2015年10月10日

◆潘基文事務総長、不意打ち作戦!

〜安倍首相に〜

桑原 雄尚



安倍晋三首相は第70回国連総会に出席するため、9月26〜30日の日程で米ニューヨークを訪問した。960億円の難民支援を訴えた一般討論演説やロシアのプーチン大統領との会談などが話題となったが、政府関係者の間でひそかに注目されていたのが、国連の潘基文事務総長との会談が開かれるかどうかだった。

■軍事パレード出席に不快感

日本の首相が国連を訪れる際、短時間でも事務総長と会談するのが通例だ。国連創設70年で機運が高まる安全保障理事会改革に向け、事務総長の強い後押しも必要となる。首相としても、潘氏に直接協力を要請したいところだった。

ただ、今年は直前の9月3日に中国・北京で開かれた抗日戦争勝利70年記念行事の軍事パレードに潘氏が出席したことで、こうしたシナリオが狂った。

日本政府は潘氏への態度を硬化させ、首相自ら「事務総長は特定の過去に焦点を当てるのではなく、自由や民主主義など基本的価値に基づく国際社会の融和と発展を推進する立場から、未来志向の姿勢を加盟国に促すべきだ」と批判するなど、とても和やかに会談する雰囲気ではなくなってしまった。

潘氏は「国際社会にとって過去から学び、前進することは非常に重要だ」などと反論したが、国際世論の批判覚悟で中国の軍事パレードに出席した背景には、韓国の次期大統領選出馬への布石と見る向きもある。韓国国内向けに「反日親中」の姿勢をアピールしておく必要があったというのだ。

ニューヨークの国連ウオッチャーは「国連事務総長はS・G(セクレタリー・ジェネラル)と称されるが、最近の潘氏は『サウスコリア・ガバナー』(韓国司令官)じゃないかと揶揄されている」と指摘する。ニューヨークの事務総長公邸は韓国の物産品であふれかえっているといい、母国・韓国への思い入れはかなり強いといえる。

一方で、国連内では「どんな小国の行事にも顔を出すまめな人」(外務省筋)との評判もある潘氏。こうしたこまめな活動を積み重ねる処世術で国連トップの事務総長まで上りつめたともいえるが、さすがに今回の軍事パレード出席は度を越していた。

首相は、今回の国連総会で潘氏との会談は行わない方向に舵を切った。首相周辺は「こんな国連事務総長として公平性を欠く人物に会う必要はな
い」と切り捨てた。

■不意を突き安倍首相に接触

ただ、潘氏は首相との接触の機会を探っていたようで、9月27日に国連本部内で開かれた気候変動問題を話し合う首脳級会合の直前、待合室で待機していた首相のところに潘氏の方から歩み寄り、「日本のシリア難民支援に感謝する」と話しかけてきた。

首相は「引き続き支援する」と応じたが、不意打ちされた感は否めない。これで中国の軍事パレード出席への批判をうやむやにしようとしているようにもみえる。

こんなしたたかさも見せる潘氏だが、以前から韓国の次期大統領候補として人気が高く、直近の世論調査でも支持率は1位となっている。潘氏は「内政に関心を持ったことはない」と言うが、大統領選への出馬自体は否定していない。

側近に有力者が少ない朴槿恵大統領にとっても、国民的人気がある潘氏を後継者に指名する可能性は少なくない。朴氏が今回の国連総会出席のためニューヨークに滞在中も、潘氏と何回も同席するなど良好な関係を築いている。

そんな潘氏について、政府高官は「大統領になる器ではない」と切り捨てるが、政治の世界は、国内外ともに一寸先は闇。潘氏に対しても“要注意人物”として警戒は怠るべきではないだろう。(政治部)

産経ニュース【安倍政権考】2015.10.7
                 (採録: 松本市 久保田 康文)



この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック