2015年07月06日

◆大阪毛馬の蕪村公園、ご存じ?

毛馬 一三             

与謝蕪村は、松尾芭蕉、小林一茶と並ぶ江戸俳諧を代表する俳人だが、その蕪村の生誕地がどこかということになると、あまりご存じない人が多い。

蕪村は、紛れも無く大阪市都島区毛馬橋東詰(摂津東成郡毛馬村)で生誕している。それを顕彰する「蕪村記念碑」が、現在淀川毛馬閘門側の堤防上に立っている。かの有名な蕪村の代表作・「春風や堤長うして家遠し」の句が、この記念碑に刻んである。

この他にも顕彰物は、毛馬閘門内に「記念碑」がある。更にはそこからから流れる大川(旧淀川)を南へ500mほど下った所に、橋名の「春風橋」があり、橋名に蕪村直筆文字の「春風橋の自筆」が刻まれている。有名な蕪村でありながら、生誕地周辺で蕪村を顕彰する記念碑は、残念ながら、この3件しかなかった。

ところがここで喜ばしいことに、「蕪村公園」が造成されたのだ。このことは追々。

さて蕪村は、享保元年(1716)に毛馬村の裕福な庄屋(問屋・宿屋も共営)で生まれた。母親は奉公人で、謂わば庄屋主との間に生まれた子供で、家系を引き継げない「私生児」だった。

幼くして両親を失なった不運が重なり、私生児扱いの蕪村は艱難辛苦重ね、結局、生誕家には居られなくなった。このため、18歳〜20歳の頃、毛馬村を出奔、江戸に向かった。

途中京都で俳人早野巴人知り合い、俳諧の修行に勤しんだあと、早野巴人と江戸に行き、弟子となった。運命の出会いだったのだ。

巴人師匠から俳諧を学び出したが、26歳の時、巴人師匠が没した。

師匠死後、芭蕉への思いの強かった蕪村は、芭蕉の跡を慕って奧羽地方を放浪。その後、宝暦元年(1751)、京に移って「俳諧」に励む一方、「南宋画」にも取り組み、池大雅と並ぶ名声を得ている。

京で68歳の生涯を閉じたが、終生大阪には何度も吟行に来たものの、故郷毛馬村には一歩も足を踏み入れていない。しかし生誕地への郷愁は人一倍強くて、「春風馬堤曲」を書き、「生誕地が毛馬であり、子供の頃楽しく遊んだこと想いながら綴ったものだ」と、弟子への手紙に記している。

このように大阪とは縁を絶ち切った蕪村だったから、いまだに大阪には蕪村に関する「伝承文献」が殆ど無いうえ、生誕地に関する資料すら皆無だ。(生誕地付近は、明治政府に依る河川工事で、一級河川「淀川」の底に沈められている。)

従って蕪村の生誕日が分からない。このため大阪では、「蕪村生誕祭」を開催出来ず、蕪村を顕彰する「資料館」すら、作ることも出来なかった。

しかし、10年頃前から生誕地大阪都島区毛馬町を中心に、蕪村を大々的に顕彰する「蕪村生誕祭」を進めようという運動が活発になりだした。筆者主宰のNPO法人近畿フォーラム21も足並みを揃えて、大阪市長や助役らと協議しながら運動をおこなった。

こうした動きに応じ、大阪市が「蕪村公園」増設に乗り出した。時は平成18年度から2年で完成させた。大阪毛馬町の市有地1.1hrの土地で、約2億5千万円をかけて造営したのだ。

同「蕪村公園」の整備には、筆者らは当初から、公園内に蕪村の俳句や絵画の紹介する「写真集」や「蕪村句の石碑」、蕪村句に因んだ花木植栽をするよう要請した。

そうすれば蕪村生誕地が大阪であることが広く知れ渡り、蕪村俳句に関心が集まって、公園への集客にも繋がり、蕪村顕彰名所に成る筈だと申し入れ続けた。

出来上がった公園は。全国的に知られた大阪桜の名所・「毛馬桜の宮公園」の最北端に位置し、市の中心地中之島に通じる大川沿いの桜回廊の出発点に位置する。

いまは公園植栽も進み、公園整備はしっかり進められ「桜回廊」と同じ華やかさを見せており、顕彰されている蕪村本人も満足ではないだろうか。

しかし、芭蕉と一茶は「記念祭」を、地元生誕地で毎年行っているが、「蕪村公園」は完成したものの、「記念祭」は一度も行われていない。これが「蕪村公園」の名を広めていないことに繋がって居ると,筆者らは自戒している。

そこで筆者主宰のNPO法人近畿フォーラム21主催:講座「蕪村顕彰俳句大学」を、蕪村顕彰と句会講座を毎年2期10回行い。受講生と児童生徒、国際俳句の応募俳句作品から表彰された「優秀句プレート碑」8基(2015年春現在)を「蕪村公園」に 既に建立している。

更には、大阪市立大学と共同して2016年には「蕪村生誕記念祭」を「蕪村公園で実施する。

また、地元毛馬町にある「淀川神社」には、生誕地毛馬の氏子だった蕪村が、幼少の頃参詣していたことも明らかになり、「蕪村公園での蕪村生誕記念祭」で「淀川神社」と共同して「お祭り」行うことを、7月3日決めた。

これら「蕪村生誕記念祭」が「蕪村公園」で継続開催していけば、「蕪村公園」の名は、どんどん広まって行くだろう。

是非、「蕪村公園」をご覧になり、「蕪村の望郷の念」を察して頂きたい。(了)


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