2015年05月29日

◆南沙緊迫を尻目に 空想的安保論争か

◆南沙緊迫を尻目に 空想的安保論争か
杉浦 正章



野党は現実事態に目を向けよ
 

一国平和主義の神学論争を仕掛けている野党に、紳士的である筆者ですら「本当に早くしろよ」とヤジりたい。


口から生まれたような民主党の辻元清美が「機雷掃海を実施すれば日本はテロに巻き込まれる」などという浅薄な“空想的安保論争”を繰り返している内に、中国は南沙諸島をどんどん埋め立てている。もう滑走路が完成しそうだ。そしてこれを批判する米国との間に緊張関係がかってなく高まっている。


一方で北朝鮮は潜水艦発射ミサイル実験に“成功”している。今そこにある現実が見えない民主党は、現在中国が南シナ海でやっていることが、いわばグレーゾーン事態化による領土拡張の典型であることを知るべきだ。尖閣での漁船衝突事件で無様な対応をした民主党政権が今も続いていたら、東シナ海がグレーゾーン化されていた可能性の方が大きいのだ。安保特別委はがん首揃えて南シナ海を見学したらどうか。


国際情勢を見れば首相・安倍晋三が「早くしろよ」とヤジる気持ちも分かる。29日からシンガポールでアジア安全保障会議(シャングリラ会議)が始まるが、昨年の会議は安倍が出席して強烈な対中非難の基調演説をして、喝采を浴び、中国軍人の顔色を失わせた。


本来なら今年も安倍が出席して、中国の南沙諸島埋め立てを制止する演説を展開すべきところだ。それを国会が足止めして、低級安保論争でくぎ付けにする。安倍がみじんもすきを見せないから、答弁が下手な防衛相・中谷元に質問を集中させ、なんとか「失言」に導いて首を取ろうと懸命になる。


安倍には辻元にその邪心が見えるから「早くしろ」と言いたくなるのも無理はない。安倍が謝ると民主党幹事長・枝野幸男が「首相としてあるまじきことが堂々と全国民注視の下で起きた」と鬼の首でもとったような発言をするが、これが民主党の限界だ。


ヤジも人による。政権担当能力に決定的な欠陥があった鳩山由紀夫や菅直人がこんなヤジを飛ばせば「国家の一大事」だが、普段は紳士的な首相が、勢い余って不規則発言するくらいは笑ってすませることだ。とりわけ相手が辻元だから、茶の間では笑って手を叩いている。面白くもない委員会審議が面白くなって喜んでいるのだ。
 

とにかくこんな事はどうでもよい。注目すべきはシャングリラ会議だ。中国による南沙諸島の埋め立て問題が焦点となる。


その前に、もう一つ注目すべきは米国が米軍のアジア太平洋地域のトップの司令官に、横須賀市生まれで日系アメリカ人のハリスを任命したことだ。明らかに緊密化した日米安保体制を象徴させる政治的な意図が感じられる。


27日には、ハワイで国防長官カーターや日本の駐米大使・佐々江賢一郎らが出席し、交代式が開かれている。この席で カーターは、スプラトリー(南沙)諸島で岩礁埋め立てや施設建設を進める中国の動きについて「中国は、国際規範や、力によらない紛争解決を求める地域の総意を乱している」と強く非難した。さらに「国際法が許す限り、米国はあらゆる場所で、飛行、航行、作戦行動を続ける」とも言明した。
 


当面の米国の基本的対処方針は、空と海から監視を強化して中国をけん制、フィリピンやベトナムなどを支援して監視活動を強化。国際世論を喚起して、中国を孤立化させるという総じて迂回作戦をとることになろう。


国際世論の喚起では、中国が不利な立場に立つことは言うまでもない。明確な領土主権の主張は出来ないし、行為自体が国際法の秩序を大きく逸脱したものだからだ。シャングリラ会議は中国が孤立する可能性が高い。


米国は、軍事衝突は避けたいというのが基本であり、早期問題解決は困難だ。中国の巧みなグレーゾーン化とはそういう事なのだ。しかし、戦闘機同士が何と10メーターの距離まで大接近する事例が頻発しており、一触即発的な事態が続くと見るべきだろう。
 

米国は自衛隊にも監視活動に参加してもらいたいようだが、将来は何らかの支援は出来ても、辻元が金切り声を上げるから今は無理だ。しかし、日本が政府開発援助(ODA)を活用してフィリピンに巡視船10隻を供与し、その建造が日本企業によって始まることは、地域のパワーバランスに大きく貢献するだろう。


ベトナムの共産党書記長・グエン・フー・チョンは、書記局長として初めて米国を7月に訪問する予定であり、南沙諸島問題で連携を強化する。シャングリラ会議では30日に日韓防衛相会談が予定され北朝鮮の核・ミサイル問題についても話し合われる見込み。カーターを交えた日米韓3カ国防衛相会談も予定されている。


3か国会談での日米の基調は、対中けん制にあるが、中国になびく大統領を頂く韓国をこれに巻き込むのも重要ポイントだ。

    <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)
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