2015年05月18日

◆「都構想」反対多数 橋下氏引退へ

早川 昭三



「大阪都構想」の賛否を問う住民投票は、大阪市の有権者、約211万人を対象に、5月17日午前7時から午後8時までおこなわれ、即日開票された。

投票率は、平成21年の衆院選挙65.00%を上回る、66.83%だった。

その結果、「賛成」が694,844票に対し、「反対」が705,585票で、「反対」が上回ったって、「大阪都構想」実現させなくした。

この住民投票で「都構想」が敗退した背景は、何処にあったのか。それは市民・諸団体の66%以上の「反対」体制が固まったためだ。特に高齢者と女性層の「反対」が表立った。

まず諸団体が「反対」に投票したのは、幾つも上げられる。

大阪地域振興会、大阪市商店会総連盟の反対結束がまとまった。特に日本商工連盟大阪地区は、「大阪経済の長期低迷は中小企業を元気にする政策の欠如であり、市を分割した特別区では能力的に更に不可能になる」とアピールして「反対」に回った。

なんと、医師会・歯科医師会・薬剤師会も揃って「反対」を表明。中でも、府医師会は、独自ポスターを作って自営診療所に張り、患者に「反対」の意思を広げる異例の活動に出た。

また、本誌に一部既載したが、「(大阪都は)防災・被災は全く考慮されていない」(河田恵昭京都大学名誉教授)、「大阪の都市格は遥かに低いものに」(宮本憲一・元滋賀大学学長)、「『大阪市』という一つの有機体の『死』を意味する」【藤井聡・京都大学教授】など、128人もの学者が、「都構想」の危険性を訴えたのも注目された。

こんな中、府下唯一の政令都市の堺市市長の「反対」の立場に立った他、4月に行われた府下衛星都市統一選挙で吹田・八尾・寝屋川の市長選挙でも、いずれも都構想実現を訴える維新の会に勝利する実績を見せた。

特に注目されるのは、「女性層の反対アピールと集い」が、大きな影響を与えた。「私たちは、大阪市をなくすのではなく、もっとよくして、住み続けたいのです」。大阪各界の女性112名が連盟アピールを根強く展開したことだ。

この「女性層の反対の意思表示の強さ」は、新聞世論調査でも明らかになり、市民は驚いた。この過去にはあまり例のない「女性層の反対」の動向と動きは、市民の「反対意思決定」に大きな支援を与えた。

当然これに大阪維新の会代表橋下徹大阪市長は狼狽した。急遽街頭演説の対象を、大衆から「女性層」に切り変えた。「反対派が優勢です。都構想はお母さん方に不評なんですよ。意味が分からないそうですね」と自嘲気味に、言って同情を求めたのだ。

「大阪市がなくなって生活が悪くなることはない。少子高齢化時代を迎え、子育て世代の応援や高齢者のサポートのために都構想を提案したんです」と、「女性層の対応」の変化要望を訴えた。

 また維新では全体会議でも「女性の反対が多いとの分析を元に「優しい大阪」をアピールすることを確認、活動対象を女性に絞った。しかしこれには効果を上げることは出来てなかったことになる。

こうした中、維新が最終的な頼みは橋下氏の演説能力だった。特にテレビでの能弁出演だった。しかし出演のテレビでは、同席反対派議員の発言を幾度も制して都構想効果説明を繰り返し主張したのが、反って饒舌となり、「都構想」の実像が益々」分からなくなり、視聴者嫌気を誘ったという声が多い。 

「都構想」が消滅したことで最も良かったことは、筆者が何度も主張している、大阪政治体制に「三重行政」の政治構造を誕生させなかったことだ。

つまり、大阪府と新設の五特別区の間に、「一部事務組合」を設立させる案は、国民健康保険、介護保険、水道事業、ゴミ収集事業など100以上の特別区事業事務事業調整を橋下氏ら維新が主導して操作させず、大阪市民のサービスを見殺しすることを阻止出来たことだ。

これは、「都構想の裏」に潜む、秘密政体構造だったのだ。

更に追記すると、「特別区」は「住宅地・窯業地」等を決める権限を失しなう。しかも「特別区」は、府財政の4分の1程度に抑え込まれる。従って、街づくりも、市民個人サービス維持も到底望めない「特別区」が宙に浮いたのは、「反対」陣に実際によかったのだ。

まだ良かったのは、地下鉄、バスの優待乗車券・(70才以上の「敬老パス」)が、取り消される懸念が消えたことだ。市のまち作りに長年貢献してきたお年寄りが、「反対」の主軸を占めたのは、これが主因がった。

また府立大学と私立大学の統合問題も無くなった。両大学キャンパスは、堺市と大阪府に分かれて在り、医学部・獣医学部も含め、両大学の歴史的実績は維持保全され、将来を支える優秀な学生を養成出来る見通となった。

「大阪市つぶし」を阻止したことにより、橋下氏が大阪港「夢洲」に「大阪都の試金石」という「カジノ(賭博場)」建設案にストップかけられたことも、子供たちへの賭博煽動を危惧していた、母親女性層を安心させた。

「反対」投票して「大阪都構想」を実現させなかった市民の喜びの声は、開票後の深夜に、筆者に届けられた。「本当によかった」というのが真の言葉だ。

ところで今後橋下氏は「大阪都構想」実現出来なくなったため、今秋市長任期を終えたら政界から身を引くことを、深夜の会見で述べた。しかし中央政界とも縁を築いており、これからどう対応するだろうか。今後の焦点は、そちらに急転していくだろう。(了)

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