2015年10月03日

◆日本の2億6千万円の資料が盗まれた

宮崎 正弘 


<平成27年(2015)10月2日(金曜日)通算第4670号 >

 
〜インドネシア新幹線はなぜ中国の横取りとなったのか?
  最大の問題は日本が2億6000万円かけた調査資料が盗まれたことだ〜


中国が「お得意」の新幹線は海外へのプロジェクト輸出、あちこちでオファーがなされている。

完成したのはイスタンブール〜アンカラ間のみ。ところが開通式にエルドアン大統領が試乗したが、30分動かなかった。お粗末の見本となった。

ほぼ決まった中国新幹線の輸出は、タイ北部からバンコクを結ぶ高速鉄道である。

ほかにオファー中なのが、メキシコ、ブラジル〜ペルーという大言壮語、おなじく夢のおはなしはエベレストにトンネルを掘ってチベットからネパールを繋ぐ。

米国でもあちこちに高速鉄道の話を持ちかけている。ラスベガス〜ロスの高速鉄道も敷設すると豪語している。

インドネシア新幹線は、ユドヨノ政権時代に日本が主導した。

ところが政権が交代し、途中から乗り込んできた中国はさかんな賄賂攻勢をかけて、ほぼ日本で決まりかけていたバンドン〜ジャカルタ新幹線プロジェクトを土壇場で強引にもぎ取った。

低利融資のうえ、政府保障を求めないという、前代未聞の条件を中国が呑んだからだ。「赤字になっても構わない」と言っていることになる。

さてインドネシアの首都ジャカルタから、国際都市でもあり学園都市でもあるバンドンへはバスがもっとも便利で高速道路を3時間で突っ走る。およそ140キロ。

平行して鉄道が走っており山岳、台地、崖地、河川をまたぎ、トンネル箇所も多い。筆者は2年前に、逆のバンドンからジャカルタへの帰り道に乗ったが、四時間かかった。既存の鉄道はかなり揺れる。

日本企業連合は、この区間の新幹線工事のため、各地で測量し土地の地質などをしらべ、また随所にボーリング調査を行って詳細な見積もりをだした。

このフィージビリティスタディに投じた費用は2億6000万円。数年かけて作成した事前調査を基礎とする見積もり報告書が、なぜか、そっくり中国に漏洩していた。つまり中国は、この日本の報告書をもとに安い金額を書き入れて、インドネシア新政権にアプローチをかけて、商談を覆したのだ。

その中国の諜報能力と、賄賂で転んだインドネシア政府高官がいることに、もっと注目するべきではないのか。


▲余剰生産設備、目に余る在庫の山

なぜ中国はそこまでするのか?

余剰設備、過剰在庫、余剰社員という難題に対応するためである。

新幹線プロジェクトは善意の日本が当初、協力した。中国は2006年に北京―天津間を開通させ、その後、北京―上海―広州―武漢など、あちこちに網の目のように新幹線レート拡大した。

なんと9年間で、13、000キロ(日本は北陸新幹線開業で3000キロを突破)、この過剰な労働力、設備、車両などの過剰生産を処分するには海外市場を開拓しなければならないというディレンマに陥った。鉄道の産業界が窮地に立っているのである。

あたかも自動車生産の能力は5000万台。ことしの販売予測は2000万台いくか、いかないか。生産設備が余剰となっている。

鉄鋼をみても、粗鋼生産はじつに9億トン、国内需要は6億ドン、在庫3億トンはダンピングで海外へ売る。

だから日本の鉄鋼メーカーと高炉メーカー、輸出を扱う照射は真っ青になる。
 
インドネシア政府が親日的だからといって甘く見ていた日本は、これからも世界各地で同様な妨害にぶち当たるであろう。
   
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