2015年10月08日

◆翁長知事の国連演説は国内向け宣伝 

仲新城 誠



沖縄県の翁長雄志知事が9月21日、スイス・ジュネーブで開かれた国連人権理事会で演説し、米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設で「県民の人権が侵害されている」と訴えてから約18時間後。

名護市民の我那覇真子さん(26)が22日、知事と同じ席から「県民は世界最高水準の人権を享受している」と真っ向から反論した。日本政府の代表も知事の発言を否定。沖縄の民意として反基地を国際発信するはずだった知事演説は、政府、沖縄県民の双方から「挟み撃ち」で打ち消された格好になり、信憑性は大きく揺らいだ。

  ■極秘裏に準備

「翁長知事が発信した情報を正すため行った」

我那覇さんは帰国後の25日、東京での記者会見で、スイス行きを決意した理由を説明した。

 2013年、辺野古移設を推進する地元の大会で登壇したことがきっかけで、沖縄の保守活動を牽引する若者として注目されるようになった。

 翁長知事が国連で演説することが報道され「対抗して県民の声を発信すべきだ」と
準備を開始。尖閣諸島を行政区域とする石垣市からは砥板芳行市議が参加することに
なり、我那覇氏を団長に、通訳などの支援者も含めた派遣団が結成された。

準備は極秘裏に進み、翁長知事周辺や同行したマスコミは我那覇氏の動きを直前まで把握できなかった。国連では記者が砥板氏らに「何を演説すんです か」と食い下がる姿も見られた。

  ■宣伝戦略

人権理事会で、NGO関係者らの演説者は1日に100人近くに及ぶ。持ち時 間は全員が2分間。演説を開始すると前方の大型スクリーンに演説者の姿が映し出さ れ、画面右上で時計表示が1秒ずつ時を刻む。タイムアウトになるとマイクの音声が落 ちる仕組み
だ。

「国連での演説」という華やかなイメージとは異なり、演説者は慌ただしく交代し、演説席を次の順番の者に譲る。流れ作業と言っていい。

我那覇氏の派遣団の1人は「知事の人権理事会での演説が、ただちに国 際発信力を持つとは思えない。辺野古反対を国際社会に訴えた、というパフォーマン スで支援者を鼓舞し、政府に圧力をかけるための演説。あくまで日本国内向けの宣伝 戦略だろう」と知事サイドの狙いを推測した。

  ■軽重の差なし

人権理事会では、翁長知事、我那覇氏とも国連で活動するNGOから発言 枠を譲り受けた。

両者の演説の条件は発言場所、時間とも全く同じ。翁長氏は知事、我那氏は一般県民だが、翁長氏は知事の肩書で発言権を得たわけではないた国連の システム上、両者の発言に軽重の差はない。

我那覇氏の派遣団関係者は、翁長氏の発言だけを根拠に「基地問題で、日本政府に何らかの勧告が出ることは有り得なくなった」と安堵した。

翁長氏は帰国後の記者会見で、自身の演説に対し、日本政府が反論したことについて「基地削減に尽くしていると、大きく誇張するのは大変残念だ」と不快 感を示したが、我那覇氏の演説には触れなかった。

我那覇氏は「演説後に会場の空気が変わったと感じた。会場を出る時、聞いていた
外国人が大きくうなずいたり、ウインクしたりして共感を表してくれた」と手応えを強調した。  (八重山日報記者)【八重山日報記者の知事同行記(中)】
     

 ジュネーブで翁長知事の国連演説を取材した八重山日報の記者が現地での状況や演説が県内外に広げた波紋などを報告する。
                (採録:松本市 久保田 康文)

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