2015年05月28日

◆習 VS 反習は死闘レベルに

平井 修一



在香港弁護士法人キャスト代表弁護士・税理士の村尾龍雄氏の論考「NHKの偏向報道?」5/24から。

<23日に北京・人民大会堂に親中派の大物政治家である二階俊博自民党総務会長の3000人の訪中団が集う会合(日中友好交流大会)が開催され、キャスト北京の仲間が参加してきました。

その見聞録が今朝のパートナー宛のメールで報告されてきたので、抜粋してご紹介します。

《習近平主席が来るとは参加者には事前に知らされていなかったので、30分遅れで始まった会合にサプライズで習主席が登場したときは会場は大盛り上がりでした。

(帰宅後)NHKのニュースを見ると、「抗日戦争勝利の70周年」「歴史の歪曲を許さない」という話をした、というように報道されていましたが、実際は15分ほどのスピーチの中で2分ほど戦争の話をした流れの中では、

「私は福建省にいたときから、阿倍仲麻呂の時代からの交流の歴史を知っており」「戦争のことを忘れないのは平和のためです」「戦争では日本の拡張主義により中国は痛ましい被害を受けたが、日本国民も被害者であると思っています」

というコメントもあり、NHKのニュースを見て「偏向放送だなあ」と思いました。

実際、スピーチ終了後の拍手は、その後に話をされた二階総務会長よりも2倍以上の大きな拍手があり、しかも、会場全体が立ち上がっての拍手がしばらく鳴りやまず、習近平主席が立ち上がって手を挙げて制してようやく拍手が鳴りやむ、というような感じでした》

NHKの報道と比較すると、今朝の日経新聞1面の記事のほうが遥かにフェアな報道です。

私としては中共中央が大事にする二階総務会長の面子を立てるためであったにせよ、身の安全にも危険が及ぶと噂される物騒な情勢下で(日経新聞電子版・5月20日「誰も信じられない 国家主席を悩ます刺客の影」参照)、全体の90%を日中友好のお話をするために習主席が日中友好交流大会に参加してくれたことを素直に感謝してもいいのに、と思った次第です。

全体の10%でしかない戦争のお話を色眼鏡で報道すれば、その影響力から多くの日本国民はまた中国嫌いの方向へ誘導され、それが相互理解を遠ざけます。

影響力の強いマスコミの皆さんは中立を謳いながら、時に私のように日中友好関係の樹立に人生を懸けている人間からすると、どうも風見鶏的に近時の安倍政権のご意向とか国民の嫌中感情に過度に配慮する結果、偏向報道の謗りを免れない場面を多々生じているように思います。

(最初から中国に一貫して厳しい姿勢をとることを言明する?産経新聞はそれはそれで態度がブレないので、大変結構だと思いますが)

当たり前のお話ですが、日本と中国が現在決して良好とは言い難い状況にある原因が専ら中国にあることはあり得ず、日中双方にその責任があることは明らかです。

しかし、日本サイドとしては中国の言いなりになる必要はありませんけれども、歴史的に最もお世話になった国であることについての明確な認識に立脚して、関係是正をする未来を子供に残したいのか、ずっと現在のような緊張関係を引き摺る未来を残したいのかを、親として真剣に考えるべきときが来ていると感じています>(以上)

「日中友好関係の樹立に人生を懸けている」、うーん、あっぱれ。それにしても「身の安全にも危険が及ぶと噂される物騒な情勢下」とはかなりの非常事態だ。習近平は3月の全人代前から暗殺を極度に恐れるようになった印象である。

日本戦略研究フォール政策提言委員・拓殖大学海外事情研究所教授/澁谷司氏の論考「習政権による反腐敗運動の行き詰まり」は、権力闘争が血で血を洗う段階になっており、取締りにあたる役人は「60人以上が失踪し、30人以上殺害された」らしい。まさしく死闘だ。以下、氏の論考。

<周知のように、現在、習近平主席(太子党出身)が同志の王岐山(同)と共に“恣意的に政敵を打倒”する「反腐敗運動」を展開している。

だが、習・王以外の政治局常務委員は、共青団出身の李克強首相を除けば、ほぼ江沢民系の上海閥に属する。当然、上海閥の抵抗は凄まじい。失脚すれば一巻の終わりだからである。

そのため反腐敗運動は既に行き詰まりの様相を呈している。特に江沢民元国家主席とその元側近である曾慶紅がスクラムを組んで、反腐敗運動に対し頑強に反抗しているという。

胡錦濤前国家主席の側近である令計劃の弟、令完成が、約2700点にのぼる中国国家機密を持ってアメリカへ逃走した。その上、令完成は党最高幹部(おそらく習や王等)のふしだらな“セックスビデオ”を隠匿していると見られる。

令完成が自らの身の安全(中国公安へ身柄を引き渡さない等)を条件に、米国側に国家機密と最高幹部の“セックスビデオ”を提出したとしよう。

するとオバマ政権は習政権対し、決定的な外交カード(切り札)を握る。“セックスビデオ”については、かりにYouTube等を使って、ネットで全世界に流されれば、習政権は1日として保たない。

また米国在住の郭文貴という中国大富豪は、「反腐敗運動」の先頭に立つ王岐山(北京五輪前には北京市長に就任)と自らの深い関係を暴露した。同時に郭は王岐山と「中国で最も危険な女性」と言われるジャーナリスト胡舒立女史(私生児がいる)の親密な関係も漏洩している。

さらに今年4月下旬、米ニューヨークタイムズ紙は、政商・王健林が太子党等、党最高幹部の子弟ら多数に利益供与していたことを報じた。これら一連の出来事は、「反腐敗運動」の行き詰まりと関係していると思われる。

一方、習政権は中国から米国へ逃走した汚職官僚100人以上のリストを作成し、オバマ政権に逮捕協力を依頼している(キツネ狩り)。けれども、その中の多くはカナダ等へ再逃亡して捕まる気配がない。無論、米中間には「犯罪者引き渡し条約」が締結されていないこともその理由の一つだろう。

ただし中国汚職官僚らが既に米国籍を取得していれば、彼らは米国人である。米国政府としても中国公安が逮捕に至るだけの確証がなければ、彼らを簡単に中国側へ引き渡すわけにはいかない。

実は習近平はキツネ狩りを徹底するため、今年7月、王岐山を訪米させる予定だった。だが最近になって王の訪米はキャンセルされたという。これ一つとっても、反腐敗運動が行き詰っている証だろう。習近平は「トラもハエも一緒に叩く」と意気込んで反腐敗運動を始めた。だが同運動をどこまで展開すれば終息するのだろうか。終わりが見えないのである。

当初、習近平は敵を上海閥に絞っていたが、次第にその範囲を共青団にまで拡大していった。李源潮・現国家副主席もそのターゲットの一人となっている。そのため、習と王の周りは太子党以外、敵だらけになってしまった。

今までに、腐敗・汚職を摘発する党中央紀律検査委員会の検察官は少なくても60人以上が失踪し、30人以上殺害されたという。また、そのトップである王は何度も暗殺の危機に瀕している。

習・王(の太子党)連合は、このままでは進退きわまると思ったのか、(胡錦濤時代末期と同じように)共青団と再び連携して、主敵を上海閥に絞り込んだ節がある。ただ前述の如く、政治局常務委員は上海閥が過半数を占める。

また、習・王連合が事実上の軍トップ、上海閥の徐才厚(今年3月病院で死亡)と郭伯雄を逮捕しても、その部下の大半は彼ら2人の息がかかった軍人らである。2人の部下達は、反腐敗運動に対して陰に陽に抵抗するだ
ろう。

そもそも、太子党自体が上海閥と並んで、腐敗・汚職の双璧だった。一方、クリーンだと思われていた共青団さえも腐敗・汚職に染まっている。その好例が、2012年3月に起きた「黒いフェラーリ事件」だろう。令計劃の息子、令谷が北京でフェラーリに乗っていて事故を起こし死亡したのである。この事件を令計劃はもみ消そうとして、失脚した。

つまり、中国社会全体がトップから庶民に至るまで腐敗・汚職まみれである。自ら腐敗している習や王が今さら反腐敗運動を展開しても、その効果は限定的にならざるを得ない。

結局、習が政敵を叩けば叩くほど、回りまわって自分の身に跳ね返って来る。元々が恣意的な政敵打倒のための反腐敗運動なので、当然の帰結だろう。中国では、未だ共産党内で生き残りを賭けた戦いが密かに行われている>(以上)

魑魅魍魎の世界。郭文貴とは何者か。何清漣女史によると――

<この30年来、中国の商人が政治経済の舞台上で演じた巨富蓄財物語の突拍子もない話の数々たるや、いかなる小説家の想像をも絶するもので、それも数限りなく揚子江の波のようにあとからあとからすごくなってきました。

それでもこうした商人たちがどこまで到達できるか、持ちこたえられるかというのは中国的特色のビジネス界での遊泳能力のほかに、そのバックにどれほどの有力者がいるかどうかにかかっています。 

四川の劉漢(周永康の腹心、2015年2月9日死刑執行)、山東の郭文貴はどちらも「政商同盟」の道を歩みましたが、後者は海外に逃れたばかりか、まだおおっぴらに世間に顔を出して“抗議”しています。

これは当然、そのバックの庇護があったからです。海外のスパイ工作を長年担当してきた国家安全部副部長の馬建の神秘的な権力は確かに「政法界の皇帝」といわれた周永康よりさらにスゴイものがありました>(以上)

まったく三国志や水滸伝の世界だ。

習は熟睡できないのか、このところ疲労感がにじみ出ている。不眠症ではないか。顔色も優れず、白髪も目立ってきた。覇気が感じられない。いろいろ写真を見比べたが、地方視察や外国訪問時には元気そうだ。刺客の恐れがないためかもしれない。

一方、北京にいる時はどうも冴えない。北京は刺客が溢れており、全人代では習のカップに女性がお湯を入れるところを側近が監視していた。毒を盛られることを警戒したのだ。

5月25日には浙江省舟山市を視察したが、ここは東シナ海に浮かぶ1392の大小様々な島からなる舟山群島で構成されている。習は2000年に福建省長になるが、その北が浙江省で、習は2002年11月、49歳で浙江省党委書記に就任している。つまり故郷のようなもの。心身ともにリラックスできるのだろう。舟山群島の南には尖閣諸島がある。強奪の構想でも練ったか。
(2015/5/26)

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