2015年08月29日

◆米中戦争はもう始まっている!?

平井 修一



地政学者・奥山真司氏の論考「米中戦争はもう始まっている」8/19から。

<今後起こるであろう米中戦争を防ぐために、アメリカがとるべき3つのアプローチについて書いた記事の要訳です。

              ===

中国の対米戦争はもう始まっている? by スティーブン・メッツ

この夏のワシントン周辺の安全保障専門家たちの必読書は、ホワイトハウスの政策文書や大手シンクタンクの報告書ではなく、ピーター・シンガーとオーグスト・コールという2人の安全保障専門家たちの書いた小説だ。

彼らの書いた『亡霊の艦隊』(the Ghost Fleet)という小説は、トム・クランシーの伝統を受け継いだスリラーであり、この本が注目されている大きな理由の一つは軍事技術の最先端を説明している点にあるが、それ以上にそのシナリオがアメリカと中国の大規模な戦争という多くの政治家や専門家たちが恐れるものだからだ。

中国の台頭や、段々と強まるその独断的な態度を見ている人々は、アメリカが最後にアジアの国(平井:日本のこと)と大規模な戦争を戦った歴史によって警戒するようになっている。

たしかに1941年の真珠湾攻撃によって日米戦争は始まったが、東京政府はその奇襲の数年前から基地のネットワークを構築して、軍の戦力投射能力を拡大していたのだ。真珠湾攻撃はただ単にアメリカ人に紛争の存在を教えただけで、日本側から見れば戦争はすでに始まっていたのだ。

ところがワシントン政府と米軍たちは戦争がどれほど近づいているのかを気づかずにいた(平井:戦争を仕掛けたのは米国だ)。これは今日の中国にも当てはまるのだろうか? 中国との戦争はすでに始まっているのではないだろうか?(中略)

真珠湾攻撃までの長年にわたる日本の行動は、それ自体が耐え切れない挑発行為というわけではなかった。ところがアメリカの政治家たちは、紛争が不可避となるパターンが明確になってから、東京政府が長年準備をしてきたことをようやく知ることになったのだ。

中国の行動はこれと同じことなのだろうか? さらに重要なのは、もし中国の行動がさらなる大きな紛争につながるとすれば、アメリカが戦争を防ぐためには一体何ができるのだろうか?

もしアメリカの政治家たちが中国との紛争を一致団結して避けたいと考えるのであれば、以下のような三つのアプローチを考慮することができるだろう。

*一つ目が、紛争を避けるために何らかの手打ちをして、(地域覇権の)権力を共有する仕組みをつくるというものだ。ところがこの最大の問題は、アメリカ側がこれによって中国側を満足させられるかどうかを確実に知ることができないという点だ。

さらにいえば、これは中国自身にもわからないという部分がある。なぜなら政府内でも意見の違いがあり、権力の共有を認める勢力と認めない勢力が争う可能性があるからだ。そしてそのような取り決めは、たとえ両国にとって望ましいものであったとしても、その実行は無理だということにもなりかねない。

何人かの中国人が言っているように、この地域を支配できるのは北京政府かワシントン政府のどちらかであり、両方ではないのだ。

*2つ目のアプローチは、非対称的な対抗圧力を強調するものだ。もし中国が南シナ海で軍事プレゼンスを拡大しつづけ、アメリカに対してサイバー攻撃を行い、アメリカとの紛争のチャンスを増やすような軍事近代化を追求しつづけるのであれば、ワシントン政府側は北京政府側が最も恐れることや嫌がることを行うのだ。

これには、軍事協力関係を疎遠にしたり終わらせることや、制裁のようなさまざまな経済手段を使用したり、米軍の非正規戦の能力(外国のゲリラ活動や解放運動を支援)を補完することなどが含まれる。

もちろんこのアプローチのリスクは、中国の中に親米派と反米派がいれば、このような対抗手段は反米派を増長させ、権力の共有などは不可能になってしまうことだ。

*3つ目のアプローチは、直接的で対称的な対抗圧力を使うことだ。これにはアメリカのサイバー能力(攻撃・防御の両面における)の拡大や、海軍力の向上が挙げられる。また、アジア太平洋地域の他の国々との軍事関係の強化も含まれる。

ところがこれも中国内の反米派を増強させ、アメリカ自身も大きな額の資金が必要になってくる。もちろんこれは最も安全な手段かもしれないが、コスト的に最も高くつくことになるのは間違いない。

日本が1941年に戦争に向かったのは、大恐慌から復活するまでのワシントン政府に軍事的に対抗するチャンスが狭くなりつつあると考えたからだ。中国もアメリカのアジア太平洋地域におけるパワーが後退しつつあり、その空いた穴を埋めようと考えているのかもしれない。

もしそれが本当ならば、アメリカがやるべきことは、中国に対して「撤退していない」ということを(たとえ中国にとって不快な手段を使ってでも)理解させることだ。

ところがもし中国が「アメリカとの紛争は不可避であり、すでに始まっている」と考えているのであれば、アメリカ側の気付きが早ければ早いほど、大戦争に至らない効果的な対抗手段を考える時間が増えるのである。

もしそれに失敗してしまえば、シンガーとコールの本は、単なる警告ではなく悪い予兆となってしまうかもしれないのだ。===

この記事で提唱されている「アメリカがとるべきアプローチ」をまとめると、以下の3つです。

1)米中共同管理(Power-sharing approach)

2)テロや民主化運動で嫌がらせ(Asymmetrics approach)

3)正面から軍事圧力で対抗(Symmetric approach)

そして、著者がオススメしているのは(3)ですね。コストが高いのが難点ということらしいですが。

日本をアナロジーとして引き合いに出すのは正直迷惑なところがありますが、中国と日本の戦略文化の違いはさて起き、直近で参考にできるとすれば、たしかに真珠湾攻撃しかないんでしょうな>(以上)

米中戦争はもう始まっているのかどうか。水面下、グレーゾーンではサイバー戦や宇宙戦準備、核兵器の強化などのサヤ当て始まっているが、表面上では波が立っていない。しかし、戦争になる可能性は否定できない。

そもそも戦争とは何か。「戦争は一種の強制行為であり、その目的は相手の抵抗力を完全に無力化し、自らの意志を強要することである」とクラウゼヴィッツは書いている。

「相手を完全に無力化」するまで戦うというのは今はなく、大体が停戦で終わるようだ。

戦争はなぜ起きるのか。いろいろな答えがあるだろう。一般的には、自分はこうしたいと思い、他者はそれに反対する。話し合いでは何の進展もない。それなら戦争に訴える、となる。

たとえば現在のウクライナとロシアの戦争。勢力図を見ると、西から欧州、ウクライナ、ロシアがある。欧州とロシアは歴史的に対立している。ウクライナは欧・ロの「緩衝地帯」になっており、ウクライナの西側国境はロシアにとって「外堀」、東側国境は「内堀」だ。

ところがウクライナは欧州と一緒になりたいと、外堀を埋め立て、欧州勢力を引き入れた。ロシアは内堀でウクライナ・欧州の圧力に耐えなくてはならなくなった。そこで武力で西側へ押し出し、内堀を強化、一応の停戦になった。

これによりロシアVSウクライナ・欧州のパワーバランスは危ういながら保たれている。

戦争は我にも正義、彼にも正義のぶつかり合いで、双方ともに「自分は自衛のために侵略者と戦った」ことになる。

中共は自らの安保を確実にするために地域覇権を目指し、米国および周辺国は危機感を募らせている。山口組がシノギのためやら安保のために進出してきたら住民は不安になり、「暴力団は出ていけ」と結束する。それと同じだ。

今、戦争をしたい、周辺国から包囲・監視されている「現状を変更したい」という軍事大国は中共とロシアだ。中共は内政、外政の手詰まり状況が危険レベルに達しているから、戦争で一気に解決を図りたい。過剰設備、過剰在庫は戦争により解決され、経済は好転するし、中共の求心力は高まる。

戦争して勝たなければ中共は確実に衰退する。戦争して敗ければ中共独裁帝国はあっという間に崩壊する。リスクを取らずに座視していてもやがては崩壊する。勝てば中共は起死回生し、寿命は数十年延びるだろう。2049年の建国100周年を盛大に祝えるかもしれない。

習近平はリスクを恐れずに戦争を選ぶはずだ。ハエ(日本などの周辺国)叩き、虎(米国)退治して、中共安泰のアジア・太平洋秩序を確かなものにしたい。これができれば中興の祖として永遠に讃えられる。習にとって戦争は魅力的な選択だ。

中共が軍事力にある程度の自信を持つようになれば、プーチン流の灰色ハイブリッド戦争を仕掛けてくるだろう。その日は近いと小生は思っている。「心技体が充実している今しかチャンスはない」と習は思っているだろう。

我々はアジア版NATOで迎撃する体制を早急に創らなければならない。(2015/8/28)


      
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