2015年09月01日

◆中央が景気減速を認めたから

宮崎 正弘 


<平成27年(2015)8月31日(月曜日) 通算第4642号 >   

 
〜中央政府が景気減速を認めたので、地方政府が正直(?)な「数字」を発表
  遼寧省GDPは0・1%、山西省は2・7%。それでも「高い」けれ
ども。。。〜


中国政府はGDP成長を目標7%においているが、本年度の達成は不可能。

電力消費が横ばい、鉄道貨物輸送量がマイナス10%。どうして7%成長が可能なのか? おそらく実質成長はマイナスへ転落している筈である。

地方政府の方針転換をみて、地方政府は安心して「真相に近い」数字を発表した。

最悪は遼寧省の0・1%成長だ。

主因は鉄鋼と石炭の壊滅的後退である。大連はハイテク企業が揃い、電話のバックアップセンターから老人介護ビジネスは盛んだが、盛り場は青息吐息、大連森ビルの裏通り(通称日本人街)も火が消えているという。

スマホの頭打ち、通信機器の部品不振などによるもので、中国最大の富豪「万達集団」の本社は、この大連にあるが、主力の不動産ビジネスの比率を早くから下げ、映画、エンターティンメント世界へ進出した。

それでも、この中国一の財閥、万達集団は8月25日の上海株式暴落で時価総額が10億ドル減じた。CEOの王健林は36億ドルを減らしたが、それでも彼の財産は320億ドルある。

同日、世界連鎖株安で、ちなみにビル・ゲーツも32億ドルを減らしたというが、これは余談。

遼寧省は、大連市長、遼寧省長を歴任した薄煕来の失脚から、経済の失速は始まっていた。

失脚前に薄は重慶書記に転じていたが、周囲の補佐官、ボディガードなどに遼寧省時代からの側近を引き連れ、遼寧省から去った。

また夫人の谷開来の法律事務所を経営していたのも大連である。

その時の利権の黒幕が大連実徳集団を率いた徐明で、かれらの連座失脚により、薄利権、薄コネクションが壊滅。

遼寧省はそれでなくとも、撫順炭鉱など多くの石炭ビジネスと、鉄嶺など、鉄鋼都市を抱えており、付近の地盤の弱いところに三十万都市を造ったりしてゴーストタウン化した。

通化では全国に先駆けて鉄鋼メーカーが倒産し、給料不払いの社長が従業員に殴り殺される事件が起きたのは数年も前のことだった。


 ▲不景気の山西省の省長は李鵬の息子

ついで景気悪化のサンプルとなったのは山西省だ。

仏教の聖地=五台山があるが、経済活動とは無縁の存在、この地も石炭が主力ビジネスだが、誘拐してきた夥しい少年を奴隷労働させるなど、悪魔のような企業体系があり、石炭不況に落盤事故、地下水噴出など最悪の炭鉱事故が山西省では続出し、閉鉱となった企業が続出した。

拠点の大同は一時の繁栄が終焉し、冷戦時代には50万の兵隊が駐屯したこともあったが、いまや廃墟、廃屋が目立ち、企業工場は閉鎖、繁華街はシャッター通り。

十数年前、筆者は石炭黄金時代の大同へ行ったことがあるが、ホテルの宴会場は朝からドンチャン騒ぎ、卑猥なパーティ、大通りを疾駆するのはBMW、ベンツ。

「中国で高級車の人口比は一番高い」「如何に石炭成金が多いか」と言われた場所である。

この深刻な事態に山西省首脳が連続的に打開策を討議する会議を開催し、中央政府に窮状を訴え、国有企業各社に山西省子会社へのテコ入れ、再投資を訴えるという挙に出た。

山西省の書記は王儒林、省長が李鵬の息子の李小鵬である。

8月28日、ふたりは中央政府が派遣した「国務院資産監査委員会」のメンバーと省内の有力企業60社の幹部との会合にも出席し、中央に窮状を訴えた。
 
  
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