2015年06月09日

◆中共は軍事独裁国家に変貌?

平井 修一



習近平は虎退治のブーメランで自分も危なくなったのか、攻めあぐねているような印象だ。その一方で南シナ海侵略は急いでいる。もしかしたら南シナ海は中共軍の独走で、習はコントロールできないのかもしれない。

「政権は銃口から生まれる」という国柄だから、武力を持った者、軍を掌握した者が強い。先のシャングリラ対話に中共軍の孫建国・副総参謀長が出席し、南シナ海での人工島建設について「中国の主権の範囲内で、合法で正当かつ合理的な活動だ。目的は軍事、防衛上のニーズだ。防空識別圏を設定するかどうかは中国領空への脅威などで総合的に判断する」と述べた(産経5/31)。

孫建国とは何者か。読売6/1から。

<会場に、中国代表団長として講演に立った孫氏の「ドス」の利いた声が響き渡った。「信じるも信じないも(我々の)行動を見てほしい」

孫氏は、原子力潜水艦「長征3号」の艦長として航行時間の最長記録を持ち、「鉄の艦長」との異名も取る中国軍内の伝説的存在。中国国防大学教授は、中国軍が海軍で尊敬を集める孫氏を今回の会議に送り込んだことに、「中国が南シナ海で妥協をしない意思の表れ」と解説する。

中国は「米国は強硬手段に踏み切れない。粛々と埋め立てを進めるだけ」(軍関係筋)と今後も強気の姿勢を崩す気配はない>

孫の直接の上司は総参謀長の房峰輝上将だ。何者か。すでに1年前には軍は習近平等チャイナセブンの上に君臨しているかのようだ。

産経2014.6.26「石平のChina Watch『掘削は続ける』政府方針まで宣言、習政権乗っ取る強硬派軍人」から。

<今月13日、中国中央テレビは習近平国家主席が「中央財経指導小組」の会議を主宰したことを報じた。国民はこれで初めてこの「小組」の存在を知るようになったが、大変奇妙なことに、関連ニュースは一切なく、その構成メンバーの名簿も公表しなかった。

そこで同14日、一部国内紙は、中央テレビが流した「小組」の映像で参加者の顔ぶれを確認し、リストを作って掲載した。確認された列席者の中には、中国人民解放軍の房峰輝総参謀長の姿もあった。

しかし解放軍は普段、国の経済運営には関与していない。軍の幹部が本来、中央の「財経会議」に顔を出すようなことはない。特に解放軍総参謀長という職務は軍の作戦計画や遂行をつかさどるものであって、国の経済運営とはまったく関係がないはずだ。

ならばなぜ、房峰輝氏は堂々と習主席主宰の「財経会議」に出席しているのか。これに対する一つの答えは、房氏自身が先月、中国とベトナムとの紛争についておこなった際どい発言にあった。

5月初旬、中国がベトナムとの係争海域で石油の掘削を断行したことが原因で、中国海警の船舶とベトナム海上警察の船舶が南シナ海のパラセル(西沙)諸島周辺海域で衝突し、中越間の緊張が一気に高まり、現在までに至っている。

同月15日、訪米中の房峰輝氏は、米軍関係者との共同記者会見でベトナムとの紛争に言及した。彼は「中国の管轄海域での掘削探査は完全に正当な行為だ」とした上で、「外からどんな妨害があっても、われわれは必ずや掘削作業を完成させる」と宣した。

ベトナムとの争いが始まって以来、中国側高官が内外に「掘削の継続」を宣言したのは初めてのことだが、宣言が中国外務省でもなければ掘削を実行している中国海洋石油総公司の管轄部門でもなく、解放軍の総参謀長から発せられたことは実に意外である。

中国の場合、軍の代表者は外国との外交紛争に関して「中国軍として国の主権と権益を断固として守る」とコメントするのが普通だ。あるいは掘削の件に関して、もし房氏が「中国軍として掘削作業の安全を守る決意がある」と語るならば、それはまた理解できる。

しかし、一軍関係者の彼が、政府そのものとなったかのように「掘削の継続」を堂々と宣言するのは、どう考えても越権行為以外の何ものでもない。本来ならば政府の掘削行為を側面から支援する立場の軍幹部が、政府に取って代わって「掘削継続」の方針を表明したことに大いに問題があるのである。

軍総参謀長の彼が「掘削継続」と宣言すれば、その瞬間から、中国政府は「やめる」とはもはや言えなくなっている。つまり、房氏の「掘削継続発言」は実質上、政府のいかなる妥協の道をも封じ込めてしまった。

実際、今月18日に中国の外交担当国務委員、楊潔チ氏が「問題解決」と称してベトナムを訪問した際、中国側が「掘削継続」の強硬姿勢から一歩たりとも譲歩せず、双方の話し合いが物別れとなった。つまり楊氏のベトナム訪問以前から、前述の房氏の「掘削継続発言」によって、中国政府の基本方針はとっくに決められた、ということである。

だとすれば、習政権の政治と外交の一部が既にこの強硬派軍人によって乗っ取られた、と言っても過言ではない。そして今月、房氏は、本来なら軍とは関係のない「中央財経会議」にも出席している。軍人の彼による政治への介入が本格的なものとなっていることが分かるであろう。

もちろん房氏の背後にあるのは軍そのものである。軍がこの国の政治を牛耳るという最悪の事態がいよいよ、目の前の現実となりつつある>(以上)

隣の国では金正日というタガが外れてから軍がカルーイ神輿を担いで高射砲と火炎放射器で政敵を処刑しまくっている。中共軍が習近平に「軍に虎退治の手をつっこむな。軍の意向に逆らえば江沢民派を支持するぞ」と脅したら習近平は従わざるを得ないだろう。武器を持っている方が強い。

そういえばずいぶん前に奇妙な記事があった。「中国・習近平主席『軍事外交の比重をこれまで以上に突出させる』」サーチナ2015-01-30から。

<中国の習近平国家主席(共産党中央総書記、中央軍事委員会主席)は29日、中国人民解放軍の一部幹部に接見した際、「新たな情勢の下、軍事外交は国家の外交と安全戦略の中における重要性が更に強まり、その地位はこれまで以上に突出したものになる」と述べた。新華社などが報じた。

習主席は29日午後、北京市内で全軍外事工作会議と第16期武官工作会議のメンバーと接見。中国の軍事外交のこれまでを振り返り、「わが党は歴史的にも重視してきた。それぞれの歴史時期において、軍事外交は国家の外交全体の推進や国家の安全維持のため、わが軍の建設のために重要な役割を果たしてきた」と説明した。

今後については、「新たな情勢の下、軍事外交は国家の外交と安全戦略の中における重要性が更に強まり、その地位はこれまで以上に突出したものになる」と説明。さらに、その場にいた軍人に向い「皆が政治意識を強化してほしい。思想上、政治上、行動上、党中央と高いレベルで一致してほしい。党の軍事外交に対する絶対的な指示を揺らぐことなく堅持してほしい」と、共産党中央の決定に対する服従を改めて求めた>(以上)

「共産党中央への服従を改めて求めた」・・・つまり軍は服従していないようだ。面従腹背か。この記事について名物編集者の如月隼人氏がこう解説している。

<「軍事外交」とは、外国の軍組織との合同演習や訪問、意見や情報の交換、場合によっては技術導入などを含む協定締結などの活動を指す。また、対象を外国の軍組織に特定していない軍による発表や意見表明(宣伝活動)も、軍事外交の一種と考えることができる。

中国の「軍事外交」には、宣伝の比重が大きい特徴がある。さらに、軍事外交にかぎらず外交全般として、自国の利益と力量を相手と比較して――

「対抗するが衝突は避ける」(米国)、

「基本的には利益獲得を狙うが、場合によっては厳しい対立も辞さない」
(日本やインド)、

「他の対抗相手への対策として、接近する」(ロシア、パキスタン)、

「利益獲得のため、相手側政権への利益を誘導」(ミャンマー、カダフィ政権下のリビア」

など、自国と相手国の関係をパターン化して、中長期戦略をはっきりとさせる特徴がある。

「軍事外交」には、交流により「疑心暗鬼を解消し、危機を回避する」との効用がある。一方で、「事実上の威嚇による、目的の達成」を意識する場合がある。「相手に何をどこまで伝えるか」が極めて重要になる>(以上)

日本で統合幕僚長が政府に先駆けて「南シナ海での抑止力を高めるために周辺国にミサイルを配備する」と言ったら大問題になる。文民統制、つまり政治家が軍を支配するという普通の国ではそうなるのだが、軍事政権ではまったく問題にならない。

現場の中共軍のトップである正副総参謀長が非常にきわどい発言をしても中共国内からは苦情どころか拍手が起きる。中共に限らないが、軍は常に危機を煽る。煽って国民の支持を高め、予算もしっかり獲得するためだ。

中共は習をお飾りとした軍事独裁国家に変貌しつつあるのかもしれない。
やがてお飾りも捨てるのだろう。(2015/6/8)



       
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック