2015年09月07日

◆「どっこい!」人民は生き残る

平井 修一



支那の人民のほとんどは漢族だが、生命力、生活力、他民族をのみ込む同化力は、良くも悪くも世界有数だ。とにかくタフ! 生きることに貪欲。それだけ生きることが困難な時代が当たり前だったのだろう。金儲けにも熱心で、遊ぶことにも積極的だ。

日清戦争で従軍記者になった岡本綺堂は、清兵が戦闘で敗けると戦線を離脱して、今度は日本軍の軍夫に応募し、献身的に働いたことを感動的かつユーモラスに書いていた。

清朝に仕えていたのは清兵にとって飯のタネだったからで、清朝の米びつが空になったのなら、今度は日本軍に仕えようというわけだ。

生きること、飯を食うことが何を置いても最優先課題であり、それをもたらしてくれるのであれば白い猫でも黒い猫でも構わない、というのが支那人5000年のDNAなのだ。祖国への思いや忠誠心はあまりないだろう。

だから蒙古族や満洲族による異民族支配にも動じない。逆に支配階級である異民族を籠絡して漢族化してしまうのだ。恐るべきパワー。

自分の出世のために奥さんを上司の一夜妻にすることもためらわない。奥さんもほとんどは納得ずくなのだろう。何清漣女史は「漢族の道徳的堕落は落ちるところまで落ちた」と嘆き怒っていたが、出世すれば儲かるのだから「上司に一発やらせたっていいじゃないか、別に減るわけではないのだから」、と思う人は少なくないのだろう。金瓶梅の国だし・・・

中国でコンサルタント業を営む田中信彦氏の論考「『13億総商売人』の時代がやってきた 『ネット小商売』隆盛に見る中国人の『しぶとさ』」(WISDOM8/28)から。

<中国ではいま個人のネットショップが爆発的に増えている。誰でも始められる「ネット小商売」は猛烈な勢いで生活に浸透しており、中国人はまさに水を得た魚のようにますます「個人モード」中心の生き方を加速している。そのメカニズムついて考えてみる。

*「カニの紹興酒漬け」が大ヒット

1カ月ほど前、江蘇省無錫市でブティックをやっている張さんという女性から連絡があった。「上海蟹の紹興酒漬けを自宅で作って売る商売を始めたら、売れすぎて大変なことになっている。知恵を貸してもらえないか」というのである。

張さんは同市の中心部で婦人服を商っているが、景気低迷で服の売上は頭打ちなので、不況に強い食品を手がけることにした。ホテルのレストランで調理師をしている親類に頼み、看板料理のひとつ「上海蟹の紹興酒漬け」のレシピを内緒で教えてもらった。

江南一帯では、茹でた上海蟹を紹興酒や醤油、砂糖、生姜などで味付けしたタレに漬け込み、味が染みてから食べる料理がある。地元ではファンが多く、実は私も大好きである。

張さんのご主人がレシピをもとに丸1カ月、家にこもってタレの作り方を研究した。「大鍋何杯ぶんのタレを捨てたかわからない」という試行錯誤の末、納得できる味のものができあがった。

自宅の大釜で試作品を作り、親戚や友人知人に食べてもらうと非常に評判が良い。手応えを感じたので、店の前に机を出し、無料の試食品を配って道行く人の反応を聞いた。これまた大好評で、「どこで買えるのか」という声がたくさん出た。

自信を得た彼女が目をつけたのが日本では「中国版LINE」と称される「微信(WeChat)」である。「微信」には「朋友圏(モーメンツ)」と呼ばれる、フェイスブックのようなソーシャル機能があり、数百人から時には1000人以上の「朋友」がいる人も珍しくない。

そこに「自家製の上海蟹の紹興酒漬け、〇〇個限定、5つで100元」みたいな話を写真付きで載せたところ、注文が殺到。

慌てて生産して届けたところ、すこぶる好評で、「友人にも配りたい」「両親に食べさせたい」といったリピートオーダーが続出した。さらに「こんなおいしいものがある」という新たな書き込みが友人たちの「朋友圏」上に続々と転載され、引き合いが加速度的に増えた。

*友人から友人へ、爆発的に拡散する情報

「微信」の威力は、友人の紹介というレバレッジ(テコ)が効きやすいところにある。中国人の「朋友圏」の中では、常日頃からさまざまな商品やサービス、飲食店の評判などが飛び交っており、気に入ったサービス、商品、おいしかった店などを積極的に友人たちに紹介する。その心理には次の3つの要素がある。

(1) 自分はこんな良いものを(人より先に)知っているのだという、鼻が高い気持ち

(2) こんな良い体験は友人たちにも味わってほしいという、友人を思う心

(3) 頑張っている商品、サービス、店を応援したいという心情

とにかく中国人は、自分が良い経験をすると、それを親しい人、仲の良い人と共有したいとの気持ちが非常に強い人たちである。日本人にもそれはあるが、中国人のほうが友人の範囲が広く、共有の程度が強い。良い経験を自分だけに留めておくことができず、みんなで分け合えばさらに楽しいと感じる。

そして情報の共有を受けたほうも、聞き流さずにそれを正面から受け止めて「自分も試しに買って(行って)みよう」と反応する傾向が強い。

中国では友人の商売については、もちろん度を越せば問題だが、寛容というよりむしろ積極的だ。ここが日本社会と大きく違う。この個人と個人の相互扶助的な関係性に「微信」の爆発的なパワーの源泉がある。

*お客がその場で代理店に変身

張さんのカニ商売は、紹介に継ぐ紹介で、あっと言う間に毎日の注文が200個(5個入り40パック)超えるようになり、夫婦では手が回らなくなった。張さんはブティックの中二階に業務用のコンロと巨大な釜を据え付け、退職して家にいた両親を駆り出して一家総出の増産体制を敷く。

素人相手に最初は愛想のない対応をしていたカニの卸売業者も、仕入れが増えてくると本気になり、質の良いカニを安く出してくるようになった。

次に起きたのが流通形態の変化である。一口で言うと、頼んだわけでもないのに、お客が代理店に変身してしまったのである。

張さんの「朋友圏」には服の商売で知り合った仕入れ先など、地元以外に住む友人も多くいた。取引先の1人である広東省の服飾ブローカーは張さんのカニのおいしさに驚き、再注文して友人知人にも配った。

それも大好評で「もっと食べたい」との声が相次いだので、この人物は「継続的に売るから、広東省の代理権をくれ」と言ってきたのである。「広東省の人口は1億人以上だ」と気宇壮大なことを言う。

ちなみに現在では中国でも物流網の進化が進み、運輸会社の冷蔵宅配便を使えば、上海から1000q以上離れた広東省でも生ものを翌日配達で送ることができる。

このほかにも北京や蘇州などからも「代理をやりたい」という申し出が相次ぎ、販売開始2カ月も経たずに1日の平均販売個数は500個(5個入り100パック)を突破、金額にして1日1万元、日本円20万円を超えた。単純に掛け算すれば1カ月25日として月商500万円、年商6000万円。個人の商売としては相当の規模である。

現在、張さんは無錫から近い中国一の大市場である上海に代理店をつくり、小さな食品加工場を開いて安定的に商品を供給し、販売を拡大していくプランを描いている。冒頭に触れた私への連絡は、簡単に言えば「上海の代理店になってくれないか」という話だったのである。

ありがたい申し出ながら、私にはカニを売る能力はないので断念したが、要はこういうフットワークの軽さが中国人の商売の活力なのである。

*猛烈に広がる「小商売」のネットワーク

個人の商売が個人を媒介に拡散し、その商売を個人が代理店となってさらに拡大する。張さんの商売は「微信」を舞台にした、典型的な創業物語のひとつである。

彼女の場合、もともと自営なので事業の拡大ペースが早いが、ごく普通の市民の間でも「微信」上の個人ショップ「微店(YouShop)」を通じた小商売のネットワークは深く広がっている。

いま中国全土でこのような個人による「小商売」の波が猛烈な勢いで広がっている。いささか誇張した表現ながら、メディアでは「国民総商売人の時代」といった文言が踊っている。

*SNSと社会の親和性

中国人と日本人の発想を比べた時、最も大きく異なるのは、個人志向か全体(枠組み)志向か、という違いにある。中国人は自分個人の利害から出発し、自らの利益を確保するために自分が属する「枠組み」(国、会社、制度……)をどう利用するかという発想をする。

日本人は自分を含む「枠組み」全体の利害をまず考慮し、その結果として自分にも利益がもたらされるようにしようと考える傾向が強い。

これは、どちらが優れているとか、どうあるべきかという話ではなく、社会としての考え方の「クセ」である。もちろん個人差は大いにあるし、自分が育った環境や従事している職業などによっても、このあたりの感覚には違いがある。

しかし「微信」に代表されるような個人を軸にしたコミュニケーションツールとの親和性は、中国社会のほうが日本より圧倒的に高い。

中国では仕事や商売とプライベートの区別がない。自分と気の合う、利害の一致する個人どうしが組織の枠に関係なく結びつき、「個」と「個」としてスクラムを組んで商売をする。そういう傾向が強い。

今回のスマートフォン普及による「微信」の浸透は(携帯やメールに)続く第三の波である。これによって中国人の「個」と「個」のコミュニケーションの頻度と密度はさらに高くなり、個人が商売を始める手間とリスクは劇的に軽くなった。

報道によると、すでに3000万軒の個人ショップがオープンしているという。「微信」のユーザーは1990年代以降生まれが中心なので、今後、時の経過とともにユーザーが増加していくことは間違いない。

*激変する「ものの売り方」

組織に頼らず、個人を単位に、個人と個人のつながりで自分たちの利益を図っていくという「中国人的生き方」は、こうした「個」を単位にしたネットワーク上において非常に強いパワーを発揮する。

強いネットワークを持つ個人どうしが協力し、互いに資源を共有しながら、お互いの商品を互いのネットワークで売り合う。

そう言えば、冒頭に紹介した張さんの店では、高級婦人服の既存顧客には「上海蟹の紹興酒漬け」もよく売れている。個人の力で販路を広げ、信頼できる個人どうしが商品を融通して、大胆に売る。

商売人としての中国人のパワーは、今後ますます強まっていくだろう。

もちろん現状の個人のネットショップには、食品の品質や衛生基準の確保をどうするか、ショップ乱立による過当競争と商品画一化をどう防ぐかなど課題は多く、すでにそうした問題は噴出している。

しかし「微店」的な「小商売」のシステムは、紆余曲折はありながらも中国人の人生に不可欠のプラットフォームとして機能していくだろうと私は考えている。

「個」の力を自ら矜(たの)んで生きていく「しぶとさ」こそが中国社会の強みであり、中国人の魅力であり、これからの日本人が世界の荒波の中で生きていくために学ばねばならないことではないかと思うのである>
(以上)

自然発生的に資本主義経済が発展し始めたような印象だ。北朝鮮も同様で、最近では鉱区の開発権を買う小ブルも誕生しているという。ともに国家独占資本主義の国だが、草の根資本主義はどんどん育っていくだろう。

独裁者どもはこの芽を摘むのか、それとも育つに任せるか。摘めば経済の低迷を招くし、育てれば独裁者の利権を脅かすほどになるかもしれない。13億の走資派が共産党独裁を揺るがしつつある。(2015/9/5)


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