2015年08月11日

◆原発は生まれ変わって平成希望の火に

杉浦 正章



朝日も条件付き再稼働に大転換
 

「一部国民」の批判は3度の国政選挙でクリア
 

1957年8月、岸内閣発足間もない頃原発の灯がともった。当時のマスコミは「緑の火がともった」と報じ、国中がエネルギーの明るい未来を予見したものである。そして58年を経た今日(11日)原発の最初の再稼働が秒読みとなった。


1年11カ月ぶりに国内の「原発ゼロ」が終わり、再び原子力が日本のエネルギーミックスのなかで主要な地位を占める第一歩となるのである。「安全神話」を返上し、科学的知見を駆使して「安全対策」を施した上での川内原発再稼働は、日本のエネルギー政策に新たな地平線を描くものになるだろう。


また原発反対論が喧(かまびす)しい中で、突破口を開くものと位置づけられる。3.11以来マスコミや選挙選を通じて蓄積された反原発イデオロギーに対するまぎれもない勝利を意味する。


なぜ勝利かと言えば朝日新聞が最近またも再稼働容認へと大転換したからである。またもというのは同社の歴史が、日米安保反対から事実上の安保支持、慰安婦強制連行から同連行否定、PKO法案反対から支持へと極めて重要な政策で大変換を臆面もなく行ってきたからである。


今回も2011年の東日本大震災をきっかけに「原発ゼロ」を社是としてきた。とりわけ産経が「ハーメルンの笛吹き男」と唾棄してきた元首相・小泉純一郎の「原発ゼロ」の主張に、朝日はもろ手を挙げて賛成。社説でも「原発ゼロ、最後は国民の意思だ」とバックアップした。


ところが朝日は最近になって「ゼロにすべきだ」をちゅうちょするようになり、ついに7月30日の社説「原発再稼働を考える」で「最後の手段としての再稼働という選択肢を完全に否定するのは難しい。それでも、個々の原発に対する判断は、きわめて慎重でなければならない」と文句をたらたら述べながらも再稼働容認に大転換したのだ。


それも極めて密やかに。いつも思うのだが煽られて行動を起こした人はどう思うだろうか。はしごを外されたと思わないだろうか。もっとも社説の変化など気にしている人は少ないだろう。こっそり変えれば分からない。きょうの主見出しも「原発ゼロ2年で停止」とまるで他人事だ。同じ事を安保法制反対でするのはいつになるだろうか。その時は必ず来ると思う。


とにかく朝日は「絶対反対闘争」が成り立たないと判断して、条件闘争に転換したことを意味する。


同社は7月3日の社説で「中国と温暖化―対策の強化と前倒しを」と題して中国が二酸化炭素の量を、2030年には05年に比べて60〜65%減らすことを大歓迎する社説を掲載したが、なぜそれが可能になったかについては誤判断をしている。


可能になったのは現在の22基に加えて27基もの原発を建造中であるためだ。それに全く言及しておらず、重要ポイントを知らずして良く社説が書けるものだと思う。何ときょうの社説では原発再稼働を無視している。おそらく書きようがないのだろう。


これまで過去3回の総選挙、都知事選挙などで原発は最大のテーマとなったが、全て自民党が圧勝しているのは、国民の「声なき声」が安全なる原発の否定にないことをいみじくも物語っている。それに、原発は停止しているから安全なのではない。むしろ動かさないと安全が維持出来ないというのが専門家の常識なのだ。


米国・原子力規制委員会(NRC)を代表して来日した安全・危機管理コンサルタントのチャールズ・カスト博士は「『停止=安全、発電=危険』ではない。規制委は一番安全な原子炉とは、運転を停止している原子炉だと思っているようだが本当に理解しているか疑問だ」と規制委の姿勢を批判。


「長期停止していると、現場職員たちは運転の感覚を失ってしまう。加えて設備や機器も劣化する可能性が高い。稼働しながらでないと、良いパフォーマンスを発揮できない。原子力安全の基礎は、定期的に稼働していることによって成立するものだ」と断定した。


確かに規制委の審査は長引きすぎる。さらに朝日と提携関係にあるニューヨークタイムズ紙は社説で「原子力発電の危険性は現実のもの」と指摘しながらも「再生可能資源が全ての化石燃料や原子力の燃料を代替できるのは遠い先のこと。


それまでは原発が大気中の温室効果ガス濃度を上げずに発電する重要な手段となる」と書いた。同じリベラルで思考的依存度が高い提携紙までが原発必要論では、朝日も慌てざるを得まい。


こうして正しい既成事実が積み上げられようとしている。政府も原発ありきの姿勢でなく、現在の科学的知見を全て上積みした上での再稼働認可である。川内原発は新しく生まれ変わったと言ってもよかろう。地震への備えは620ガルを想定しており、これは福島原発が受けた550ガルの振動を上回る。


「事故が起きない」としてきた安全神話から脱して「事故が起きうる」と想定した規制委の安全基準を十二分に満たすものである。政府は原発を「重要なベースロード電源」と位置付け、原発比率を2030年度までにに20〜22%とする目標を掲げている


世界のエネルギー事情の潮流を見れば中国を始め新興国を中心にまさに原発ブームが起きつつある。中国や韓国は、安価で危険な原発をどんどん輸出しようとしており、これは危険をばらまくようなものだ。ここは災いを転じてより一層安全度を増した日本の原発が、世界基準とならなければなるまい。


カスト博士も「日本の安全対策は世界最高の水準」と賞賛している。多くの犠牲者を出した地震で得た知見は貴いものがあり、これを日本は惜しみなく世界の原発新増設に役立たせなければなるまい。


それには輸出推進はもちろんのこと政府主導で、原発安全のための世界フォーラム開催など組織だった主導が得策だろう。


もちろんこれで事を終えてはならない。廃炉になる原発は建て替えでより安全性を高めて、地域に貢献する必要がある。新増設も視野に入れるべきである。また核燃料サイクルのための六ヶ所村の再処理工場は操業開始のめどが立ちつつある。操業開始が見えているのだ。


ここは政府の責任で軌道に乗せて、悲願の核燃料サイクルを実現させなければなるまい。

       <今朝のニュース解説から抜粋>    (政治評論家)
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