浅野勝人(安保政策研究会理事長)
私の新作「日中秘話―融氷の旅」が、青灯社から出版されました。
前作「北京大学講義録 日中反目の連鎖を断とう」(NHK出版)の姉妹本です。
前作は国際関係論を中心に理屈っぽい学術書でしたが、今回はスタイルをガラッと変えて、中国との40年余の交流の間に、著者が日中双方で体験した折々の出来事を集めた、読んで楽しいノンフィクション随想です。
著書の表の帯に「半世紀におよぶ : 日中融和のこだわり! 特ダネあれこれ!」「あなたに大事なお願いがあるわよ。総理大臣のお父さんが日本の邪魔になるようなことがあったら、真っ先に、私に言って頂戴。私が辞めさせます : 善幸夫人は浅野キャップにこともなげに言いました。― U章より」とあります。こんな内容をご想像下さい。
発売日に購入して読んでくださったNHKの先輩記者だった方がmailで感想を寄せてくれました。
浅野勝人大兄
前略
先日(7/22)東京新聞前代表の宇治敏彦さんの出版記念会で久し振りにお会いでき、大変懐かしく嬉しく存じました。
あの夜、貴兄から労作『融氷の旅〜日中秘話』(青灯社刊)発刊の話を聞きました。翌日早速、渋谷東急本店7階にあるジュンク堂書店に行き、買い求めた所、店員さんが暫く書庫を探した後『ただ今入荷したばかりの本です』と顔をほころばせて差し出してくれました。
固い装丁でしっかりした生まれたばかりの本を手にして、早速読み始めました。平易な文章で読み易くエピソード、秘話がふんだんに散りばめられ、9章に亘るどの項目にも引きつけられて一気に読み通しました。
エピソードでは園田 直議員のなぞかけを基に「経堂のカラカラ亭」と言われた鈴木善幸氏邸へ駆けつけた際の「さち夫人」とのやり取り。そして、その情報を政治部に持ち帰ってコンファームして行く場面は、小生も現役の政治記者に立ち戻った様な興奮を覚えました。
園直さんについては、NHK記者から秘書官に転出していた渡部亮次郎氏によると、大平首相の急逝のその夜、いち早く目白に駆け込んで長時間話しこみ、後継者は鈴木善幸という情報を掴んでいたようです。貴兄の超特大の特ダネと符号しますね。
貴兄が横綱白鵬と語り合った際、白鵬の祖父がモンゴルの大統領としてモスクワを訪問した折、スターリンとの面談中にけんかとなり、スターリンを殴りつけて葉巻を吹っ飛ばしたエピソード。そして、その後モスクワに呼び出されて粛清されたことを、白鵬が自ら貴兄に語った物語は世紀の特ダネですね
この本ではこうした特ダネやエピソードで読者の関心をひきつけ、その後、難しい日中論をわかり易く展開。しかも現政権下、自由闊達な議論ができにくい風潮の中で、日中打開、関係改善への政策転換を提唱している点、貴兄の強い信念と誠実さを感じ感激した次第です。
これに関連して思ったのは政治記者から“汚れた”政界に25年間浸っていた貴兄が初心を忘れず良く生き抜いてきたなと感心しました。南国のジャングルで25年間生き続けた小野田少尉の姿を彷彿とさせます。清々しい気分を味わいました。
1人でも多くの人に読んでいただきたい著書ですね。
本書末尾に「遺言書」と書いてありましたが、『50,60、花なら蕾、70,80が働き盛り…』という高僧の名言通り貴兄の貴重な経験とそこから生み出した英知を次世代に繋いで欲しいと思うのは小生一人ではありますまい。
とにかく健康で、今後ますます活躍されますよう祈念しています。 敬白。
平成27年7月25日 NHKOB・中井盛久