眞鍋 峰松
観光のため走行するバスの中から市内の状況を眺めていて驚いたことは、以前の訪中の際の自転車走行者の多さに比して、北京や上海という大都市でもない桂林市という地方都市にも自動車が多く、それ以上にバイク・単車の非常な多さである。
市内の交通手段がバス以外には鉄道も地下鉄も無いので、市民はマイ・カ―で移動することになる。しかも、現地ガイドの説明では、そのバイク・単車はガソリン車ではなく殆ど電動式だというのである。
理由はガソリンの値段が高いからで、ガソリンの価格は日本と変わらないという。確かに往き交うバイク・単車に眼を凝らすと、ガソリン車のような排気筒が付いていない。説明の様に、電動式バイク・単車に間違いないと感じると同時に、これには少々驚いた。
それにしても、あの多数のバイク・単車が我先に乱暴に走行する状態の中で、よく事故無く済むものだ。もし私が桂林市内で自動車を運転したとしたら、到底無事に走行できるとは思えない。馴れない状況下で確実に事故ること間違いない。さもなくば、恐怖で少し進みすぐ停まり、少しづつ前進するのが精一杯のところだろう。
もともと桂林の「桂」は中国語で樹木の「木犀」のことで、市内の幹線道路の車道と歩道の仕切りには金木犀の木がずらっと植えられていて、10月になると金木犀の花の香りで街全体が包まれ、それ故に、桂林の名産品には金木犀茶と金木犀酒がある、とのこと。
街の外観は、主要幹線沿いには緑が多く、道路も整備されているのだが、一歩表通りから裏通りに入ると、古びた家並みと上半身裸の男性も多く見られ、まだまだ生活環境の整備や生活習慣の改善がされていないことが分かる。そこでは中国独特というか、何処からともなく異臭が漂っている箇所も多い。
その他、今回の桂林観光の途中で現地ガイドの説明から観察できた二点について、記述して置く。
まず、第一点は、中国社会において汚職が蔓延していること。
現地ガイドの説明の中での事柄であるが、昔と違い現在では、学校教員は経済的に裕福であるとのこと。給料は依然として低いのだが、親からの付け届けや接待の余禄が大きいせいだという。
また、行政官僚の汚職の蔓延も酷い様子だ。 彼は、滞日中の出来事として、田舎の貧乏村の村長数人が家族連れで訪日し一行の案内をした体験話を聞かせたが、村長たちは未だ30才台の若い年齢で、本来安い給料だけで費用の高い日本旅行などできるはずがなく、しかも奥さんに40万円もする買物をさせていたとのこと。
その内幕は、貧乏村では貧しい村民に中央政府から生活費補助が支給されているが、村長はそこからピンはねをして己の懐に入れている実情がある、とのこと。だからこそ、このような贅沢ができるのだ、と忌々しげに説明をしていた。
第二点は、よく知られた中国の不動産バブルの崩壊。 市内でもよく注意して観察すると、新しいマンションで空き部屋がチラホラ見られるが、私自身はそれ自体を然して問題とは思わなかった。
だが、市内中心部から少し離れた、帰国のために通った空港までの道筋で見かけた開発地や建造物には相当に問題がある、と感じた。
桂林市の中心部から空港まではバスで市内の普通道路を15〜20分程度走行し、続いて高速道路を30分程度利用するのだが、市内中心部から10〜15分程度外れた場所で何棟かの新築マンションを見かけた。
丁度帰国日の19日が土曜日ということもあってか、この新築マンションの1〜2棟が販売開始の様子で、沢山の人出と自動車の長い列が出来ていた。現地ガイドの説明では、確かに中心部に近い交通の便の良い場所では新規入居希望者も多いのだが、応募者の中には投資物件としての応募も多いのだとのこと。
だがしかし、さらに高速道路をバスで20分程度離れた場所に在った多数の高層マンションが立ち並ぶ場所では、建築途上のまま放置されているマンションや建造物が数多く見かけられ、既に入居開始しているマンションや建造物でも、入居者がチラホラとしかいない。
私の観察では、これは開発された新市街地で、ここ最近は建設も全く進んでおらず、途中で放置されていると感じられた。一体、これからどうするのだろうか、この状態で開発事業者の経営はどうなるのだろうか、他人事ながら心配になってきた。
また、この放置の事情は何もマンション等の建築物のみならず、移動途中の道路脇では建設途中で立派な門構えの入口までが完成しているものの、その他は放置されたままのゴルフ場を2カ所も見かけた。(続く)