2015年09月23日

◆北京春秋 丑三つ時の恐怖体験

川越 一



いま思い返してみても、それまで体験したことのない不気味な夜になった。夜が明ければ抗日戦争勝利70年を記念する軍事パレードが行われる9月3日。その丑三つ時の出来事だった。

パレードを控えた北京は厳戒態勢が敷かれていた。天安門前を東西に走る長安街沿いに位置する居住区でも、入館者が監視されていた。トラブルを避けるため、前夜から職場に泊まり込みで備えていた。

ソファで仮眠を取っていたところ、突然、ゴォーという音が響いた。跳び起きて時計を確認した。午前2時だった。何事が起きたのか。人気が消え、音が消えていた長安街を、街灯がほのかに照らしていた。そこを、ミ サイルを積んだ軍用車両などが次々と通り過ぎていった。

青空の下、挙行されたパレード本番では多くの最新兵器が披露された。中国中央テレビはその様子を生中継した。国際社会の中国脅威論は、さらに膨らんだ。

しかし、“深夜の行進”は、その何倍も身の毛がよだつ光景だった。

黒人霊歌「聖者の行進」は、厳かに始まった葬儀を明るく終わらせる曲だという。一方、静寂の中で行われた深夜の行進は限りなく陰鬱で、恐怖だけが残った。中国の危険な顔を過小評価している人々に、見てもらいたいと思った。(北京総局)

産経ニュース【外信コラム】2015.9.22
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