2015年06月26日

◆「賭場法案」で安倍の足を引っ張るな

杉浦 正章




安保法制への「悪乗り」も度が過ぎる
 

多数議席による“弛緩”とはこういいことか。自民党が安保法制のための会期大幅延長を活用して、日本に「賭場」を導入するカジノ法案の成立を図ろうとしている。


こともあろうに国の安全保障という崇高な目的のための国会延長を、刑法違反として取り締まってきたばくちを国として導入することに使おうというのだ。安保法制への「悪乗り」もいいところであり、首相・安倍晋三のイメージダウンに直結する。その“筋の悪さ”は並大抵ではない。


ただでさえギャンブル大国の日本に、やくざを確実にのさばらせる法案の推進は、公明党も反対しており政権の基盤にも影響する。


首相側近だか何だか知らないが、自民党総裁特別補佐・萩生田光一のはしゃぎようは並大抵ではない。「国会が延長になったので、時間が出てきた。この期間になんとしても成立させて日本にIRをきちんと立ち上げていく」のだそうだ。


IRなどという訳の分からん符丁を使っているが統合型リゾート(IR )を整備する法案のことであり、要するに「賭場」を公認するための法案だ。先に自民、維新などで国会に再提出している。親方日の丸で行け行けどんどんの姿勢だが、羽生田は重要なポイントを度外視している。


それは首相というポジションに求められる、人並み外れた高い倫理観である。首相たるもの「李下の冠瓜田のくつ」は戒めなければならない最たるものだが、これまでやくざや暴力団の資金源になってきた賭場の“開帳”が支持率に及ぼす影響を羽生田は考えたことがあるのか。


暴力団は排除すると言うが、賭場の元締めは一種の熟練職人であり、職員の形で必ず入ってくる事が予想される。ドスの利いた声で「どちらさんも、よござんすね」というあれに似たようなものである。


暴力団関係では専門家は「事業主体からは暴力団を排除するための制度が整備されるとのことであるが,事業主体として参入し得なくても,事業主体に対する出資や従業員の送り込み,事業主体からの委託先・下請への参入等は十分可能である」と分析している。いくら排除しても必ず潜り込むのである。


加えて政権戦略への打撃である。ただでさえ安保法制は安倍の支持率を下げる方向へと動く。それに便乗して側近たるものが、なお支持率を下げる法案で追い打ちをかけるのか。まるでたこが自分の足を食っていることに気付かない。朝日の世論調査でも「カジノ解禁法案」について、「賛成」は30%、「反対」は59%で倍だ。


賭博依存症など社会問題もある。カジノ法案反対論の3大論点は、依存症になる、暴力団の資金源となる、マネーロンダリングに活用されるである。


ギャンブル依存症は日本では突出している。依存症の疑いがある人が推計で536万人に上ることが厚生労働省研究班の調査でわかっている。成人全体で4.8%、男性に限ると8.7%を占め、世界的にみても突出している。


他国の調査では、成人全体でスイスが0.5%、米ルイジアナ州で1.5%、香港で1.8%だ。推進議連は観光に役立つと言うが、日本の観光は「歴史と伝統」と「美しい風景」「新鮮な食べ物」があれば十分だ。賭場など開かなくても観光客は増加の一途をたどっている。


公明党のカジノ法案に関する主張は筋が通っている。国会対策委員長・大口善徳は24日、自民党幹事長・谷垣禎一に、「今回の会期延長は重要法案を成立させるためのものだ」と述べ、安全保障関連法案の審議を優先させ、カジノ解禁に必要な法案の審議入りに反対する考えを伝えた。


谷垣もどちらかと言えば消極的である。今後の選挙にも確実にマイナスに作用する。そもそも安保法制のどさくさに紛れて、カジノ法案を成立させるという魂胆が悪い。それにつけてもカジノ法案を推進する自民党議員らの執念は異常なものがある。どこかから資金が入っているのかと疑いたくなる。


業界から金をもらって法案を作れば贈収賄そのものであり、検察当局は目を光らせるべきである。

      <今朝のニュース解説から抜粋>  (政治評論家)
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