この発言を根拠に憲法論議さえ拒むのは野党第1党としての責任の放棄ではないか」(読売)

「現行憲法の原型をGHQが作成したのは多くの証言や記録から疑う余地はない。敗戦国にそれをはねのける力があったはずはなく、押し付けとの見方は誤りではない」(日経)

「GHQのやり方は時に強引だったし、首相のいうような場面もあったろう。ただ、それは新憲法制定をめぐる様々な事実のひとつの側面でしかない」(朝日)

護憲派の朝日は素直に「押し付け」だとは言いたくないようだが、事実関係はある程度認めている。何より、民主党の松原仁元国家公安委員長も今月1日、新しい憲法を制定する推進大会でこう訴えていたではないか。

「米国によって短期間につくられた憲法にはドラマがない」

ちなみに朝日社説は国民が憲法を「輝かしい顔」で歓迎したとも説くが、本当だろうか。憲法施行10年の昭和32年に政府が2万人を対象に実施した世論調査では、憲法条文について「全く読んだことも見たこともない」が35%、「読んだことはないが、内容について見たり聞いたりしたことがある」が33%で、「条文を読んだことがある」(32%)を上回った。

数字をみる限り、「歓迎」よりも「無関心」という言葉が似合わしく思えるが。(産経新聞政治部編集委員)

産経ニュース【阿比留瑠比の極言御免】 2015.5.14
                      (採録:久保田 康文)




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