2015年09月25日

◆それでも左翼には聴こえない!?

野口 裕之



海上自衛隊の下士官には、一般人には響かぬスクリュー音が聴こえる、超人ならぬ「聴人」が存在する。子供とプールで戯れ、水が少しでも入ると耳鼻咽喉 科に急行するほど気を使う。国防を担う世界トップの匠の技に感謝せねばならない。

反面、聴こえるはずのない音におびえる?「幻聴人」も跋扈する。安倍晋三政権より 「軍靴の足音が聴こえる」と国民の不安を煽る日本の左翼人(ビト)たち。作家&尼 僧の瀬戸内寂聴氏(93)も然り。

左翼には、中国軍による抗日戦争勝利70年観兵式で世界中に響いた1万2000足もの乾いた軍靴の音は聴こえなかったのだろうか。そんなはずはない。道路に 設置した集音マイクで軍靴音を拾い、共産党御用メディアを通じて流し、軍事膨張に 反対の日本など敵性外国を脅したのだから。ただ、苛烈な宗教弾圧を続ける中国を激 烈に非難せぬ尼僧に「瀬戸内幻聴さん」などと、レッテルを貼ってはならない。貼れ ば、中国などの侵略行為を抑止すべく成立を目指す安全保障関連法案を「戦争法案」 と絶叫する左翼と同じ「政治的貼り替え屋」に成り下がる。

■居直った潘基文氏

菅義偉官房長官(66)は7日の会見でも強調した。「いたずらに特定の過去に焦点を当てるのではなく…」

菅氏の矛先は、国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長(71)の、恥ずかしい言動に向けられていた。潘氏は、国連加盟主要国のほとんどが眉をひそめる中 国軍観兵式を参観。菅氏が批判するや潘氏は「事務総長は中立でなければいけないと いう誤解がある。国連は公平な組織だ」と、事務総長に必要なのは中立性ではなく、 公平性だと居直ったのだった。

もっとも「いたずらに特定の過去に焦点を当てる」の は、潘氏ら韓国人や中国人に限らない。「日本市民」も同様だ。祖国の歴史にウを 塗り込しめる、瀬戸内氏らの思考回路を《自虐史観》と呼ぶのなら、反日と自国史の粉飾・捏造を巧妙に絡ませる韓国・中国人の姿勢は《他虐史観》。《虐(しいた)》げる行為が大好きな者同士、まるで「撲(ぶ)ったり、撲(ぶ)たれたり」を楽 しんでいるかのよう。典型は、自虐史観者が他虐史観者に誤
報・虚報をご注進し、他 虐史観者がこれを政治利用する構図。

瀬戸内氏は6月、安保法案抗議集会などに出演し訴えた。

「日本は本当に怖いことになっている(略)最近の日本の状況は、怖い戦争にどんどん近付いているような気がする」

「今の日本の状態は私が生きてきた昭和16、17年ごろの雰囲気がある。表向きは平和のようだが、すぐ後ろの方に軍隊の靴の音がぞくぞくと聞こえている。 最後の力を出して戦争に反対する行動を起こしたい」

■仰天する瀬戸内氏の訴え

大東亜戦争開始前後と平成27年が同じ「雰囲気」? 開戦に至る窮状や 緊迫する現下の危機的国際情勢に関する説明を意図的に封印し、「気がする」だけで 若い世代に恐怖を植えるプロパガンダは、作り話も生業とする作家とて許されない。 が、創作意欲は大したもの。日本共産党機関紙・しんぶん赤旗に7月、党創立93周年 記念講演会に寄せられたビデオ
メッセージが掲載された。

《「赤旗」もずっととってますけど、共産党の好きなのはね、ぶれてい ない(略)非常に信頼できますよね》

《ずっと共産党に入れているんです(略)そしたら最近、どんどん増え てきてね(略)入れ甲斐がありますよね》

思想信条は中国と違い自由なのでご勝手に、という感じ。ところが、仰天したのは次の一節。

《93年生きて(略)いちばん悪い時代(略)いまが(略)もうほんとに 悪いです、いまの安倍さんのやり方は。どうかしてるんじゃない? 人の言うこと聞 かないですもんね。何か憑いてるんじゃないかと(笑い)》

「憑きモノ」を看破するとはさすが尼僧。でも広島・長崎への原爆投下や東京大空襲、沖縄戦…の時代に比し、今が《悪い時代》とは? 憑かれているのは ひょっとして瀬戸内氏…。

瀬戸内氏の場合、特定の政治思想・国家への肩入れは自由だ。しかし、世界平和推進の公的エンジン役として、一定の中立・公平性が求められる潘氏には許 されぬ。東/南シナ海での海洋侵出や資源強奪、少数民族大虐殺や人権派粛清…など、 中国を国際社会=国連の敵と断罪して差し支えあるまい。その中国での観兵式参観 後、潘氏は習近平国家主席(62)と会談し、強国の皇帝に色目を使う弱国の王の如く 振る舞った。

「パレードは非常に素晴らしかった。中国人民の平和を守ろうとの願いが十分に示されていた」

軍用機200機の飛行に、新兵器を含む500以上の装備で国際を睥睨・威圧する観兵式の、どこが「平和」なのか。

■「幻聴」の治癒こそ急務

瀬戸内氏がいかに奔放な私生活を売りにしようと知ったことではない。だが潘氏が、韓国大統領の座を狙うべく、韓国世論に売り込む目的で観兵式を参観 したのなら、生臭さは度を超している。前述したが「公平性」を心掛けると自称す る潘氏は、菅氏の批判にこうも応じた。

「過去に正しく学ばなければ正しい方向に向かうことは難しい」

清帝国時代の過ちを指摘し、現中国の振る舞いをそれとなくたしなめたのかと思ったら、日本向けの説教だった。瀬戸内氏同様、現在進行形の中国の軍国主 義より、“日本の軍国主義復活”が比較にならぬほど心配ならしい。ならば、国連本 部や事務総長公邸で読まれていない?英紙フィナンシャル・タイムズの一読をお薦 めする。中国軍観兵式を受け《多くのアジア諸国の心配は過去の日本の侵略ではな く、中国による21世紀の侵略可能性》と、国際の圧倒的多数意見を代弁しているからだ。

21世紀はまだ前半。瀬戸内氏は「最後の力を出して戦争に反対する行動を起こしたい」などと寂しいことはおっしゃらず、潘氏とともに、凶暴な帝国と化す OR滅亡する、中国の行く末を見届けてほしい。

お二人に長生きしていただくためには、日本で軍靴の音が聴こえてしまう「幻聴」や、“日本の軍国主義復活”と“平和国家・中国”なる「幻覚」を見てしま う、二大疾病をまずもって治癒なさるべきかと存ずる。
                  (政治部専門委員 野口裕之)

産経ニュース【野口裕之の軍事情勢】 2015.9.14
                (採録:松本市 久保田 康文)
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック