2015年06月18日

◆岡田は“空想的風評”作りに専念

杉浦 正章
 


国民を惑わす討論手法は邪道だ
 

党首討論はまるで「私の質問に答えていない」の言い合いになったが、首相・安倍晋三は可能な限り答えており、答えなかったのは岡田克也自身だ。


安倍から衆院厚生労働委員会で、民主党議員が委員長・渡辺博道の入室を阻み負傷させた重大な暴力事件を岡田が「やむを得ない」と是認した問題を指摘されて、全く答えていない。これは民主党が言論の府における暴力行為を頻発させたかつての社会党への“先祖返り”を物語るものであり、今後安保法制の採決に当たっても暴力行為を繰り返すことを宣言したに等しい。


わが国議会主義がまるで暴力集団のテロリストに乗っ取られたような事態であり、由々しき問題だ。
 

それにしても岡田の質問は、悪意のある意図が透けて見えて、“邪道”の印象を受けた。その最たるものは徴兵制論議だ。岡田は「安倍首相が歴代内閣の認めてこなかった集団的自衛権の行使を行うことを内閣の判断で閣議決定した。


同じように将来の総理が徴兵制は憲法に合致するとして閣議決定するリスクがある」と決めつけた。これは一部の若者に存在する懸念を、いくら野党でも政治家なら「ない」と否定するのが常識だが、政治屋・岡田はフルに活用することを物語る。「将来あるリスク」と決めつけ、「空想的風評作り」の質問を繰り返した。


いたずらに国民を不安に陥れる卑しい政治手法だ。安倍は「憲法が禁じる苦役に当たる」と明確に否定したが、岡田の狙いは国民の間に“不安と猜疑心”を植え付けることにあり、それには一部成功した。


岡田はホルムズ海峡における機雷除去についてもさらに「首相は安保環境が根本的に変容したと言うが、ホルムズ海峡における機雷掃海でどのような変容があったか」と突いた。安倍は「集団的自衛権の行使の典型例としてホルムズ海峡を挙げているわけではなく、海外に派兵する例外として述べている。


『外国の領土、領海、領空での武力行使は何が可能性としてあるか』ということだったから、一般に海外派兵は禁じられているという原則を述べた後、ホルムズ海峡で機雷が敷設され排除する場合は、受動的限定的であるから、武力行使の新3要件に当てはまることもありうると申し上げている」と明快に答えた。


これに対しても岡田は「質問に答えていない。どのように変容があったかを聞いている」と反応したが、戦略的に見れば変容の有無は関係ない。過去に機雷が敷設され、日本が掃海に従事した重大な事実があれば十分だ。一度あることは二度あると対応するのが、責任ある為政者の常識だ。


岡田の場合「質問に答えていない」と述べて、安倍が逃げているような印象を作り出す意図が見え見えであり、これまた討論の邪道を行くものだ。


岡田は「重要影響事態に何が加わったら、存立危機事態になるのか。朝鮮半島有事の例では、どういう時に存立危機事態を認定するのか」と追及したが、安倍は「朝鮮半島で有事が起こる中で米艦が対応に当たり、重要影響事態にあたれば後方支援を行う。某国が『東京を火の海にする』と発言をエスカレートさせ、日本に対するミサイル攻撃をするかもしれないという状況が発生し、その中で、ミサイル防衛に関わる米艦が初動攻撃された場合に守ることは、武力行使の新3要件に当たる可能性がある」と明快に答えた。


岡田はなおも納得せず、具体例を挙げよと迫ったが安倍は「ケースごとに述べていくことは、日本がどういうことを考え、どういうことでなければ武力行使をしないという政策的中身をさらすことになる。国際的にも、そんなことをいちいちすべて述べている海外のリーダーはほとんどいない」と反論して答えなかった。


一朝有事の際は北朝鮮や中国が、日本の弱点を狙うことは安倍の言うとおりであり、現に安保法制のやりとりは詳細に分析され本国に送られていることは確実だ。集団的自衛権でも日本のような「限定的容認」では、国際的には弱い脇腹をさらすことになりかねない。


岡田は「質問に答えていない。憲法違反だ」を繰り返したが、安倍の指摘する「そんなリーダーは世界にいない」に付け加えれば、「そんなことをしつこく聞く党首も世界にいない」のだ。


要するに安倍がホルムズ海峡や朝鮮有事の際に集団的自衛権を行使しなくていいのかという主張の背景には、吉田茂が作った「安保ただ乗り論」の構図がとっくに成り立たない時代であるという認識がある。依然としてただ乗りしていれば、平和は天から降ってくるという、民主党や一部憲法学者の時代遅れの思想は、130億ドル払って世界中から馬鹿にされた湾岸戦争の教訓を25年間を経てもまだ理解していない証拠である。


憲法の有権解釈は安倍にあり、最終的には最高裁が判断する。学者の解釈は有権解釈ではない。


マスコミうけを狙って憲法学者の浮き世離れした論理を後生大事に党首討論に臨んだ岡田は、河島英五の「時代遅れ」の歌でも歌っていたらどうか。安倍の「憲法解釈の変更の正当性、合法性は完全に確信を持っている」の発言には岡田の虚構性はない。


維新の松野頼久が「修正協議には応じるつもりはない」と発言したのは、党内の修正論を無視した独断専行に当たる。党の分裂傾向を強めるだけだろう。

       <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)
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