2015年10月07日

◆日本人よ、清く正しく美しくあれ

加瀬 英明



福田赳夫内閣が、昭和51(1976)年に発足した。

私は首相から対米折衝を手伝うよう頼まれ、首相特別顧問という肩書を与えられて、ワシントンをしばしば訪問した。40歳だった。

当時のアメリカは、カーター政権だった。私はホワイトハウスを訪れるうちに、カーター大統領の妹のルース・ステイプルトン夫人と、親しくなった。

ルースはなかなかの美人だった。背の高い獣医と結婚して、ジョージア州のカーター家の郷里に住んでいたが、ホワイトハウスにしばしば遊びにきて、泊っていた。兄の大統領がルースを溺愛していた。

カーター大統領はキリスト教の信仰心が、きわめて篤いことで知られるが、ルースも奉仕活動として、神霊治療の仕事に打ち込んでいた。神霊治療師はアメリカで「スピリチュアル・ヒーラー」と呼ばれるが、精神が病んでいる人や、過去に過ちを犯した人に、聖書を教え、ともに祈ることによって立ち直らせることをする。

私は首相に進言して、ルースを日本に招待して貰った。

私がルースと親しくなって、感動したのは、過ちを犯した人に、「目を閉じて、そのときのことを、一瞬一瞬、思い出して下さい。そして、あなたのすぐわきに、イエス様がいたと想像して下さい。あなたは階段をあがって、ドアをあけた? あなたは何を考えていましたか?」といって、「その時に、イエス様がどう思われたことでしようか? きっと、深くお悲しみになったことでしよう」と、話しかけるということだった。

そして、ともに祈ったうえで、「これからも、イエス様がいつもあなたのわきにいらっしゃいますから、イエス様を悲しませないで下さい」というのだった。

ルースは、しばらく前に他界した。いま、この原稿を書きながら、ルースをホワイトハウスまで迎えにいって、市内のイタリア・レストランに案内したことや、東京にきた時に、わが家で亡妻が手伝って和服を着せて、料亭の歓迎パーティに連れていったことを、思い出す。

ルースは神霊治療を、「内なる救い」と呼んだ。人は誰でも、みな、救いを求めている。これは太古の昔から、東西を問うことなく、人類に共通している心の渇きあった。

イエスは人類を救うために、神の子として降臨した。釈尊は瞑想することを通じて、心を無にすることによって、心身をわずらわせる煩悩(ぼんのう)を断つことができると、説いた。

自らを救うためには、神や、仏に縋(すが)るだけではなく、自分の持てる力を振り絞らなければならない。そういっても、人は非力である。ルースが説くように外から大きな力を、借りるとよいだろう。

私は「宗教は何ですか」とたずねられたら、とまどいながら、神道と答えるだろう。

仏教諸派の教えはすばらしいと思うものの、外来宗教であるから、なじまない。神道は教典も、戒律もなく、宝塚歌劇団のモットーと変わらないが、「清く正しく美しく」あれということを旨として、生きてきた。

今年は終戦70年に当たる。日本は経済繁栄のなかで、日本人として多くの美点を失ってしまった。日本を取り戻さねばならない。

そこで、私は日本人として英霊に恥じないように、毎日を英霊とともに歩んでゆこうと思う。


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